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第十七章 グループの分裂編
第49話‐2 去っていく仲間
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「かっこいい・・・アドニス君、やっぱり好き♡」
アドニスの公式SNSを見ながら、ある女神がそう呟いていた。
彼女の名前はペルセポネという。 ギリシャ神話に登場する冥界の女王としても有名であり、豊穣の女神デメテルの最愛の娘でもある女神だ。
(お母さま、アドニス君を紹介してほしいって頼んだのに聞いてくださらなかったな…。男の子と関わることを警戒してるのかな?でも、諦めない!)
彼女はミーハーな所があり、アドニスを一目見て以来、熱烈なファンになっていた。
そしてペルセポネはある神に連絡を取ろうとしていたーーー
***
夜も更け、夜中の時間帯。
寮にいる美少年達も眠りについていた。
1人を除いては。
ガニュメデスはこの日も帰ってはこなかった。
皆が寝静まっている時、ある者が寮にやって来ていた。
その者は皆に気付かれぬよう、物音を立てないよう慎重に行動していた。
(よし……。荷物はこれで全部かな)
その者は手早く荷物をまとめ、部屋を出ていこうとしたときーーー
「おい、ガニュ」
「!?」
その者はガニュメデスだった。そしてこっそり帰ってきていた彼に声をかけたのはアドニスだった。
「……こんな時間に起きてるなんて、のんきな君にしては珍しいね」
「まあ、ちょっと眠れなくて」
少しの間沈黙が訪れた。
「こんな時間に帰ってくるなんて、そんなに俺達と顔を合わせたくないのか?」
「合わせる顔がないから。といっても、脱退するまでは嫌でも顔を合わせる時もあるけどね」
暗闇の中で、ガニュメデスは苦笑しながら答えた。
「お前、本当にやめるのか?本当は何か事情があるんだろ?」
「………」
(やはり彼は鋭いなあ…僕が怪しいことに気付いてたのも、君だけだったよね)
ガニュメデスはしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。
「別に。もう僕の役目は終わったから」
「お前はそれでいいのか?」
「………」
(いいんだ、これで……。君達が助かるなら、それでいい……)
「僕は、寮を出ていくよ。まだ顔を合わせることもあるだろうけど、脱退する時期はマスターと相談して決めるから」
「……わかった。お前の意思を尊重するよ。だけど、いつでも戻ってきていいからな。お前は仲間なんだから」
「ありがとう……」
ガニュメデスは静かに微笑んだ。
「じゃあ、僕は行くよ。今まで世話になった」
ガニュメデスは振り切るように前を向き、玄関に向かった。
アドニスは見送るため、黙ってその後についていった。
玄関のドアに手をかけたガニュメデスは静かに振り返り、こう告げた。
「見送ってくれてありがとう。……僕は、君のこと好きだったよ」
切ない表情を浮かべながら、ガニュメデスは去って行った。
残されたアドニスは、ガニュメデスが去った後もその場に立ち尽くしていた。
「……ガニュメデス」
アドニスは茫然としたまま、その場にしばらくの間佇んでいた。
第50話に続く・・・
アドニスの公式SNSを見ながら、ある女神がそう呟いていた。
彼女の名前はペルセポネという。 ギリシャ神話に登場する冥界の女王としても有名であり、豊穣の女神デメテルの最愛の娘でもある女神だ。
(お母さま、アドニス君を紹介してほしいって頼んだのに聞いてくださらなかったな…。男の子と関わることを警戒してるのかな?でも、諦めない!)
彼女はミーハーな所があり、アドニスを一目見て以来、熱烈なファンになっていた。
そしてペルセポネはある神に連絡を取ろうとしていたーーー
***
夜も更け、夜中の時間帯。
寮にいる美少年達も眠りについていた。
1人を除いては。
ガニュメデスはこの日も帰ってはこなかった。
皆が寝静まっている時、ある者が寮にやって来ていた。
その者は皆に気付かれぬよう、物音を立てないよう慎重に行動していた。
(よし……。荷物はこれで全部かな)
その者は手早く荷物をまとめ、部屋を出ていこうとしたときーーー
「おい、ガニュ」
「!?」
その者はガニュメデスだった。そしてこっそり帰ってきていた彼に声をかけたのはアドニスだった。
「……こんな時間に起きてるなんて、のんきな君にしては珍しいね」
「まあ、ちょっと眠れなくて」
少しの間沈黙が訪れた。
「こんな時間に帰ってくるなんて、そんなに俺達と顔を合わせたくないのか?」
「合わせる顔がないから。といっても、脱退するまでは嫌でも顔を合わせる時もあるけどね」
暗闇の中で、ガニュメデスは苦笑しながら答えた。
「お前、本当にやめるのか?本当は何か事情があるんだろ?」
「………」
(やはり彼は鋭いなあ…僕が怪しいことに気付いてたのも、君だけだったよね)
ガニュメデスはしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。
「別に。もう僕の役目は終わったから」
「お前はそれでいいのか?」
「………」
(いいんだ、これで……。君達が助かるなら、それでいい……)
「僕は、寮を出ていくよ。まだ顔を合わせることもあるだろうけど、脱退する時期はマスターと相談して決めるから」
「……わかった。お前の意思を尊重するよ。だけど、いつでも戻ってきていいからな。お前は仲間なんだから」
「ありがとう……」
ガニュメデスは静かに微笑んだ。
「じゃあ、僕は行くよ。今まで世話になった」
ガニュメデスは振り切るように前を向き、玄関に向かった。
アドニスは見送るため、黙ってその後についていった。
玄関のドアに手をかけたガニュメデスは静かに振り返り、こう告げた。
「見送ってくれてありがとう。……僕は、君のこと好きだったよ」
切ない表情を浮かべながら、ガニュメデスは去って行った。
残されたアドニスは、ガニュメデスが去った後もその場に立ち尽くしていた。
「……ガニュメデス」
アドニスは茫然としたまま、その場にしばらくの間佇んでいた。
第50話に続く・・・
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