自称引きこもりの悪役令嬢

ぎんさむ

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逆ハー製作委員会

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「ねぇ、人の形にはなれないの?」

と、聞くとピクッと耳が動く。伝わったのか?ピョンと膝から飛び降りていきなり魔法陣を作り出す。

「ちょちょちょ、この部屋で!?」

焦っている私には目もくれずどんどんと魔法陣を大きくしていくジル。大丈夫なの!?刹那、なんとも言えぬ光が部屋中を巻き込んで思わず目を閉じる。うぅ、魔法陣の光は未だに慣れないな………。光が収まったようなのでゆっくりと目を開くと猫耳男子が!ひゃーーーー!美形!

「したよ、人間化」

「ありがとう!かっこいい!ジル美形だったのね」

「当たり前でしょ」

ツンツンしながらもこちらに寄ってきてむにゅと抱きついてくるのでもうオタク心がゆすぐられて、今にも爆発しそうだ。真っ白のマッシュボブでクリーム色の耳と尻尾が可愛い。頭に手が届かないので背中をなでなですると首筋に頭をこすりつけてくる。かわいぃぃぃぃぃぃ。

「くすぐったいって」

「うるさい」

くぅ、かわいすぎる。普段こんな甘えたさんのイケメンと一緒に私は寝てるのか…!
幸せすぎてご飯10杯いけるな。私の背中に回っていた腕が解けたので気が済んだのかと思うとすぐに後ろから抱きつくように寄りかかられて思わず天に召されそうになる。とりあえず可愛い。マイペースでほっとけないが故に母性本能をぐりぐりと抉られる。

「シーニュ?熱?」

「違う。けど鼻血出そう」

ふうんと興味なさそうに言いながらも柔らかい布を持ってきてくれるあたり、将来いい夫になるだろう。今時家事を奥さんに任せるなんてありえないからね。たまに駅で奥さんに荷物とか持たせてる男。ああいうやつは地獄に行って毎日のようにパシリにされればいいのだ。ふん、ああいう輩に比べてうちのジルちゃんは優秀で思いやりのある最高の子だよ。親バカというやつだろうか。でも仕方がない。こんなにかっこよくて、可愛くて母性本能をくすぐる生き物がいたら誰だって親バカになる。これは必然的なことなのだ。しょうがない。

「シーニュ、ふわふわ」

「太ったと言いたいの?」

「うん」

無意識の発言こそ人を傷つけるのである
 ーアンシャール・アグネス・シーニュー

自分が1番分かってる。ちょっと肥えたかなって思ってた。足とか腕はなんともないけど……いや、二の腕が少し危ないな。でも、何より目立つのは顔。浮腫みだ。これは決して太ったのではないと己に言い聞かせていたが、やはり太ったみたいだ。痩せねば。悪役令嬢がブスだったら張り合いがないではないか。ヒロイン側としては余裕ができてありがたいかもしれないが、私としては張り合いがない。だから、私は絶世の美女でなくてはならない。ダイエット………確かこの国サプリないよね?私ダイエットってサプリでしか成功したことないんだけど。明日から我が家の庭を散歩しよう。

2人してソファに座りながらイチャイチャしているとクソ兄貴が部屋に乱入してきた。

「シーニュ、今日は僕の部屋で一緒に寝ようか」

いきなりどうした?キモいぞ。今頃になって妹の可愛さに気づいたか!はっはっはーバカめ!時すでに遅し、私はぶらこんなどにはならんぞ!とバカにしながらも、しょうがないという顔で寝に行ってやったら床で寝ろと言わんばかりに枕が置いてあった。死ねばいい。いつか絶対に呪い殺してやると心に決めたのだった。

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