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転生したった

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「うっうっう、ただいま泣泣泣」

「あ、おかえりなさいませ」

なに、そのものをあしらうような感じ。傷つかないけどやめてよね。疲れた疲れたと部屋の中に入るとカーテンが全開になっていたので秒で閉めました。上についているろうそくのシャンデリアに火をつけてもらい、直ぐに楽なパジャマに着替える。

「ふぅ~」

「お嬢様、昼食は召し上がりましたか?」

「あ、まだだ」

「そう思って持ってまいりました」

そうして出てくるのはいくつものスープに、数種類のサラダ。2種類の肉と魚に、バケットいっぱいのパン。そう、この世界料理がとてつもなく多いのだ。前世では1日1食だった私にはこの量はとても考えられない。これでも私ように少し少なくしていると言われた時はこの貴族達の胃袋のデカさに驚きを隠せなかった。

「あの、こんなには……」

「はい、そう思いましてシェフにお嬢様のお好みのものと栄養バランスを考えたお嬢様専用ランチをご用意いたしました」

え、じゃあこれはこういう前置きってこと?随分あなた達手が込んだことするのね。
そしてまたしてもワゴンで運ばれてきたのは豪華な金色の取っ手のついたトレーに、前菜と、甘味なパン。クロワッサンにヴィシソワーズ、二口サイズの白身魚にフォアグラ。デザートはシャーベットのようだ。これでも私からしたら相当多いのだが、美味しそうな見た目と匂いについ手が伸びて気づいたら完食している。

「いただきます」

パクッと一口サイズの前菜を食べるとこれまたおいしい。この町は異世界にしては珍しく料理がおいしいようだ。フレンチ最高。私フレンチ大好きよ。と言っても前世では数えられるほどしか行ったことはないけど。でも、好きなものは好きだ。好きすぎてレシピ本を買ったほどに。けど、1ヶ月後には埃をかぶっていた記憶が………。
その後もパクパクと食べていると気づいたら残りはデザートのみになっていた。美味しそう……なんだけどもうお腹いっぱいで食べられない……。あるよね。こういうこと。1番食べたいものがお腹いっぱいで食べられない。この苦痛は何にも表せないけどとりあえず辛い。食べたいよ泣

「ごちそうさまでした………」

「あら、いいのですか?では私がいただきますね」

「え?」

目の前でこれ見よがしに私のシャーベットをパクパク食べるメイドに殺意を覚えてしまったのはしょうがないと思う。
「ふぅ」と言って食べ終わったメイドに鋭い眼光を向けるとなんですかと言われた。なんですかってなんですか。

「お嬢様、あのこちら………」

「ん?」

別のメイドが持ってきた手紙の封を開けて見るとそこには……

『愛しのマイエンジェル
ママとパパは今から帰りまーす。シーニュちゃんにもお洋服と宝石とペットとetcを買ってきました!寂しくなかった?聞いたところによると薔薇会に誘われたそうですね。第三王子様と会えるなんて中々ないわよ?ラッキーね。さすが私の娘。
パパももう直ぐ帰ります。楽しみにしててください。たくさんのお土産と愛を持って帰ります。素晴らしい土地もあったのでボート付きで買いました。今度一緒に行きましょうね』

うんうん文面からひしひしとお金持ち感が伝わってくるよ。私の母も父も聞いたところによると名家のぼんぼん、じょんじょんだそうだ。父は貿易商をしており、さらに土地管理資格で今は領土の分配などを国から命じられている結構すごい人だ。家を出て、自ら爵位を勝ち取り、現在は侯爵家にまで成り上がっている。母も実家は公爵家で、国の財政は全て母の実家が握っていると言われているそうな。そんなお二人のことですからもうお金は湯水のように使うし、仕事をするのはもちろん別荘。家は娯楽ハウスと化しております。さらに母はドレスや靴が部屋に収まりきらないといい、もう1つ川付きの家を買っていました。やばない?
両親自慢はいいとして、問題はこれが届いたということは今日明日にも帰ってくるはず。あとさ、なんで私が第三王子様と会ったこと知ってるわけ?あの学校私のスパイでもいるの?怖すぎなんだけど。でもこうやって言ったらきっとテレパシーよ♡なんていいそうなので見て見ぬ振りをしようと思います。話を戻そう。つまり、こんな格好の娘がいたらドレス買う→何があったのかと心配する→なんかよからぬことを起こしそう!!

「ドレスの準備を」

これ以上めんどうなことはしたくない。私はこれでも設定上は引きこもりを貫き通すのだ!引きこもりの時点で異変を感じそうだが、そうなれば家でできる趣味を作ればいい。とにかく一刻も早く華やかな服に着替えて家中のお菓子を手元に置き、お友達を呼びながら楽しく談笑をしなければ……!

「手紙を用意してちょうだい」

「はい、かしこまりました」

「誰に送るのですか?」

「お友達に」

「あれ、お嬢様にお友達っていらっしゃいましたか?」

「……………と、取り巻きがいるし!」


私は思った。このメイド、私の事嫌いなんじゃない?
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