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第三十一章 最終章③ 真相の開示編

第100話‐2 ヒュアキントスとアドニスの正体

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「君達がかつてアトランティス人を救おうと、銀河法典の掟を破ろうとし、大罪を犯した時…。神を人工的に作る実験は中止された。そして、君達の処遇について僕達は話し合った。君達を廃棄処分するべきだとの意見もあった」
「「!」」
「だが、僕は反対した。それでは君達が哀れだと思ったのもある。だが…僕は君達に愛情を注いでしまった。だから君達を救うことにしたんだ」

エロスは慈しむような眼差しで美少年達を見つめた。
その表情からは、深い慈愛を感じることができるものだった。


「私にもその気持ちはわかるよ。私も自分が作った地球人を愛しているからね。作者というのは少なからず、我が子を愛するような感情を抱くものさ」
エンキも穏やかな表情で言う。


「俺たちは失敗作ってことか……」

アドニスはまだ怒りを顔に浮かべていたが、どこか悲し気な雰囲気を漂わせている。

「違う。君達は失敗作なんかじゃない!君達のおかげで、僕は愛を知ることができた。それに君達を応援してくれる者はたくさんいるじゃないか。君達を必要としてくれてるってことじゃないか?」

いつも冷静なガニュメデスが、珍しく声を張り上げる。

「ありがとうガニュメデス…。だけど……僕達は、アトランティス人を助けることができなかった……。僕達を必要としてくれていた人間達を……結局見捨てる形になってしまったんだ…」

ヒュアキントスは嗚咽を漏らしながら泣き始めた。

実験体として生み出され、アトランティス人を助けることもできず、大罪を犯すことになり失敗作と見なされた。
一体自分達は何なんだろう?

ただの作り物に過ぎないのか? そしてこれからどうすればいいのだろう? ヒュアキントスとアドニスの心は、深く沈んでいた。
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