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第二十四章 ユニット対決開始編
第73話‐3 ナルシスト
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スタッフから歌詞を渡され、確認する2人。だが・・・
「ん?曲名は…『ナルシスト』?」
ここで説明しよう。
この物語の世界において「ナルシスト」という我々の世界にある言葉は存在しない。この言葉の由来であるナルキッソスの話は神話にない設定になっているからだ。
なので、彼らも聞いたことがない言葉だった。
「え……?何これ……?」
「ナルシストって何だ?」
(ナルシストって…ナルキッソスに関係ある言葉?)
歌詞を読み進めていく内、ナルキッソスはどんどん顔が赤くなり、とうとう我慢できなくなったのか、叫び出した。
「う・・・歌えません!!」
彼は恥ずかしさのあまり、しゃがみこんで頭を抱えてしまった。
「ええ~?君はプロだろ?ナルキッソス君。ちゃんと歌わないとね♪」
そこに颯爽と現れたのは作詞作曲を担当した、彼らのプロデューサーでもあるヘルメスだった。
ナルキッソスは彼の姿を見て、睨むように見上げた。
だがヘルメスは相変わらずニコニコとした表情で彼を見下ろしていた。
(何だこの歌詞…!何なんだこの人……)
彼らのためにヘルメスが作詞作曲した曲「ナルシスト」
その歌詞を確認したナルキッソスは、さすがにこれが自分のことだと気付いていた。
なぜなら、前にヘルメスと一緒にプロのステージを見に行った時、彼と交わした会話の内容が歌詞に使われていたからだ。
だが、彼が抵抗を露わにしたのはそれだけが理由ではない。
その理由とはーーこの曲の歌詞が熱烈なラブソングだからだった。
(僕の恋を応援してるって言ったくせに…!こんなの恥ずかしくて歌えないよ!!)
まるで自分へのラブソングのようで、それを自分が歌うのは自己陶酔の彼でもさすがに恥ずかしすぎた。
「おやおや、どうしたんだい?」
ヘルメスはニヤニヤと笑いながら、座り込んでいる彼に目線を合わせるようにして屈んだ。
「もしかして、自信ないのかい?」
「そ、そんなことないです!でも、この曲はちょっと……恥ずかしいというか……」
「へえ~、何で?」
この人絶対にわかって聞いてる…ナルキッソスはそう思った。
「いや、だって……これは僕のことを歌ったような歌詞だし……」
「なるほど、なるほどね♪つまり私に愛の歌を捧げてくれるわけだね?」
「ち、違いますよ!」
「あはは、照れなくていいんだよ」
「照れてないです!」
「そうかそうか、じゃあ、頑張ろうね!君のファンもきっと喜ぶよ!」
ヘルメスは嬉しそうにそう言って、手を振りながら去っていった。
ヒュアキントスは2人のやり取りを見て、何のことかわからなかったが、一つ気付いたことがあった。
(あれ?ナルキッソスってもしかして…?)
そんなことを考えているうちに仮レコーディングは始まったーー
***
こうして、少しの悶着があったものの、ヒュアキントスとナルキッソス組の曲は完成した。
彼らユニットのデビュー曲「ナルシスト」であるーー
そして日は過ぎていきーーアイドルユニット対決の初対決となる、ミニライブイベント当日を迎えたのだった。
第74話に続く・・・
★いつも読んでくださってありがとうございます!
明日おまけを更新します。
「ん?曲名は…『ナルシスト』?」
ここで説明しよう。
この物語の世界において「ナルシスト」という我々の世界にある言葉は存在しない。この言葉の由来であるナルキッソスの話は神話にない設定になっているからだ。
なので、彼らも聞いたことがない言葉だった。
「え……?何これ……?」
「ナルシストって何だ?」
(ナルシストって…ナルキッソスに関係ある言葉?)
歌詞を読み進めていく内、ナルキッソスはどんどん顔が赤くなり、とうとう我慢できなくなったのか、叫び出した。
「う・・・歌えません!!」
彼は恥ずかしさのあまり、しゃがみこんで頭を抱えてしまった。
「ええ~?君はプロだろ?ナルキッソス君。ちゃんと歌わないとね♪」
そこに颯爽と現れたのは作詞作曲を担当した、彼らのプロデューサーでもあるヘルメスだった。
ナルキッソスは彼の姿を見て、睨むように見上げた。
だがヘルメスは相変わらずニコニコとした表情で彼を見下ろしていた。
(何だこの歌詞…!何なんだこの人……)
彼らのためにヘルメスが作詞作曲した曲「ナルシスト」
その歌詞を確認したナルキッソスは、さすがにこれが自分のことだと気付いていた。
なぜなら、前にヘルメスと一緒にプロのステージを見に行った時、彼と交わした会話の内容が歌詞に使われていたからだ。
だが、彼が抵抗を露わにしたのはそれだけが理由ではない。
その理由とはーーこの曲の歌詞が熱烈なラブソングだからだった。
(僕の恋を応援してるって言ったくせに…!こんなの恥ずかしくて歌えないよ!!)
まるで自分へのラブソングのようで、それを自分が歌うのは自己陶酔の彼でもさすがに恥ずかしすぎた。
「おやおや、どうしたんだい?」
ヘルメスはニヤニヤと笑いながら、座り込んでいる彼に目線を合わせるようにして屈んだ。
「もしかして、自信ないのかい?」
「そ、そんなことないです!でも、この曲はちょっと……恥ずかしいというか……」
「へえ~、何で?」
この人絶対にわかって聞いてる…ナルキッソスはそう思った。
「いや、だって……これは僕のことを歌ったような歌詞だし……」
「なるほど、なるほどね♪つまり私に愛の歌を捧げてくれるわけだね?」
「ち、違いますよ!」
「あはは、照れなくていいんだよ」
「照れてないです!」
「そうかそうか、じゃあ、頑張ろうね!君のファンもきっと喜ぶよ!」
ヘルメスは嬉しそうにそう言って、手を振りながら去っていった。
ヒュアキントスは2人のやり取りを見て、何のことかわからなかったが、一つ気付いたことがあった。
(あれ?ナルキッソスってもしかして…?)
そんなことを考えているうちに仮レコーディングは始まったーー
***
こうして、少しの悶着があったものの、ヒュアキントスとナルキッソス組の曲は完成した。
彼らユニットのデビュー曲「ナルシスト」であるーー
そして日は過ぎていきーーアイドルユニット対決の初対決となる、ミニライブイベント当日を迎えたのだった。
第74話に続く・・・
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