天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第二十九章 最終章①ライブ開催編

第94話‐1 思わぬハプニング

第94話「思わぬハプニング」


ライブ会場は熱狂の渦に包まれていた。

メンバー達のソロ曲も挟みながら、順調に進行していく。

この会場に招待されていた高位の神々は、シリウス外の神だけでなく、オリンポス12神などの神々もいた。

その中には、反対派であるポセイドンの姿もあった。
彼は腕を組みながら黙ってステージを見つめていたが、その表情にはどこか陰りがあるように見えた。

(他の星の神々まで招待しているとなると、失態を見せるなど許されんぞ…！）

***

そしてついにクライマックスがやってきた。

最後は彼らの2番目のシングル曲を歌うことになっているのだ。

メンバー全員がステージの中央に集まると、息を合わせるために深呼吸して心を落ち着かせた。
会場からは拍手喝采が起こっている。

メンバー達はお互いの顔を見て頷くと、一斉に口を開いた。

「聴いてください……！」

ヒュアキントスの声と共に曲がスタートした。
1番最初のパートはヒュアキントスが担当し、次にナルキッソス、ガニュメデス、アドニスという順番になっている。

4人の美しいハーモニーによって奏でられ、コーラス担当のエコーも加わり素晴らしい合唱となった。

さらに、楽器隊による演奏もあり、華やかさが増していく。
ステージの演出も計算され、素晴らしい完成度だった。

観客達はそんな彼らをうっとりとした表情で見つめていた。

このまま順調に行くと誰もが思っていた。
だがーーー事件は起こったのである。
それはサビに入る直前のことだった。

バク転を決めようとしたヒュアキントスだったが、着地に失敗してしまったのだ。
しかもそれだけではない。

転倒した際に足を捻挫してしまったようで、激痛が走ったのである。
そのせいでバランスを崩してしまい、そのまま倒れ込んでしまった。

(ヒュア……！！)