自称引きこもりの悪役令嬢

ぎんさむ

文字の大きさ
上 下
2 / 27
転生したった

2

しおりを挟む
「はぁ、食べた食べた」

「何言ってんですか。牛乳しか飲んでませんよ」

「牛乳の栄養分とカロリー舐めんな」

「舐めてませんよー」

「おい」

「では、お茶菓子でもどうですか?
今日のおやつはシャルロットですよ」

「ワンホールは無理」

「もちろん一切れです」

そうですか。なぜか最近メイドが私にそっけないのはどうして?あれか、友情が深まると素っ気なくなるやつか?深まって、素っ気なくなって、なんか友情が薄れて…………疎遠になる。そんな未来が見えるのですが?まあいっか。私は前世では無視が普通だったし。話しかけてくれるだけでありがたいよ。うん、ほんの1ミクロンも仕事しろよ。萌え萌えキュンしろよ。なんて思ってないからね。

「お嬢様、目が怖いですよ」

「あら、ごめんなさい」

うわ、何そのなんとも言えない目!なんでさ!私はご令嬢なんだからお嬢様らしくしてて当然でしょうが。と言っても普段の態度があれなので仕方がないか。
お茶菓子を部屋に持ってくるように言ってから静かに自室へ戻りカーテンを閉める。
あー、本当にやだ。こうやってやるとさ真っ暗になっちゃうんだよね。この世界中世ヨーロッパのパチもんみたいな感じだからさ、当然のごとく電気とかないわけ。電子機器とかないわけ。引きこもりくそオタニートからそれ奪ったら何が残るわけよ。まぁ私の場合は容姿を恵んでくださいましたけど、秋葉のメイド喫茶に週一で通ってるオタクどもは外見直してもどうにもならない根性あるんだからね?と、夢に出てきた神に毎回のように畳み掛けている。

さて、とてつも長い前置きはここまで。そうです、ありきたりですが魔法あります。うわ、面倒くせぇ、覚えたくねぇ、と思ってましたが教科書(読める)を読んだら元々の私が暗記していたようでそこそこのものならできました。まぁ、テストに出る範囲は難なくできるぐらい。かもなく不可もなく。そうそう、それが大事。

……………ごめん、何のんきに話しているのだろう。自己紹介がまだでした。アンシャール・アグニス・シーニュ。名前がいっぱいで紛らわしいので説明しますとアンシャールがラストネーム。つまり苗字ね。アグニスがミドルネーム。これは、私のひいお婆様に当たる方の名前。なんでもこの国一の魔法使いだったんですって。だからお父様のミドルネームもアグニス。父方のお婆様らしいので。で、ファーストネームつまり名前がシーニュ。なんか、いろいろ意味がありそうだけど案外どうでもいいのでパスします。だって私からすれば他人からつけられた名前だからね。ごめんよ、私はそこまで人情深くはないのさ。

さて、シャルロットが運ばれてきましたよ。お茶は、ルイボスティーと、東の国発祥のトウモロコシの根を使ったこん茶だそうです。コーン茶ね。はいはい。知ってますよ。我が家のシェフやコックたちが心配してせめてお茶で栄養分を取って欲しいとのことで二種類あるらしい。1つ突っ込ませてくれ。シャルロットにコーン茶はいくらなんでもないだろうよ。コーン茶って焼肉とか韓国料理食べる時に出てくるやつだぜ?まじかよ……と思っているとこれまた東の国の伝統品米焼きが出てきました。おせんべいですね。知ってます。前世では大好物でした。おばあちゃんが。

 ちびちびとシャルロットとお茶を口に運びながらそういえばと思い出す。

「明日は朗読会ね」

「あら、そうでしたか。それではお洋服を決めないと」

「違うのよ。明日のメンバー全員連れがいるのよ」

あっ、おい今鼻で笑ったろ。ふって鼻息聞き逃さなかったぞ!表情は崩さなかったけど今のは絶対笑ったね。ジト目で見てたらニコッと笑顔を返された。うちのメイド優秀すぎやしないかい?

「では、片っ端からフリーの殿方を漁りましょう。お嬢様の容姿でしたら一発ですよ」

「いや、ここは敢えてワンランク上の」

「まさか………」

「そう、お兄様を召喚しようではないか」

「必殺技ですね」

「ははははは」

さあ、私の最終兵器イケメンどSお兄様を召喚しようではないか!
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜

梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーロットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。 そんなシャーロットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。 実はシャーロットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーロットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーロットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。 悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。 しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーロットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーロットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーロットは図々しく居座る計画を立てる。 そんなある日、シャーロットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ

奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。  スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?

荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」 そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。 「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」 「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」 「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」 「は?」 さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。 荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります! 第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。 表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。

悪役令嬢カテリーナでございます。

くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ…… 気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。 どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。 40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。 ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。 40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛する婚約者は、今日も王女様の手にキスをする。

古堂すいう
恋愛
フルリス王国の公爵令嬢ロメリアは、幼馴染であり婚約者でもある騎士ガブリエルのことを深く愛していた。けれど、生来の我儘な性分もあって、真面目な彼とは喧嘩して、嫌われてしまうばかり。 「……今日から、王女殿下の騎士となる。しばらくは顔をあわせることもない」 彼から、そう告げられた途端、ロメリアは自らの前世を思い出す。 (なんてことなの……この世界は、前世で読んでいたお姫様と騎士の恋物語) そして自分は、そんな2人の恋路を邪魔する悪役令嬢、ロメリア。 (……彼を愛しては駄目だったのに……もう、どうしようもないじゃないの) 悲嘆にくれ、屋敷に閉じこもるようになってしまったロメリア。そんなロメリアの元に、いつもは冷ややかな視線を向けるガブリエルが珍しく訪ねてきて──……!?

順番を待たなくなった側室と、順番を待つようになった皇帝のお話 〜陛下!どうか私のことは思い出さないで〜

白猫
恋愛
主人公のレーナマリアは、西の小国エルトネイル王国の第1王女。エルトネイル王国の国王であるレーナマリアの父は、アヴァンジェル帝国との争いを避けるため、皇帝ルクスフィードの元へ娘を側室として差し出すことにした。「側室なら食べるに困るわけでもないし、痛ぶられるわけでもないわ!」と特別な悲観もせず帝国へ渡ったレーナマリアだが、到着してすぐに己の甘さに気付かされることになる。皇帝ルクスフィードには、既に49人もの側室がいたのだ。自分が50番目の側室であると知ったレーナマリアは呆然としたが、「自分で変えられる状況でもないのだから、悩んでも仕方ないわ!」と今度は割り切る。明るい性格で毎日を楽しくぐうたらに過ごしていくが、ある日…側室たちが期待する皇帝との「閨の儀」の話を聞いてしまう。レーナマリアは、すっかり忘れていた皇帝の存在と、その皇帝と男女として交わることへの想像以上の拒絶感に苛まれ…そんな「望んでもいない順番待ちの列」に加わる気はない!と宣言すると、すぐに自分の人生のために生きる道を模索し始める。そして月日が流れ…いつの日か、逆に皇帝が彼女の列に並ぶことになってしまったのだ。立場逆転の恋愛劇、はたして二人の心は結ばれるのか? ➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。

処理中です...