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第二十二章 熱愛騒動編
第69話‐1 動き出す恋
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第69話「動き出す恋」
美少年達に勃発したユニット対決。
どちらが勝つのか予想合戦に始まり、彼らの恋愛禁止令の事実やアドニスとアフロディーテの熱愛の噂。
そしてアドニスとヒュアキントスの不仲説の浮上と、次々にドラマ要素が連鎖していき、ファンの間のみならずシリウス中で大騒ぎとなっていた。
熱狂の渦と化し、社会現象と言って過言ではなかった。
こうなると、シリウスのトップである神々ーーオリンポス12神さえも無視できなくなった。
そして、それを画策した神達が存在したのだったーーー
***
「ねえー、待ってよ。ナルキッソス君」
長身の男神が後ろから追いかけるように声をかけてきた。
美少年達のユニット対決の発端を作った男神であり、ヒュアキントスとナルキッソス組のプロデューサーである、伝令の神ヘルメスだった。
「もっと、練習しないと・・・」
「今日は休みでしょ?熱心なのは良いことだけど、休むことも大事だ」
「ですが…ヒュアキントスの方が、飲み込みも早いし、僕が足を引っ張らないように頑張らないと……」
ナルキッソスは真面目な性格のため、自己評価が低い傾向があった。
そのため、ヒュアキントスの足を引っ張っていると思い込んでいたのだ。
そんなナルキッソスに、ヘルメスは優しく諭した。
「大丈夫だって!2人共十分上手になってるから!」
「ですが…」
「適度に休むことも必要だよ、プロなら体調管理もしっかりね」
「………」
納得していない様子の彼に、ヘルメスは続けた。
「だったら、見学でもしない?」
「え?」
「一流のプロの仕事ぶりを見ることで勉強になると思うよ。だからおいで」
そう言ってヘルメスは強引に手を引いていく。
彼が連れてきたのはプロのダンサーやシンガーが出演するライブ会場だった。
「ここで今、人気急上昇中のグループのライブがあるんだ。良かったら見ていかないかい?」
「はい……」
言われるがままに、そのグループのパフォーマンスを見ていくことになった。
そして、見終わった後に、2人は感想を言い合っていた。
「凄かったですね」
普段感情をあまり表に出さないナルキッソスも興奮気味で感想を述べた。
「そうだね。やっぱり、ダンスが上手いな。歌も伸びがあって、表現力も素晴らしい」
「ええ、特にあのグループは凄いです」
「ああ、そうだな。彼らのような実力派が揃うと、ステージ映えするな。それに観客の反応も良い。人気があるのも頷ける」
(やはり一流と比べると僕はまだまだだな。僕も彼らみたいに上手く踊れるようになりたいな……)
「ねえ、ナルキッソス君。君、何か悩んでることがあるんじゃないのかい?」
「えっ!?」
突然、図星を突かれたことに動揺してしまう。
その様子を見たヘルメスは、微笑みながら言った。
美少年達に勃発したユニット対決。
どちらが勝つのか予想合戦に始まり、彼らの恋愛禁止令の事実やアドニスとアフロディーテの熱愛の噂。
そしてアドニスとヒュアキントスの不仲説の浮上と、次々にドラマ要素が連鎖していき、ファンの間のみならずシリウス中で大騒ぎとなっていた。
熱狂の渦と化し、社会現象と言って過言ではなかった。
こうなると、シリウスのトップである神々ーーオリンポス12神さえも無視できなくなった。
そして、それを画策した神達が存在したのだったーーー
***
「ねえー、待ってよ。ナルキッソス君」
長身の男神が後ろから追いかけるように声をかけてきた。
美少年達のユニット対決の発端を作った男神であり、ヒュアキントスとナルキッソス組のプロデューサーである、伝令の神ヘルメスだった。
「もっと、練習しないと・・・」
「今日は休みでしょ?熱心なのは良いことだけど、休むことも大事だ」
「ですが…ヒュアキントスの方が、飲み込みも早いし、僕が足を引っ張らないように頑張らないと……」
ナルキッソスは真面目な性格のため、自己評価が低い傾向があった。
そのため、ヒュアキントスの足を引っ張っていると思い込んでいたのだ。
そんなナルキッソスに、ヘルメスは優しく諭した。
「大丈夫だって!2人共十分上手になってるから!」
「ですが…」
「適度に休むことも必要だよ、プロなら体調管理もしっかりね」
「………」
納得していない様子の彼に、ヘルメスは続けた。
「だったら、見学でもしない?」
「え?」
「一流のプロの仕事ぶりを見ることで勉強になると思うよ。だからおいで」
そう言ってヘルメスは強引に手を引いていく。
彼が連れてきたのはプロのダンサーやシンガーが出演するライブ会場だった。
「ここで今、人気急上昇中のグループのライブがあるんだ。良かったら見ていかないかい?」
「はい……」
言われるがままに、そのグループのパフォーマンスを見ていくことになった。
そして、見終わった後に、2人は感想を言い合っていた。
「凄かったですね」
普段感情をあまり表に出さないナルキッソスも興奮気味で感想を述べた。
「そうだね。やっぱり、ダンスが上手いな。歌も伸びがあって、表現力も素晴らしい」
「ええ、特にあのグループは凄いです」
「ああ、そうだな。彼らのような実力派が揃うと、ステージ映えするな。それに観客の反応も良い。人気があるのも頷ける」
(やはり一流と比べると僕はまだまだだな。僕も彼らみたいに上手く踊れるようになりたいな……)
「ねえ、ナルキッソス君。君、何か悩んでることがあるんじゃないのかい?」
「えっ!?」
突然、図星を突かれたことに動揺してしまう。
その様子を見たヘルメスは、微笑みながら言った。
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