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空からやって来た!
話を逸らします。
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来たっ!
あの会話から少し経った頃、山の方から一人の人間の男が姿を現した。
だが、正式に言ったらその人間は、人間ではなかった。その人間の肌は青白く、目からは血が流れ、手はまるで尖った枝を五本ずつ合わせたかの様で、フラフラと今にも倒れそうな歩き方をしていた。
そして、その人間もどきはこちらに気づき、フラフラと歩いてきた。だが、草原に一歩踏み出した途端、突然人間もどきの姿が消えたのだ。
いや、消えてはいない。私が先程仕掛けた罠、超巨大落とし穴に落ちたのだ。
罠が上手く発動してくれて良かったとは思うが、それよりも先程の人間もどきが何なのかが、気になって落とし穴の魔法が上手く発動した事を余り、喜べなかった。
そして、恐る恐る羅泉に先程の人間もどきが何なのか、知っているのかと聞いた。
「……………ねぇ、羅泉。あれって何?」
羅泉は人型になり、渋い顔をして答えた。
『………妖怪やモンスターが霊力の強い人間を食べると、己の力が増すことは知っているな?それと同じで、人間も妖怪やモンスターを食べると己の力が増す。
だが、人間の身体では、妖怪やモンスターを食べて得た力には耐えられん。これは、俺達と付き合いのある人間ならば常識だ。
しかし、人間というのは愚かで、貪欲に力を求め、時々あぁやって妖怪達の血肉を食べる者がいる。だが、そうすると、先程の人間みたいに肉体が壊れ、精神が壊れ、力への渇望と、殺戮本能だけが残る。そして、いずれ死ぬ。
こういう人間の事は、”グール”や、”闇人”と呼ばれているな。』
「……………じゃあ、鈴葉を攻撃したのって、特に理由は無かったって事?」
『まぁ、そうだな。』
うーん?……………どう反応すればいいのだろう?
……………そして何だ?この残念感。
……………あぁ、そうか。私、初めて対人戦が出来ると思って少し、期待していたんだ。どこまで自分の力が通用するのか知る、いい機会だったから。
「とりあえず、あれ、どうする?闇人って放っておいたら死ぬんでしょ?別に自業自得だから、そっちの方は放っておくつもりだけど、このまま落とし穴の中で死なれたらここ、使えなくなりそう。異臭とかして。」
『まぁ、そうだな。ふむ。どうするか。』
「……………冗談半分で聞くけど………食べる?」
『食うか!!!あんな不味そうなもん!』
「だよね?うーん?でも、どうする?海に沈める?」
『……………それが一番有効な手段かもしれんが、どうやって海まで運ぶんだ?』
「テレポート。」
『……………そう言えば、何故ヒョウは魔力を使えるのだ?』
「……………偶然?」
『んな訳無いだろう!』
「人間為せば成る!」
『その理論でいくと、今頃人間の祓い屋は全員魔力持ちだ!』
「……………ノーコメント!!!」
『……………なぁ、ヒョウ?もしかして、妖力も使えたりするのか?』
「……………今は持ってない!!!!!」
『今はって何だ!?今はって!?』
うん。何かこのままでは、私の手の内を探られそうなので、さっさと無理にでも話を戻そう。
「それよりさ、どうするの?ねぇ、緑志さん達も何かいい案ってない?」
急に話を振られた緑志は、一瞬キョトンとして直ぐに意見を言った。
「そうですね………。このまま埋めたらどうです?異臭も無くなるかと。」
「仮にも人が埋まっている所で、お茶したくないから却下で。」
「あぁ!それなら、他の祓い屋の者に頼っては如何ですか?貴方の師匠とか。」
「私の師匠は、羅泉だけだよ。」
「え?では、先程の技とかは?」
「だから、ノーコメント。それより、どうするのか決める方が先だと思うよ?」
「そうですね。うーん?
……………あぁ、魔妖学園の者に頼ってはどうです?」
「魔妖学園?」
「えぇ。表向きは唯の、ハイクラスな学園として有名ですが、裏では妖怪やモンスター達が通う学園になっているので、こういう時の対処法は分かり切っているかと。」
「そっか。それにしても、面白そうな学園だねぇー?」
「え!?君も行くの?その学園。」
鈴葉が急に、パァーっと顔を輝かせて聞いてきた。
「うーん。まだ分からないなー。」
「そっか………。」
鈴葉にそう答えると、鈴葉はシュンとして、全身から悲しみのオーラを振り撒き始めた。
……………罪悪感ハンパネェェェー!!!
そして、どうしよう!?めちゃくちゃ可愛いー!!!
あの会話から少し経った頃、山の方から一人の人間の男が姿を現した。
だが、正式に言ったらその人間は、人間ではなかった。その人間の肌は青白く、目からは血が流れ、手はまるで尖った枝を五本ずつ合わせたかの様で、フラフラと今にも倒れそうな歩き方をしていた。
そして、その人間もどきはこちらに気づき、フラフラと歩いてきた。だが、草原に一歩踏み出した途端、突然人間もどきの姿が消えたのだ。
いや、消えてはいない。私が先程仕掛けた罠、超巨大落とし穴に落ちたのだ。
罠が上手く発動してくれて良かったとは思うが、それよりも先程の人間もどきが何なのかが、気になって落とし穴の魔法が上手く発動した事を余り、喜べなかった。
そして、恐る恐る羅泉に先程の人間もどきが何なのか、知っているのかと聞いた。
「……………ねぇ、羅泉。あれって何?」
羅泉は人型になり、渋い顔をして答えた。
『………妖怪やモンスターが霊力の強い人間を食べると、己の力が増すことは知っているな?それと同じで、人間も妖怪やモンスターを食べると己の力が増す。
だが、人間の身体では、妖怪やモンスターを食べて得た力には耐えられん。これは、俺達と付き合いのある人間ならば常識だ。
しかし、人間というのは愚かで、貪欲に力を求め、時々あぁやって妖怪達の血肉を食べる者がいる。だが、そうすると、先程の人間みたいに肉体が壊れ、精神が壊れ、力への渇望と、殺戮本能だけが残る。そして、いずれ死ぬ。
こういう人間の事は、”グール”や、”闇人”と呼ばれているな。』
「……………じゃあ、鈴葉を攻撃したのって、特に理由は無かったって事?」
『まぁ、そうだな。』
うーん?……………どう反応すればいいのだろう?
……………そして何だ?この残念感。
……………あぁ、そうか。私、初めて対人戦が出来ると思って少し、期待していたんだ。どこまで自分の力が通用するのか知る、いい機会だったから。
「とりあえず、あれ、どうする?闇人って放っておいたら死ぬんでしょ?別に自業自得だから、そっちの方は放っておくつもりだけど、このまま落とし穴の中で死なれたらここ、使えなくなりそう。異臭とかして。」
『まぁ、そうだな。ふむ。どうするか。』
「……………冗談半分で聞くけど………食べる?」
『食うか!!!あんな不味そうなもん!』
「だよね?うーん?でも、どうする?海に沈める?」
『……………それが一番有効な手段かもしれんが、どうやって海まで運ぶんだ?』
「テレポート。」
『……………そう言えば、何故ヒョウは魔力を使えるのだ?』
「……………偶然?」
『んな訳無いだろう!』
「人間為せば成る!」
『その理論でいくと、今頃人間の祓い屋は全員魔力持ちだ!』
「……………ノーコメント!!!」
『……………なぁ、ヒョウ?もしかして、妖力も使えたりするのか?』
「……………今は持ってない!!!!!」
『今はって何だ!?今はって!?』
うん。何かこのままでは、私の手の内を探られそうなので、さっさと無理にでも話を戻そう。
「それよりさ、どうするの?ねぇ、緑志さん達も何かいい案ってない?」
急に話を振られた緑志は、一瞬キョトンとして直ぐに意見を言った。
「そうですね………。このまま埋めたらどうです?異臭も無くなるかと。」
「仮にも人が埋まっている所で、お茶したくないから却下で。」
「あぁ!それなら、他の祓い屋の者に頼っては如何ですか?貴方の師匠とか。」
「私の師匠は、羅泉だけだよ。」
「え?では、先程の技とかは?」
「だから、ノーコメント。それより、どうするのか決める方が先だと思うよ?」
「そうですね。うーん?
……………あぁ、魔妖学園の者に頼ってはどうです?」
「魔妖学園?」
「えぇ。表向きは唯の、ハイクラスな学園として有名ですが、裏では妖怪やモンスター達が通う学園になっているので、こういう時の対処法は分かり切っているかと。」
「そっか。それにしても、面白そうな学園だねぇー?」
「え!?君も行くの?その学園。」
鈴葉が急に、パァーっと顔を輝かせて聞いてきた。
「うーん。まだ分からないなー。」
「そっか………。」
鈴葉にそう答えると、鈴葉はシュンとして、全身から悲しみのオーラを振り撒き始めた。
……………罪悪感ハンパネェェェー!!!
そして、どうしよう!?めちゃくちゃ可愛いー!!!
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