ボイス~常識外れの三人~

Yamato

文字の大きさ
上 下
3 / 14

悦子との夜

しおりを挟む
悦子は晴美とは高校からの友人だ。

まさにモデル体型でどこでもモテた。
高校生の時も大学生に見られ、当時はディスコでも成人と思われていた。
寄ってくる連中も金持ちのボンボンが多く、不自由したことがない。

伸一のような、ごくごく普通の男性とは縁がなかった。

だが悦子は伸一に興味を覚えた。
この時、理由は分からない。

なぜ、見た目の冴えない男に興味を持つのか?
周りにいないせいなのだろうか?

躊躇わず、悦子は伸一にアプローチしてみた。

「山咲さん、良かったら電話番号交換しませんか?」

自分から言うのも初めてだ。
今までは、嫌になるほど言われたセリフも自分で言うのは緊張した。

「こんな美人さんから言われるのは光栄ですね」
(あっ…)

気づいた。

声と言葉の響きがいい。
また聞きたくなる声だ。

響きのいい音は個人別だ。伸一の声は悦子の心に刺さるような声なのだ。
初めて知った。
外見以外の「良さ」というものを。

三日後の夜に自分から電話した。

「こんばんは、尾美です」
「あぁ…どうも」
「待っていたのに電話くれないんですね」
「えっ?交換したばかりだし…ちょっと夜も遅かったから」
すぐ電話が来ると思っていた。
交換した男たちは、みんなそうだった。
「ホントですかぁ?」
「あんまり夜遅いと迷惑でしょ?」
「私の部屋に電話あるから大丈夫ですよ」
「そうだったんだ…それは失礼しました」
(いい声してる…)

「今度、またご飯に誘ってくれます?」
「私で良ければいつでもいいですよ、でも…」
「でも…?なんです?」
「彼氏に悪くないですか?」
「あはっ…彼氏はいませんよ」
「うそだぁ…尾美さんだったら不自由しないでしょ?」
「そんなことないですよ、私モテないから」
「アナタがモテないなら、俺なんて破滅ですよ」
「それはウソでしょ? 山咲さん絶対モテますよ」
「ホントですよ、俺はそんなモテたことない。一度でいいから味わってみたいぐらいです」
「だって、山咲さんて…とてもいい声してるもの」
「声?」
「うん、すごく響きのいい声してる…クセになりそう」
山咲は初めていわれた誉め言葉に照れそうになった。

「初めて言われたけど、声がいいって見た目でがっかりされそうだなぁ」
「私に限っては、それは無いですよ」
「えっ、なんで?」
「だって、もう何度も会ってるから」
「あ…まぁ、そうか。でも声なんて魅力になるのかなぁ?」
「山咲さんの声聞いてなんとなく思ったんです」
「でも、尾美さんみたいな綺麗な人に言われると自信出そう、ははっ」
「あの…今度のお休みっていつですか?」
「えっと、水曜日ですよ」
「もし予定無いならどこかご飯食べに行きませんか?」

誘うのを待つのが、自分から誘っていた。
何年ぶりだろう。

「いいですよ、もし良かったらドライブとかします?」
「車持ってるんですか?」
「地元から持ってきたんですよ。まぁ、普通の車ですよ」
「はい、お願いします」

待ち合わせや時間を決めた。

尾美は電話切るのが惜しくなっていた。
あまりに響きがいい。

「あの…一つお願いしていいですか?」
「なんでしょう?」
「その…あの…」
「ん?」
「…やっぱりいいです」
「どうして? 出来ることなら構いませんよ」
こんなこと言ったことがないし、すごく恥ずかしくなった。
二枚目の男性にだって、こんなにドキドキしたことがない。

だが、欲が恥を上回った。

「……その…言ってほしいことが…」
「ん?」
「その…悦子、おやすみ…って…」
「えぇっ?、まぁ…いいですけど」
「…ごめんなさい、変なこと言って」

「悦子…おやすみ」
(あぁ…だめ…すごくいい響き…)
「…ありがとうございます、ほんとにすいません」
「ははっ、面白かったですよ、じゃあ、おやすみなさい」
「はい…おやすみなさい」

電話を切った悦子は、体が熱くなった。

(はぁ…反則だよ、あの声は…すごく聞きたくなる)

その夜、悦子は自慰をしてしまった。

何人もの男と触れ合ったが、こんな経験は初めてだった。

股間が熱かった。
自分でもわからないが、体が求めていた。

部屋を薄暗くして、パジャマとパンティを脱いだ。

触ると濡れていた。
(うそ?)
指で触ると敏感に感じた。

乳首の感度も上がった。

悦子は唇を噛みしめて、声を我慢した。

(あっ…だめ、すごい感じる…あぁぁっ)

指でクリを弄る。
体がビクビクした。
(だめ!出ちゃう)
「あっ、あん…山咲さぁん…ああっ!」
もう指が勝手に動く。
グリグリと回して、愛液がダラダラと垂れてくる。
(悦子は悪い子だ…こんなに濡らして…お仕置きしなきゃ)
そんな勝手なセリフを思い浮かべ、まるで犯されるような体位を想像した。
(ごめんなさい! あっあぁっ、あんあん)

「はぁぁっ…あっあん、はぁん、だめ! いくいくいく!いっちゃう」

ブルブルと震え、思いっきり果ててしまった。

「はぁっはぁっ…」息も荒く痺れていた。

股間を見た。
(やだ…こんなに濡れてる)

ティッシュで吹くも、とめどなく流れてくる。
これも初めてのことだった。

悦子は初めての経験に驚きと戸惑いを隠せなかった。
声で自慰をしてしまう。
墓場までもっていくような出来事だった。

シャワーを浴びて汚れを流した。

ベッドで落ち着きながら考えた。
(あの声で迫られたら、拒否なんてできない…したくない…かも)

女は付き合うときに、外見だけでは判断しない場合が多い。
悦子は外見が一番だと思った。

だが、それらには何か足りないものがあると感じていた。
かっこいいし、お金もある。だが、それらは親の恩恵であり実力ではない。

「何か」が足りなくて、その何かも分からず過ごしてきた。

悦子はまだ気づいていない。
自分のタイプがどこにあるのか?

水曜日。

赤羽駅での待ち合わせ。
天気も良く、ドライブにはちょうどいい。

悦子はボディコンのワンピースを纏っていた。
当時は流行っていたし、着る人間を選ぶ服だ。

体に自信が無ければ着れないだろう。

「おはようございます」
「おはようございます。いい車ですね」

悦子は少し照れた。
感じまくった自慰の相手が横にいる。

「尾美さん、どこか行きたいとこありますか?」
「お任せします。あっ…それから」
「どうしました?」
「…ふふっ…今日だけは悦子って呼んでくれませんか?」
「えっ?そっちの方がいいの?」
「はい」
「分かりました…」
付き合ってもいない相手を下の名前で呼ぶのは、大人の間では不思議なものだ。
学生の友達ならよくあることなのだが。

伸一の車はマニュアルだった。北海道はそっちの方が便利だが東京では厳しい面もある。
「マニュアルなんですか?」
「そうなんですよ。地元では当たり前ですけど、東京はオートマの方が便利ですよね」
慣れた手つきでシフトチェンジする姿も新鮮だった。
(へぇ…なんかかっこいいなぁ)

車は横浜に向かった。

首都高速から横羽線で空港を横目に、川崎の工場街を抜けていく。
途中で渋滞はあるものの、水曜日のせいか詰まるものでもなかった。

運転中、悦子は何度となく伸一を見つめた。
(もっと話してほしいな…悦子って言ってほしい…)
そんな思いを隠しながら待っていた。

「あっ、悦子さんは旅行は行くの?」
「えっ、そうですね。最近は行ってないけど…好きですよ」
「箱根ってまだ行ったことないんですよ、結構値段もしますよね?」
「そうですね、箱根は高いですからね」
また、悦子の妄想が働いた。
(山咲さんと二人で行ってみたいなぁ…そしたら、一晩中…)

昼飯時になり二人は喫茶店に入った。
伸一はステーキを、悦子はパスタをオーダーした。
伸一がタバコを取り出したときに気づいた。
「あっ、悦子さんって吸う人ですか?」
「えっ…ええ」
女がタバコを吸うのは嫌われるケースが多く、思わず返事してしまって後悔した。
「じゃあ、遠慮なく吸ってください」
その言葉に驚いた。
「いいんですか?」
伸一は一瞬、不思議そうな顔をした。
「どうぞ、私は気にしないので…」
「でも、嫌がる男性多いですよね?」
「うーん、そういう人が多いけど、私は吸ってくれた方がこっちも気にしないですむから」
なるほど、そういう考え方もあるのか…と。

「タバコ吸いって車とか、ホテルとかでも吸いたくなるでしょ? そんな時、相手も吸ってると
匂いとか気にしないし、嫌がられないでしょ?まぁ、嗜好が合うってことで」
「そー…ですよね」
これまでの男性は嫌がられた。
だから隠れて吸ったこともある。
「男性は吸ってもいいけど女性はダメ」
そんな雰囲気は世間で蔓延している。
確かに我ながらイメージは良くないだろうと思う。
「例えば、女性の場合はTPOで吸えない事もありますよね。しれは仕方ないかもしれません。でも、彼氏とかの前ぐらいは吸ってもいいんじゃないかな。まぁ、健康とか赤ちゃんのこと考えるといい嗜好しは言えませんがね」
笑って言い放つ伸一の姿に好感が持てた。

「山咲さんは女性に対してこだわりはあるんですか?タイプというか…」

伸一は少し考えて話した。

「あんまり言えないなぁ…」
「どーしてですか?聞きたいです」
「いや、絶対嫌われるから…」
「そんなことありません、教えてください!」
その口調に伸一が驚いた。
「あっ…ごめんなさい、つい…」
伸一は笑って手招きした。
どうも言いにくいようだった。
悦子は顔を近づけた。
耳元でボソッと呟いた。
「エッチな人…」
悦子は二つの衝撃を受けた。
一つはいきなり、そんなタイプを挙げたこと。
もう一つは「声」である。この間、この声で自慰をした。
その声で「エッチな人」と言われて嫌どころか、心にドカン!と響かせるものがきた。
悦子も、年からしてそれで照れるほど純情ではないが、ものすごくドキドキした。
顔が真っ赤になった。
「ウソですよ…すいません、嫌われたかな?」
「いえ…そんなことないですけど…それが、タイプ?」
「まぁ、全く無い人は無理かな。さっきのタバコじゃないですけど、嗜好の一致って大事だと思うんです。外見が良くても、求めているものが違ったり、自分の思想とかと合わない人はダメでしょ? 遊び人に結婚求めた付き合いが難しいように、片方がエッチが好きだとして、相手がしたくない人ならそれを補う何かがいるんじゃないかと」
伸一の意見に悦子は思いっきり納得した。
「じゃあ、どんな女性がタイプですか?」
「一言でいえば、ついてきてくれる人…かな」
「具体的に言うと?」
「色々聞きますね」
「あっ、不愉快ですか?」
「いえいえ」
「俺って古いところがあって、結婚するならたぶん亭主関白になると思ってます。でも、妻が働かなくても食わせてやれるぐらいの甲斐性は持ちたい。命令とかはしませんよ。ただ、妻が他の人にも自慢できるぐらいの頼られる存在でありたいと思ってますね」

悦子は何かが一致したような気分になった。

(そっか…私って、そういう男とは縁が無かったんだ…)

いわゆる「自立した男」である。金持ちのボンボン連中に惹かれなかったのは、「甲斐性」が見えないからだ。

「悦子さんは?」
「私…ですか?」
「まぁ、悦子さんなら引く手あまたでしょうけど」
「いえ…そうですね、山咲さんみたいに引っ張ってくれる人がいい…かな」

悦子は初めて自分のタイプを口に出しながら理解した。

「じゃあ…悦子さんは夜の好きな人?」
「えぇっ?」
「はははっ、ごめんなさい。調子に乗りすぎました」

悦子は、こんな事を言われて不快に思わない伸一に惹かれていた。
それに、接し方も威圧的とか自己顕示でもなく「さらり」と話す。
そして、この声だ。
耳元で囁かれてから、この声が聴きたくてたまらない。

悦子はの経験数は20人はいる。
全員ダメでもなく、全員良い訳でもない。

「もう少しだけ調子にのってもいいですか?」
「なんですか?」
「夜にも嗜好がありますよね? 例えば自己満足で終わる人と相手を考えてくれて接する人と」
「確かに、そうですね」
「俺はせっかくするならお互いに、満足できる方がいい。その方が結びつきも強くなるしね」
「それは納得です」
「エッチって女性のものですからね」
「はい?」

これも意外な言葉だった。
女性から見れば、絶対男性のものと思う。
「でも、風俗とかあるし男性の欲を満たすものでしょう?」
伸一は軽く笑った。
「確かに女性からみたらそう思いますよね。俺が言いたいのは恋人同士とか家族とかの範囲の話ですけどね。男性って果てると次の回復にそれなりの時間がかかる、女性はすぐでも出来る。それに女性の感じ方は男性の数十倍って聞いたことがあります。その間、常にリードして動くのは男性が多い。見方を変えれば、一度、お互いが果てるのに動くのは圧倒的に男性です。これって奉仕みたいなもんだと思いませんか?」

不思議と納得できる部分がある。

「女性は大抵、目をつぶっているでしょ?実は、男性はその間に次をどうするか考えているんですよ」
「えっ、そーなんですか?」

昼間からの話題ではない。
しかし、悦子は夢中になっていた。
周りに人がいないのが幸いである。

「そりゃそーですよ。リードしてる方が動いて考えるんです。でも女性はされるがままで最後に果てる。しかも数十倍ってな感じなら、男は一瞬の花火を咲かすのに死ぬほど動かなきゃならない。これって不公平でしょ?」
「あははっ…確かにそーですね」
「だから女性のものなんですよ。女性にねぇ~またしよって言われたら、ちょっと待ってくれって言いたくなる」

悦子は爆笑した。
そしてなんでこんな話題が嫌じゃないのか理解した。

声はもちろんだが話し方が上手なのだ。
下ネタなのに、言葉をかなり選んで比喩も混ぜてくる。
だから、普通に聞けるのだ。

「じゃあ、苦労されたんですか?」
「そりゃあ、もう…なんてね」

(この人…頭いい人だ…)

「すいません、変な話しちゃって、せっかく誘ってくれたのに不快な思いさせました」
「いえいえ、とっても面白かったです。初めてですよ。夜の話で笑ったのは…」

悦子は感じた。
伸一が欲しい…と。もし今日泊まれと言われたら躊躇せずについていくだろう、と。

そこから中華街を散策し山下公園でのんびりした。

「こんな風景は地元にはないなぁ」
「旭川ってどんなところですか?」
「なんにもない田舎ですよ。冬は寒いし、夏は暑いし…水と海産物は美味いけどね」
「東京の人は自然がないから見たくなりますよ」
「まぁ、無いものねだりなんでしょうね」

夕暮れが二人を照らしていた。

悦子はジッと港を眺める伸一の横顔を見つめた。

「あの…」
その声に伸一が顔を見た。

その瞬間に悦子は唇を重ねた。。

伸一は驚いた。なんとなく悦子の態度で感じるものが無かったわけではない。
だが、女性からのキスは初体験だった。

「ちょ…ダメでしょう…」
「どうして?」
「悦子さんには似合わないよ。もっと他に…」
またキスをした。
伸一の唇に悦子の口紅がついている。
「…卑怯です」
「卑怯?」
「そんないい声して、私を引き寄せて、今度は突き放すんですか?…」
「いや、そんなつもりないけど」
悦子は伸一の首に手を回した。
伸一を見つめた。
そのまま抱きついた。
(いい匂いがする…)

安物だが伸一のつけている男性用の香水だ。
身だしなみでつけているだけだ。

「お願い…悦子って言って…」
伸一は高揚した。
都会のいい女が、自ら抱きついてるシチュエーションに興奮した。
地元を卑下する訳ではないが、少なくとも伸一の周りにはいないあか抜けた女性だ。
「悦子…」
思いっきり抱きしめた。

細くもあり所々の肉感がたまらない。
「…今日…帰りたくない…」

男にとっては破壊力のある言葉だ。
いい女に言われて男冥利に尽きる。

「いいの?」
「…うん」

それから、車で飛ばして浦安のホテルに入った。

さすがに寮はまずいし、何より悦子はバイトだ。
バイトに手を付けたなんて知られたら立場もまずい。

少し離れた場所が、意味のない担保のようにも思えた。

二人はシャワーを浴びて、ベッドで激しいキスをした。
首筋も鎖骨も、耳元も舐めつくした。
「あっ、あぁん、いい…あぁぁっ!」
悦子のCカップが伸一の手に収まり、ゆっくりと揉まれる。
「はうっ…」
乳首を舌先で舐めながら、片方は指の腹で回す。
「あうっ…あっ、だめぇ…それ、あん」
そして、耳元で囁く
「悦子…覚悟するんだよ」
「あん!あっ…は…はい」
悦子はおかしくなった。
いつものセックスと違う。
まるで言いなりになる事を喜ぶかの気持ちだ。
後ろに回り、乳房を弄られ首筋を舐められる。
「はぁ…ん、あっあぁぁっ…」

悦子のお尻に伸一の固い肉棒が密着してる。
膝立ちのまま、伸一は陰部に手を伸ばした。
もう洪水だ。
ヌルヌルした悦子の愛液が待っている。
かき分けるように、クリトリスを刺激する。
「あっ!そこ、あん…あっあっ」
燃えるとはこの事か。
悦子は、経験のない快感に抗える術を持たなかった。
クリを容赦なく攻める。
体がガクガクした。
「あー、あっあっあっあん!だめぇ!」
「何がダメなんだ?」
「…そ、そこ、あっあんはぁぁぁっ!」
「止めるか?」
伸一はワザと動きを止めた。
「はあっ、あっ、あん、もっと…も」
言い終わらないうちにまた攻めた。
「はぁぁぁっ!いやぁ!あっ!ひ、卑怯!」
その時だ。
口を塞がれた。
「んんん…ん、ぅん!」
そのままクリをグルグル回した。
「ん!ん!ん!ん!ん!ぅん!ぅん!」
息が漏れるが、快感は漏れずに悦子の全身を攻めた。
「ング!ング!ング!」
イキそうなのを確認して、スピードを速めた。
その時口から手が離れた。
「あぁぁぁっ!だめぇ!いくいくいく!
いっちゃうぅぅぅ!あっあん!いくいくぅ!
し、伸一さぁん!いくいくぅぅぅぅ…」

悦子はダラダラとヨダレを垂らしながら、倒れた。
「ハァッ、ハァッ、…ハァッ」
初めてだ。クリの愛撫だけでこんなに感じたのは…
(な、なんで?なんでなの?…)
伸一はゆっくりと、悦子のスラリと伸びた脚を開いた。
「キレイな脚だね」
そして、耳元でこう囁いた。
「これからだよ」
(なに?なに?なにするの?)
少し怖かった。
クリであの果て方だ。
これ以上されたら死ぬかも…
伸一は、悦子の首から後ろに手を回し、グッと身を引き寄せた。
二人の顔が目の前にある。
左肩を掴み力を込めた。
(あっ…すごいチカラ…)
力の抜けた状態では身動きが取れない。
そして微笑みながら、また陰部に手を入れた。
敏感なアソコが反応する。
ビクッとする。
今度は中に指がヌルっと進入した。
そして、ゆっくりとグルグル回した。
「あっ、 あぁぁっ…そ、それ…あっ!」
伸一は常に耳元で囁く。
「悦子はどこがいい?ここか?」
響く声が耳から、そして下から快感が同時に攻めてくる。
「あっ!くっ…あぁっ!あん!い、いやぁ」
「ここだな」
当たりを付けた指がそこだけを刺激する。
悦子の顔が歪んだ。
指が伸一の腕に食い込む。
「グチュグチュしてるよ、いやらしい音が…ホラ…」
指が更に加速する。
「だめぇ!いやぁ!あっあっ、あぁぁぁっ!
で!出ちゃう!ねぇ!出ちゃう!あっ!あん、はぁぁぁっ!いやいやいやいやぁ!
あー!あっあっあっ!あー出ちゃうぅぅ」
シューと音がした。
悦子は潮を吹いた。
「はぁはぁはぁ…ばかぁ!恥ずかしい!」
伸一はただ微笑むだけだ。
「…うっ…こんな…ヒドイわ…」
「もしかしてオシッコしたと思ってる?」
「そーよ!伸一さんヒドイ!」
「あのさ…これオシッコじゃないよ」
「えっ…えっえっ?」
「知らないの?これ潮吹きだよ」
「潮?何それ?」
悦子は人生で初の潮を吹いたワケだが、今までのオトコでは未経験。
「じゃあ、後で教えてあげるよ」
今度は脚に移動して、両脚を掴んで寄せた。
「あん!」
悦子は仰向けのまま、また指が入ってくるのを感じた。
「今度は違うからね」
奥まで入る。
「あぐっ!」
瞬間の快感に襲われた。
さっきよりも乱暴気味だが痛みは無い。
「ちょうどいいぐらいだ」
何を言ってるのか分からない。
途端に奥で指が暴れ出した。
「あん!あっあっあっあっ…あぁぁぁっ!」
また違う快感だ。
そして、伸一はクンニを始めた。
「あっ!だめぇ!それだめぇ!あん!あん!
あん!あぁぁぁっ…ん!」
ジュルジュルとワザと音を立てて舐め回す。
悦子は開いた脚の間で、頭を埋める伸一を見て、更に興奮した。
「あっあっあっあっあっ!スゴイ!すごい!
伸一さぁん!あぁぁん!あん!あっあっ!」
「いいよ、イッてごらん」
悦子は無意識に伸一の髪を掴んだ。
「あぁぁぁぁ!いくいくぅ!いっちゃうぅぅぅ!あぁぁっ…あん!いくいくいくいくいくはぁぁぁっ…いくいっくぅぅぅぅ!」

悦子は2度目の果てを味わった。
体が痺れてた。

伸一は悦子が少し落ち着くのを待った。
「はぁはぁはぁ…」

「大丈夫ですか?」
「……伸一さんばかりズルいです」
「ふふっ…じゃあ今度は悦子にしてもらいますか」
悦子の前に立った。
伸一の肉棒が反り返ってる。
(大きい…ってか先が大きい!)
悦子は顔が小さい。鼻も高く均整が取れた顔立ちだ。口も小さい。
お口に入るかな…
そんな思いを含んで、肉棒を咥えた。
「ん…ぅん…」
伸一の手が頭に添えられる。
(あぁぁっ…すごい…大きい…)
皮かむりでも無い。
曲がってもいない。
伸一と比較して、数多い経験を持つ悦子でも
見たことのない肉棒だった。
さすがにアゴが疲れる。
回りに舌を這わした。
裏も表もジュルジュルと舐めた。
「じゃあいくよ」
悦子はポォーンとベッドに倒された。
脚を広げて陰部に当てがった。
「あっ…」
クリにあたり何度も擦り付けた。
そしてググっと押し込んだ。
「あぁぁぁっ…」
鈍く広がる快感に悦子は耐えようとした。
ゆっくりと奥まで入ったところで止めた。
「あっ…あっ」
「オレを見てごらん」
悦子が目を開けた。
微笑む伸一がいた。
「痛い?」
首を横に振る。
そのまま更に奥に押し込んだ。
「あぁぁぁっ!あん!」
「ほら、オレを見て」
悦子は言われるまま目を開けた。
「いくよ」
ゆっくりとピストンする。
そして徐々にスピードが上がった。
悦子はたまらず目を瞑った。
「あん!あん!す!スゴイ!あっあっあっ、あん!あっ!おく!おく!あっあん!」
悦子は、伸一にしがみついた。
耳元でまた囁かれた。
「ほら、犯されてるよ!悦子!悪い子だ」
「あっあっ!だめぇ!あっあっ!あんあん」
もうたまらなかった。
爆発しそうだった。
そして、グン!と奥付きしたまま止めた。
「あぁぁぁっ!いやぁぁ!」
「いくいっくぅぅぅぅ!」
その瞬間いきなり抜かれた。
(えっ?)

「まただよ」
悦子は四つん這いにさせられた。
お尻を掴まれ肉棒が当たった。
ググッと入ってくる。
「あぅっ!」
今度はいきなり突き出した。
「はぅ!…ぐっ…あぁっ、あっあっ!」
バァンバァン!と肌のぶつかり合う音と悦子の喘ぎ声が部屋中に広がる。
「あっあっあっ!…あたる!おくに!…あぁっ!あん」
伸一は悦子の両腕を掴んで引き寄せた。
顔を枕に乗せたまま、自由を奪われた悦子の感度は更にギアを上げた。
「すごぃ!、あたるぅ~! あっあっあっ、あん、あっあぁっ」
動きも早くなりリズミカルになった。
「あん、あん、あん! はぐっ! はぁぁぁぁっ、あん」
今度は顔も上げてエビぞりにさせた。

腰のしなり具合が伸一の興奮を誘う。

パンパンと何度も叩きつけ、お尻も叩いた。
「あっあっ…いゃ!いや!いやぁ~!あぁっ」
最後に奥づきをしながら止めた。
「あっあっ、いくいくいく!あぐっ!いっくぅぅぅぅぅぅ~…」

そのまま悦子はベッドに倒れ、伸一も解放してあげた。


悦子は目を覚ました。
伸一は横でタバコを吸っている。
ぼやーっとしながら三度も味わった会館に支配された。
「…もしかして…寝てました?」
「いや、五分くらいだよ」
動くと体の痺れがざわついた。
下腹部に残る「余韻」が半端ない。
ずっとジンジンしてる。

「ひどいですよ…あんなにするなんて」
「それは申し訳ない…調子に乗りすぎた…」
「ウソつき……」
「なんのこと?」
「モテないなんてウソ…」
「ほんとだって、経験数だって5人しかいないよ」
「そんなはずないです、5人であんな攻め方しません!」
「えっ?みんなあれぐらいの事するでしょう?」
「しません!」

悦子は少しだけ怒った。
悔しさもあった。
だまされた気分にもなった。
そして、どれだけ女性を泣かせてきたのか、とも思った。
過去の女性への理由のないヤキモチも含まれている。

「大体、アタシより年上であんな風に出来るなんてもっといるに決まってます!」
「あのぉ~…」
「はい?」
「俺…悦子さんの一つ下なんですけど…」
「はぁっ?えっ?」

伸一はジーンズのポケットから運転免許証を出して見せた。
1968年1月生まれだ。
悦子は1967年2月だから、ほぼ一年の差がある。
頭がクラクラきた。

「言ってませんでしたか?」
「は…初めて聞きました」
悦子は内心驚愕した。

人畜無害の風貌。
平凡すぎる顔。
響きのいい声。
驚くほどのテクニック。
そして…年下クン。

どれも予想しない、悦子の知り合いの誰とも交わらない事実。

(何者なの?)
そういう感想しかない。

「もしかして、年下は対象外でしたか?」
「あっ…いえ、そんなことないです、…けど」

「なんでか知らないけどね、自分では童顔だと思ってたけど東京に来てから、やたらに年上に見られるんだよな」
「あの…ホントに5人なんですか?」
「まぁ…証明は出来ないけど間違いないですよ」

実は、伸一は悦子に一つだけ伝えていない事実がある。

伸一は果てていない。

これは絶対に言えなかった。

理由は笑える。

初めての行為の時、何の知識もなくいきなり入れようとした。
ゴムも高校生では手元になかった。
中二で完全に剥けていた伸一だった。
大して濡れてもいない状況で勢いつけて入れようとしたら、皮が伸びて痛みが走った。
結局、出来ないまま終わった。

なので正確には4人が経験人数である。
それ以来、知識も用具も学んで揃えて、いざコトに及ぼうとすると<痛み>がフラッシュバックする。

不思議な具合に、勃起はするし感じるのだが痛みが蘇り<果てる>までに届かない。
そんな状態が続いてた。

唯一、自慰だけが満たせる行為だった。

「アタシじゃ不満なの?」
「不感症?」
「アタシのアソコっておかしいの?」

こんな面倒な質問が必ず来る。現に過去2人に言われた。

だから、伸一は頭を切り替えて、女性が喜ぶセックスに没頭することにした。
幸いに4人は感じ方も感じる場所もみんな違った。大きくというより微妙に…という具合。
いっその事、考える余力が無くなるぐらいに相手を満たして誤魔化そうとしていた。

悦子の場合もバックでイッたふりをして、さっさとゴムを外してティッシュでくるんで捨てた。

悦子は水を一口含んで、伸一に口移しで飲ませた。

「なんで、あんなに女性の体を知ってるんですか?」
「それが分からないんですよ。他の男のやり方なんて知らないから…ただ、自分のやり方で相手を
満足させるのは面白いなと思いますよ」
態勢を変えたときに余韻が襲い、また愛液が出てきたのが分かった。
「うっ…」
「大丈夫?」
「もう…攻めすぎです…」

悦子は目覚めてしまった。
自分の求めていた男が目の前にいた。

時計は12時を過ぎていた。

「帰りましょうか」

伸一の言葉に従い家まで送ってもらった。

車を降りるとき、悦子は思っていた。また会いたいと。

「あの…次の土曜日ってシフト入ってますよね?」
「あぁ…そうですね」
「その…終わってから…その…」
言いたいことは伸一にも分かっていた。

「いいですよ、俺もそこで仕事終わるから飯食って一緒に朝まで過ごしますか?」
「はい!」
朝まで…悦子は泊まれる喜びを笑顔で表した。

家のベッドで横になっても、まだ体がうずいてる。
余韻が全く消えない。

それは4日目にやっと沈静化した。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

九龍城砦奇譚

菰野るり
ライト文芸
舞台は返還前の香港九龍城。 極彩色の洗濯物なびかせながら 飛行機が啓徳空港へ降りてゆく。 何でも屋のジョニーに育てられたアンディは10才。国籍も名字もない。 少年と少女の出逢いと青春を 西洋と東洋の入り混じる香港を舞台に 雑多な異国の風俗や景色 時代の波と絡めながら描く

イチゴ

高本 顕杜
ライト文芸
イチゴ農家夫婦のひと時。

俺のごはん

籠 冬雪
ライト文芸
30代サラリーマンの日常。 ごはんがテーマで、ゆるーく平和な世界です。

鬼を斬る君と僕の物語

大林 朔也
ライト文芸
中学生の夏に、主人公(一樹)は、鬼と戦う不思議な力を持つ男の子(晴夜)と出会った。その出会いで、この世界には鬼が存在していると実感する。やがて大学生になった一樹は気になる女性ができたが、その女性はなんとも不思議な女性だった。その女性の事を晴夜に相談すると、晴夜は彼女が「鬼」である可能性を告げたのだった。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

今夜もきみとあなたと極上ほっこり飯

満景美月(みかげみづき)
ライト文芸
イケメン店主の店で美味しい肴とお酒とおしゃべりを(息抜きの不定期連載) イケメン店主の店で美味しい肴🍲とお酒🍷とおしゃべりを……。 「このお店には、5人が座れるカウンターとふたりがやっとの立ち呑みテーブルがふたつ。 ……ウッドデッキのテラス席もありますが。 小さなバルで、私は癒やしの時間を過ごします。 イケメン店主と常連客の一人と仲良くなりました」 久住なるみは、恋愛ベタな女の子。 両親は相次いで病気で亡くなってしまい高卒で働きはじめ、二十歳になりました。 男運のないなるみは、彼氏と長続きしません。 今回は初めての社内恋愛で、二股されて捨てられてしまいました。 気丈に振る舞い、仕事をますます頑張りますが……。 なるみは、ふと、寂しさにかられて海沿いを散歩したら、ひっそりと佇む扉にかかるランプの灯りの綺麗なお店をみつけました。 そこは素敵な、優しい笑顔にキュンとする美形な店主がいる居心地のいいお店でした。

夫を愛することはやめました。

杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。

処理中です...