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第十八章 プロジェクトの真相編

【番外編】恋人になったアポロンとヒュアキントスの短編「ヒヤシンスの花言葉」

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おまけページです。

今回は番外編で、アポロンとヒュアキントスが恋人になった後の短編小説です。
こちらは非公開で書いていた小説から抜粋して修正しました。

なので本来は「天界アイドル」と繋がってるわけではないですが、番外編にしても良さそうだなと思い、加筆修正して載せることにしました。

アポロンとヒュアキントスのラブラブを見たいというお声をいただいたので、本編は恋愛禁止令のため、番外編にしてみました♪

※「天界アイドル」においては、地球のギリシャ神話の伝承にヒュアキントスの話はない設定です。なのでヒヤシンスの由来の話はこの小説においては別になります。


◇◆◇◆◇◆

アポロンとヒュアキントスが話をしながら歩いていると、広場に着いたので休憩する事にした。
ベンチに腰掛けて一息つくと空を見上げながらヒュアキントスはそっと呟いた。

「……空ってこんなに綺麗だったんですね……」

今までは見上げる余裕なんてなかったですから……と、しみじみとした様子で言った。


その言葉に頷くと、そっと手を重ねて握った。すると彼も握り返してきた。
2人でしばらく無言でいると彼が口を開いた。そういえば、と前置きしてから言った。


「最近、新しい趣味ができたんですよ」
「そうなのか?」
「はい、絵を描くことなんですがなかなか良い出来なんですよ。よかったら今度見てください」
「そうか、楽しみにしておこう」

そう言うと彼は嬉しそうに笑った。そして何かを思い出したかのように言った。


「あ、あともうひとつありましたね」
「なんだ?」
「自分の好きな花について調べたりすることですかね」
「ほう、それはどうしてだ?」

そう聞くと恥ずかしそうにしながら答えた。


「その花の花言葉を調べるのが好きなんです。花言葉は花の種類によって意味が異なるので面白いですよ」


そう言いながら携帯端末を操作し始めた。画面を覗き込むと花の写真がたくさんあった。それぞれの名前の下に説明文のようなものがあって、それを見ながら見ているようだ。


「ヒヤシンスの花言葉は知ってますか?」

そう言われて首を横に振った。それを見た彼は丁寧に教えてくれた。花言葉が記された部分をタップして見せてくれた。そこにはこう記されていた。


"悲しみを超えた愛" その文字を見た瞬間、胸が熱くなった気がした。
同時に目頭が熱くなるのを感じた。


「この花言葉は、相思相愛の2人が死別してしまった話が由来だそうです」

その言葉を聞いた瞬間、ハッとした。
この花は彼と同じ名前の花なのだ。そう思うと余計に切なくなった。


気がつくと彼の手を握っていた。その手は温かく、生きているという実感を与えてくれるものだった。
そんなことを考えていると突然彼に抱きしめられた。


驚いて顔を上げると優しい表情で見つめられた。

彼の瞳に吸い込まれそうになるほど美しかった。思わず見惚れていると顔が近づいてきた。キスをされると思い、目を閉じると唇が重なった。

触れるだけの軽いキスだったがとても幸せな気持ちになったのだった。


「変わらない愛、というのもヒヤシンスの花言葉だそうですよ」

そう言われた瞬間、涙が溢れた。止めようと思っても止められなくてポロポロと流れ落ちていく。
そんな自分を心配そうに見つめる彼に大丈夫だと言って笑いかけると再び話し始めた。


以前、あなたは言いましたよね。自分のことを幸せにできるのは自分だけだって……でもそれは間違っています。

あなたが幸せになる為には僕の存在が必要なんです。たとえどんな事があってもあなたを絶対に離しませんから覚悟してくださいね、と……。

それを聞いたアポロンは涙を流しながらも頷いた。そして微笑みながら言った。ありがとう、嬉しいよ、と……


そしてもう一度キスをした後、2人は手を繋いで歩き出した。
これから先、何があっても2人なら乗り越えられるだろう……何故なら2人には強い絆があるから……
2人は今日も一緒にいる、永遠に……



***

ヒヤシンスの花言葉には恋愛の言葉がいくつもある。
それをヒュアキントスは教えてくれた。


"あなたとなら幸せ" 


その言葉を見た途端、胸が熱くなった。

嬉しさのあまり抱きしめたくなる衝動に駆られたが何とか抑えた。その代わり、感謝の気持ちを込めて彼の額に軽く口付けをした。

不意打ちだったので驚いたようだったがすぐに受け入れてくれた。


そのことに安堵しつつ心の中で思うのだった。この幸せな時間がずっと続けばいい、と……


END
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