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第十九章 トリックスター編
54話‐1 ロキVSヘルメス
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第54話「ロキVSヘルメス」
ヘルメスは自社の自分の部屋で寛ぎながら、来客が来るのを待っていた。
ある男のことを考えながらーーー
(ロキさん、私は貴方のことは本当にすごいと思っている。まぁ尊敬はしてないが。貴方はビジネスモデルの構築とプロデュースがとても上手く、それにアイディアを形にすることも天界随一と言っていい。商売の神として、貴方の能力は認めざるを得ない)
そう心の中で称賛しながらニヤリと笑う。
(だが、一から始めることは非効率的かつリスクが高い。すでに成功した事例やノウハウを流用し、応用するやり方であれば成功する確率は高い。なぜならすでに成果が出ているものを真似すればいいのだから)
そう思い不敵な笑みを浮かべるヘルメス。
そしてある少年に思いを馳せた。
(ナルキッソス君。私は最初に君を見た時から、君が欲しいとずっと思っていた。あの美貌と才能。彼こそ私の理想だとね。だが君が開花するまで待っていた。そしてようやく機は熟した。私が予想するより早く、君の才覚は花開いた)
ヘルメスは、自分がナルキッソスに目をつけたのは、彼の容姿が優れているからだけではない。
もちろんそれもあるのだが、彼はナルキッソスの才能を一早く見抜いていたのだ。
(それにあの子は面白い。あの子といると退屈しないからな。ふふふ、必ず君を盗んでみせるよ。その心も身体もね……)
その時、部屋の扉がノックされた。
「入れ」
「失礼します」
部屋に入ってきたのは、ヘルメスの部下だった。
「来客の方が来られました。応接室に案内しております」
「わかった」
***
ロキは応接室にいた。
「これはこれは。ロキさん。ご機嫌麗しゅう」
「ああ、どうも」
「本日はどのような御用件で?」
「単刀直入に言おう。ナルキッソス君のことだ。君は彼を引き抜こうとしているそうだね?」
「ええ。それが何か?」
顔色を変えず悪びれた様子もない彼に、ロキは苛立ちが募る。
「それだけじゃない。君は僕が企画した地球由来のアイドル事業を真似するつもりなんだろ?君は芸能関係にも伝手が多いからな」
「それがどうかしましたか?」
「僕が考えた企画なんだ。それにここまで彼らを育て人気にしたのは僕だ。人が成功したタイミングを見計らって、模倣するなんて感心できないな」
「ほう、なるほど」
ヘルメスは少し考える素振りを見せると、すぐに口を開いた。
ヘルメスは自社の自分の部屋で寛ぎながら、来客が来るのを待っていた。
ある男のことを考えながらーーー
(ロキさん、私は貴方のことは本当にすごいと思っている。まぁ尊敬はしてないが。貴方はビジネスモデルの構築とプロデュースがとても上手く、それにアイディアを形にすることも天界随一と言っていい。商売の神として、貴方の能力は認めざるを得ない)
そう心の中で称賛しながらニヤリと笑う。
(だが、一から始めることは非効率的かつリスクが高い。すでに成功した事例やノウハウを流用し、応用するやり方であれば成功する確率は高い。なぜならすでに成果が出ているものを真似すればいいのだから)
そう思い不敵な笑みを浮かべるヘルメス。
そしてある少年に思いを馳せた。
(ナルキッソス君。私は最初に君を見た時から、君が欲しいとずっと思っていた。あの美貌と才能。彼こそ私の理想だとね。だが君が開花するまで待っていた。そしてようやく機は熟した。私が予想するより早く、君の才覚は花開いた)
ヘルメスは、自分がナルキッソスに目をつけたのは、彼の容姿が優れているからだけではない。
もちろんそれもあるのだが、彼はナルキッソスの才能を一早く見抜いていたのだ。
(それにあの子は面白い。あの子といると退屈しないからな。ふふふ、必ず君を盗んでみせるよ。その心も身体もね……)
その時、部屋の扉がノックされた。
「入れ」
「失礼します」
部屋に入ってきたのは、ヘルメスの部下だった。
「来客の方が来られました。応接室に案内しております」
「わかった」
***
ロキは応接室にいた。
「これはこれは。ロキさん。ご機嫌麗しゅう」
「ああ、どうも」
「本日はどのような御用件で?」
「単刀直入に言おう。ナルキッソス君のことだ。君は彼を引き抜こうとしているそうだね?」
「ええ。それが何か?」
顔色を変えず悪びれた様子もない彼に、ロキは苛立ちが募る。
「それだけじゃない。君は僕が企画した地球由来のアイドル事業を真似するつもりなんだろ?君は芸能関係にも伝手が多いからな」
「それがどうかしましたか?」
「僕が考えた企画なんだ。それにここまで彼らを育て人気にしたのは僕だ。人が成功したタイミングを見計らって、模倣するなんて感心できないな」
「ほう、なるほど」
ヘルメスは少し考える素振りを見せると、すぐに口を開いた。
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