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第二十三章 オリンポス12神登場編
第71話‐3 ポセイドンの怒り
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「!?」
ヒュアキントスとアドニスを救う義務があると発言したゼウスに対し、唐突に反対の声が挙がった。
それは戦の神アレスであった。
「ほう……何故そう思うのじゃ?」
アレスの発言を聞いて、ゼウスは少し驚いたように尋ねる。
「そいつらは大罪を犯したんだろう?そして更生の機会を失敗した。ならばもう救いようがないじゃないか。わざわざ救ってやる必要なんてないんじゃないか?このまま放っておけばいいじゃないか」
そう言って、アレスは不満げな表情を露わにしていた。
彼には何か思うところがあるようだが、それが何なのかまではわからなかった。
「待って。見捨てるって言うの?いくら禁止令を破ったからって、そんなことくらいで…。私は彼らの味方よ」
ずっと黙っていたアルテミスが、初めて口を開いた。
「だったらお前が責任を取れるのか?」
「……っ!そ、それは……」
アレスの鋭い指摘に、彼女は言葉を詰まらせる。
「私もアルテミスと同じ意見です。私は彼らが大罪を犯す前まで、彼らの上司でした。だから責任があります。それに彼らを愛しています。この気持ちに嘘はありません」
デメテルもまた、強い意志を持ってそう言った。
(デメテル様……)
アポロンは黙って彼女の言葉を聞いていた。
「俺も反対だ」
次に声を上げたのは、ヘパイストスだった。
「こいつらはシリウスの秩序を乱したんだぞ。放っておいたらまた同じことを繰り返すに決まってる。更生の余地などない」
「ふむ……なるほどな」
ポセイドンは顎に手を当てて思案する仕草をした。
「私も反対だ。未遂に終わったとはいえ、罰を受けなければ示しがつかぬだろう」
ついにポセイドンまでが反対派となってしまった。
(これはまずい…ポセイドン殿までが反対派に転ぶとは……)
アポロンは内心焦っていた。
「待って!わかったわ。責任を取れるのかというのなら…私とアポロンとヘルメス、そしてデメテル様で責任を取ろうと思うの」
「!?」
そう言い放ったのはアルテミスだった。その言葉にヘルメスも驚く。
「えっ!?アルテミス…?」
「アポロンがヒュアキントスに手を出して更生を妨害したし、ヘルメスはユニット対決を企画してここまで騒ぎを大きくした。そしてデメテル様は彼らの元上司。私も、彼らが有名になる手助けをしたわ。そうね、アフロディーテにも責任はあるわよね。この5人全員で責任を分担するわ!」
彼女の言葉に、皆動揺を隠しきれなかったようだ。特にゼウスの表情は強張っていた。
「ま、待て!それではお主らだけの責任になってしまうではないか!」
慌ててゼウスが制止する。
「それにどうやって責任を取るというのだ?」
そこで黙って聞いていたエロスが口を開く。
「みんな、熱くなってるところ済まないが。もう1つ黙っていたことがあってね。実は、僕とアポロンで勝負することが決まってるんだ」
「勝負……?どういうことだ?」
訝しげに、アレスが問う。
「彼らのパフォーマンスで僕を認めさせることができれば、彼らの罪を帳消しにするという勝負さ。もう契約書まで作って証人もいる。済まない、つい僕も乗ってしまってね♪」
謝罪しているが楽しそうである。
「何だと……?それは本当のことなのか?」
怒りを露わにしながら、ポセイドンはアポロンに尋ねる。
これは本当に怒っている顔だ。
「はい。その通りです」
「この、馬鹿者が!!!!」
ポセイドンは激昂し、大声で怒鳴り散らすのだった。
彼は本気で怒っていた。
第72話に続く・・・
ヒュアキントスとアドニスを救う義務があると発言したゼウスに対し、唐突に反対の声が挙がった。
それは戦の神アレスであった。
「ほう……何故そう思うのじゃ?」
アレスの発言を聞いて、ゼウスは少し驚いたように尋ねる。
「そいつらは大罪を犯したんだろう?そして更生の機会を失敗した。ならばもう救いようがないじゃないか。わざわざ救ってやる必要なんてないんじゃないか?このまま放っておけばいいじゃないか」
そう言って、アレスは不満げな表情を露わにしていた。
彼には何か思うところがあるようだが、それが何なのかまではわからなかった。
「待って。見捨てるって言うの?いくら禁止令を破ったからって、そんなことくらいで…。私は彼らの味方よ」
ずっと黙っていたアルテミスが、初めて口を開いた。
「だったらお前が責任を取れるのか?」
「……っ!そ、それは……」
アレスの鋭い指摘に、彼女は言葉を詰まらせる。
「私もアルテミスと同じ意見です。私は彼らが大罪を犯す前まで、彼らの上司でした。だから責任があります。それに彼らを愛しています。この気持ちに嘘はありません」
デメテルもまた、強い意志を持ってそう言った。
(デメテル様……)
アポロンは黙って彼女の言葉を聞いていた。
「俺も反対だ」
次に声を上げたのは、ヘパイストスだった。
「こいつらはシリウスの秩序を乱したんだぞ。放っておいたらまた同じことを繰り返すに決まってる。更生の余地などない」
「ふむ……なるほどな」
ポセイドンは顎に手を当てて思案する仕草をした。
「私も反対だ。未遂に終わったとはいえ、罰を受けなければ示しがつかぬだろう」
ついにポセイドンまでが反対派となってしまった。
(これはまずい…ポセイドン殿までが反対派に転ぶとは……)
アポロンは内心焦っていた。
「待って!わかったわ。責任を取れるのかというのなら…私とアポロンとヘルメス、そしてデメテル様で責任を取ろうと思うの」
「!?」
そう言い放ったのはアルテミスだった。その言葉にヘルメスも驚く。
「えっ!?アルテミス…?」
「アポロンがヒュアキントスに手を出して更生を妨害したし、ヘルメスはユニット対決を企画してここまで騒ぎを大きくした。そしてデメテル様は彼らの元上司。私も、彼らが有名になる手助けをしたわ。そうね、アフロディーテにも責任はあるわよね。この5人全員で責任を分担するわ!」
彼女の言葉に、皆動揺を隠しきれなかったようだ。特にゼウスの表情は強張っていた。
「ま、待て!それではお主らだけの責任になってしまうではないか!」
慌ててゼウスが制止する。
「それにどうやって責任を取るというのだ?」
そこで黙って聞いていたエロスが口を開く。
「みんな、熱くなってるところ済まないが。もう1つ黙っていたことがあってね。実は、僕とアポロンで勝負することが決まってるんだ」
「勝負……?どういうことだ?」
訝しげに、アレスが問う。
「彼らのパフォーマンスで僕を認めさせることができれば、彼らの罪を帳消しにするという勝負さ。もう契約書まで作って証人もいる。済まない、つい僕も乗ってしまってね♪」
謝罪しているが楽しそうである。
「何だと……?それは本当のことなのか?」
怒りを露わにしながら、ポセイドンはアポロンに尋ねる。
これは本当に怒っている顔だ。
「はい。その通りです」
「この、馬鹿者が!!!!」
ポセイドンは激昂し、大声で怒鳴り散らすのだった。
彼は本気で怒っていた。
第72話に続く・・・
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