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監禁前夜
五話・憤怒の先にあったモノ③
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アイネがメアの笑顔を怖いと思ったのは、この日が初めてのことだった。戸惑いと心配と恐怖を器用に混ぜ込みながら、自身を包む彼の体温を感じていることしか出来なかった。
その腕を拒むこともせず、その言葉を否定することもせず。
ただ、ひたすらに『いつもの彼』と出会えることを願っていた。
後になってから、監禁部屋であるこの部屋で一人静かに「あの日、メアを否定出来ていたら……」と何度も考えることになろうとも。
今の、監禁されたという事実に呆然とするアイネでは何もできなかった。
「ひッ、…え? ……んっぁ、あぁ…っ」
「……あは、えっちな音……ほら、ココ。かりかりって」
「やぁ……おす、なぁっ……んんっっ」
抵抗という言葉を忘れている間に、メアの男らしく育った指は迷わずアイネの股座へと伸びていった。尻を撫で、その奥に隠れた女性の象徴をつま弾いた刺激に、ようやくアイネは現実を取り戻す。
「イヤだ」「イヤだ」と首を振って、腕を突っ張り離れようと試みた。……が、可愛い猫の戯れだと言わんばかりに、メアは目を細めて笑うばかりだ。
「ィヤだって、ア、うぁ……やめ、へ、ぁ、あぁんっ」
「はぁ……あはっ、ほんと良い声。…………あぁ、くそ。ムカつくなぁ……あんなくだらない奴らがアイネを犯してたなんて」
「や、ン、はぁっ、メア、やめ、やめろ……っ」
衣服の上から何度も粒の辺りをカリカリ引っ掻かれて、せっかく忘れていた情欲の熱を思い出した身体はひどく熱を持ち始める。
嫌だと拒みたいのに、トロリ流れる蜜がソコを潤わせ、ひくつく花弁がナカの寂しさを訴える。下着が濡れ始めているのが分かって、余計に羞恥心から感度が高まった。
それなのにズボンの上からメアの指がぐりぐり押し入るような動きをするものだから、たまらず体は震え腰は誘うようにくねってばかり。どんどん身体と心が乖離していく。
「そうだ。このまま廊下でイこっか。今日はいっぱい中出しとお仕置きするつもりだったし」
「あぅんっ、……え、…な、か……中出し…って…」
メアの言葉に、快楽の波と共にサッと血の気が引く。
強張ったアイネの身体を依然として腕の中に閉じ込めていたメアが、愉快そうにくすくすと笑った。精霊の微笑を思わせる愛らしい音色とは裏腹に、アイネの胎を撫でるその手つきは淫猥だ。
セックスなど知らないと勝手に思い込んでいた幻想にヒビが入る。ピキ、ピシ、音を立てて何か分厚いガラスのようなものがヒビ割れ、その度に軋みをあげた。
「さっきも言ったけど、怒ってないって言ったのはホント。アイネを抱いた奴らに対してはムカつくけど、アイネには怒ってないよ。でもね、ほら、やっぱり無茶をしてたってことについては怒ってもいいと思うんだ。色んな人に抱かれるって感染症の原因にもなるし、なによりアイネの身体がボロボロになっちゃうもん」
「あっ、ま、…まって、メア……あぁっ」
するりするりと慈愛を込めて。うっそりと笑みながらメアはアイネの胎を撫で続ける。話しながらも反対の手は器用にズボンのベルトを外し、今度は直に尻を撫でてから秘部の口を突っついた。
くちくち小さな音を立てて、メアの指は女性器と戯れる。クリトリスを虐められることもなく、表面をくりくり刺激されているだけなのに蜜壺から溢れた露がどんどんと乾いていた指先を湿らせていく。
そうして、つぷりと一本指が境界を踏み入った。
「あ、……あぁ、……はい、って……」
「アイネって濡れやすいの? それとも興奮してくれてる? だったら、嬉しいなぁ。これから毎日、俺がいーっぱい気持ちよくしてあげるからね。もう誰にも抱かれなくていいんだ。俺が全部守ってあげるから」
一方的な言葉に口を挟む余裕がない。
いや、本当はなんて言葉を挟み込めばいいのか分からなかった。
知っている筈の人間が、知らない顔をして己を犯している。
アイネからしてみればこの行いは他の誰とも変わらない。日常行為の一部だ。同意の上で始めたセックスか、強引なセックスかの違いしかない。今更、レイプについてどうこうは思わなくなっていた。
はずだった。
(なんで? どうして?? メアが、オレを、犯してる……? それに中出しって、なんで? 何がしたいんだよ。なんでそんなさも当然のように……!!)
それでも、信頼していた無二の存在から受ける辱めは、
確かにアイネの心を蝕んでいた。
その腕を拒むこともせず、その言葉を否定することもせず。
ただ、ひたすらに『いつもの彼』と出会えることを願っていた。
後になってから、監禁部屋であるこの部屋で一人静かに「あの日、メアを否定出来ていたら……」と何度も考えることになろうとも。
今の、監禁されたという事実に呆然とするアイネでは何もできなかった。
「ひッ、…え? ……んっぁ、あぁ…っ」
「……あは、えっちな音……ほら、ココ。かりかりって」
「やぁ……おす、なぁっ……んんっっ」
抵抗という言葉を忘れている間に、メアの男らしく育った指は迷わずアイネの股座へと伸びていった。尻を撫で、その奥に隠れた女性の象徴をつま弾いた刺激に、ようやくアイネは現実を取り戻す。
「イヤだ」「イヤだ」と首を振って、腕を突っ張り離れようと試みた。……が、可愛い猫の戯れだと言わんばかりに、メアは目を細めて笑うばかりだ。
「ィヤだって、ア、うぁ……やめ、へ、ぁ、あぁんっ」
「はぁ……あはっ、ほんと良い声。…………あぁ、くそ。ムカつくなぁ……あんなくだらない奴らがアイネを犯してたなんて」
「や、ン、はぁっ、メア、やめ、やめろ……っ」
衣服の上から何度も粒の辺りをカリカリ引っ掻かれて、せっかく忘れていた情欲の熱を思い出した身体はひどく熱を持ち始める。
嫌だと拒みたいのに、トロリ流れる蜜がソコを潤わせ、ひくつく花弁がナカの寂しさを訴える。下着が濡れ始めているのが分かって、余計に羞恥心から感度が高まった。
それなのにズボンの上からメアの指がぐりぐり押し入るような動きをするものだから、たまらず体は震え腰は誘うようにくねってばかり。どんどん身体と心が乖離していく。
「そうだ。このまま廊下でイこっか。今日はいっぱい中出しとお仕置きするつもりだったし」
「あぅんっ、……え、…な、か……中出し…って…」
メアの言葉に、快楽の波と共にサッと血の気が引く。
強張ったアイネの身体を依然として腕の中に閉じ込めていたメアが、愉快そうにくすくすと笑った。精霊の微笑を思わせる愛らしい音色とは裏腹に、アイネの胎を撫でるその手つきは淫猥だ。
セックスなど知らないと勝手に思い込んでいた幻想にヒビが入る。ピキ、ピシ、音を立てて何か分厚いガラスのようなものがヒビ割れ、その度に軋みをあげた。
「さっきも言ったけど、怒ってないって言ったのはホント。アイネを抱いた奴らに対してはムカつくけど、アイネには怒ってないよ。でもね、ほら、やっぱり無茶をしてたってことについては怒ってもいいと思うんだ。色んな人に抱かれるって感染症の原因にもなるし、なによりアイネの身体がボロボロになっちゃうもん」
「あっ、ま、…まって、メア……あぁっ」
するりするりと慈愛を込めて。うっそりと笑みながらメアはアイネの胎を撫で続ける。話しながらも反対の手は器用にズボンのベルトを外し、今度は直に尻を撫でてから秘部の口を突っついた。
くちくち小さな音を立てて、メアの指は女性器と戯れる。クリトリスを虐められることもなく、表面をくりくり刺激されているだけなのに蜜壺から溢れた露がどんどんと乾いていた指先を湿らせていく。
そうして、つぷりと一本指が境界を踏み入った。
「あ、……あぁ、……はい、って……」
「アイネって濡れやすいの? それとも興奮してくれてる? だったら、嬉しいなぁ。これから毎日、俺がいーっぱい気持ちよくしてあげるからね。もう誰にも抱かれなくていいんだ。俺が全部守ってあげるから」
一方的な言葉に口を挟む余裕がない。
いや、本当はなんて言葉を挟み込めばいいのか分からなかった。
知っている筈の人間が、知らない顔をして己を犯している。
アイネからしてみればこの行いは他の誰とも変わらない。日常行為の一部だ。同意の上で始めたセックスか、強引なセックスかの違いしかない。今更、レイプについてどうこうは思わなくなっていた。
はずだった。
(なんで? どうして?? メアが、オレを、犯してる……? それに中出しって、なんで? 何がしたいんだよ。なんでそんなさも当然のように……!!)
それでも、信頼していた無二の存在から受ける辱めは、
確かにアイネの心を蝕んでいた。
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