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第十六章 アトランティスの真相編
第46話‐1 デメテルの思い
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第46話「デメテルの思い」
ガニュメデスがゼウスと会って話をしていた頃。
アポロンはオリンポス12神の1人である豊穣の女神デメテルと会っていた。
無論、ヒュアキントスとアドニスの件に関して話し合うためだった。
彼女は1万3千年前まで、この2人の上司だった。
彼女が管轄している植物園の一角にあるテラス席で二人は向かい合って座っていた。テーブルの上には紅茶の入ったティーカップが置かれており、湯気が立ち上っていることから淹れてからそれほど時間が経っていないことが窺えた。
「あの子達のことは最近知ったの。うちの娘が、アドニスのことを気に入ってね……TVに出ているのを見て、ファンになったって騒いでたの」
デメテルの最愛の娘であるペルセポネは、冥府の王ハデスの妻であり、冥界の女王である。
彼女は普段はおとなしい性格なのだが、一度暴走し始めると手がつけられなくなる困った一面も持っていたのだった。
その話を聞いたアポロンは思わず苦笑いしてしまった。何故なら彼女の性格を知っているからだ。
何でもアドニスのことが好きすぎてファンクラブにまで入会したらしく、かなりの熱狂ぶりのようだ。
グッズを揃えたり、彼が出ている全ての雑誌を買ったりなど、もはや信者といっても過言ではないくらいだった。
ついには、知り合いたいと考えるようになり、オリンポス12神であるデメテルに頼んでくるほどだったのである。
「それで・・・あなたはどうするつもりなのですか?」
その問いにデメテルは少し困ったような表情を浮かべて言った。
「娘は、私があの2人の元上司だと何も知らないから…彼らの罪のことも。私はまだあの2人と会うつもりはないけど、陰ながら見守りたいと思ってるわ」
「そうですか。私はあの2人の処分を回避させたいと考えています」
その言葉にデメテルは一瞬驚きの表情を見せたが、その後悲し気な表情になり俯いたのだった。
「私もそれは考えていたわ。でも無理でしょうね・・・1万3千年も保留にされていたくらいなのだから」
「確かに事は大きい。だが、逆に考えれば1万3千年も保留が許されていたのです。彼らにそれだけの価値があったということに他ならないのではないでしょうか?」
「そうね・・・」
「そして、彼らは音楽活動を命令され、今となっては有名になり一躍時の人となりました。これはチャンスだと思います」
そこまで言うと、デメテルは黙って彼の話を聞いていた。その表情には期待の色が浮かんでいるように見えた。
「・・・もしかして、それを狙った者がいるということかしら?」
「そうであれば、彼らが音楽活動を命令されたことも合点がいきますからね」
2人はお互いを見つめ合ったまま黙り込んだのだった。しばし沈黙の時間が流れる中、ふと思いついたようにデメテルが言ったのだ。
「ねえ・・・一つ聞いても良いかしら?」
「何でしょう?」
「・・・あなたが彼らを救おうとする理由は何なのかしら?あなたの口から聞かせてちょうだい」
真剣な眼差しを向ける彼女を見て、彼は覚悟を決めたかのように語り始めたのだったーーー
「私はヒュアキントスに恋心を抱き、そして彼も私を想ってくれるようになりました。彼のためではありますが、それだけではありません。彼らを見ていく内に…私も影響を少なからず受けた。不器用ながらひたむきに努力する彼らを見ていると応援してやりたいと思ったのです」
アポロンは真っすぐに見据えて言った。その瞳からは強い意志を感じたのだ。
「そう。あの子達には味方がいるようね。あの子達は神として未熟ではあるけれどーーひたむきなところは今も変わってないのね」
デメテルは昔を思い出しているかのような遠い目をしていた。その様子を見たアポロンは優しい笑みを浮かべていたのだったーーー
***
ガニュメデスやアポロンが、ヒュアキントス達の処分を回避させようと必死に動いていたその一方ーーー
そんなことを何も知らないナルキッソスは、彼自身のことで悩んでいたのだった。
ガニュメデスがゼウスと会って話をしていた頃。
アポロンはオリンポス12神の1人である豊穣の女神デメテルと会っていた。
無論、ヒュアキントスとアドニスの件に関して話し合うためだった。
彼女は1万3千年前まで、この2人の上司だった。
彼女が管轄している植物園の一角にあるテラス席で二人は向かい合って座っていた。テーブルの上には紅茶の入ったティーカップが置かれており、湯気が立ち上っていることから淹れてからそれほど時間が経っていないことが窺えた。
「あの子達のことは最近知ったの。うちの娘が、アドニスのことを気に入ってね……TVに出ているのを見て、ファンになったって騒いでたの」
デメテルの最愛の娘であるペルセポネは、冥府の王ハデスの妻であり、冥界の女王である。
彼女は普段はおとなしい性格なのだが、一度暴走し始めると手がつけられなくなる困った一面も持っていたのだった。
その話を聞いたアポロンは思わず苦笑いしてしまった。何故なら彼女の性格を知っているからだ。
何でもアドニスのことが好きすぎてファンクラブにまで入会したらしく、かなりの熱狂ぶりのようだ。
グッズを揃えたり、彼が出ている全ての雑誌を買ったりなど、もはや信者といっても過言ではないくらいだった。
ついには、知り合いたいと考えるようになり、オリンポス12神であるデメテルに頼んでくるほどだったのである。
「それで・・・あなたはどうするつもりなのですか?」
その問いにデメテルは少し困ったような表情を浮かべて言った。
「娘は、私があの2人の元上司だと何も知らないから…彼らの罪のことも。私はまだあの2人と会うつもりはないけど、陰ながら見守りたいと思ってるわ」
「そうですか。私はあの2人の処分を回避させたいと考えています」
その言葉にデメテルは一瞬驚きの表情を見せたが、その後悲し気な表情になり俯いたのだった。
「私もそれは考えていたわ。でも無理でしょうね・・・1万3千年も保留にされていたくらいなのだから」
「確かに事は大きい。だが、逆に考えれば1万3千年も保留が許されていたのです。彼らにそれだけの価値があったということに他ならないのではないでしょうか?」
「そうね・・・」
「そして、彼らは音楽活動を命令され、今となっては有名になり一躍時の人となりました。これはチャンスだと思います」
そこまで言うと、デメテルは黙って彼の話を聞いていた。その表情には期待の色が浮かんでいるように見えた。
「・・・もしかして、それを狙った者がいるということかしら?」
「そうであれば、彼らが音楽活動を命令されたことも合点がいきますからね」
2人はお互いを見つめ合ったまま黙り込んだのだった。しばし沈黙の時間が流れる中、ふと思いついたようにデメテルが言ったのだ。
「ねえ・・・一つ聞いても良いかしら?」
「何でしょう?」
「・・・あなたが彼らを救おうとする理由は何なのかしら?あなたの口から聞かせてちょうだい」
真剣な眼差しを向ける彼女を見て、彼は覚悟を決めたかのように語り始めたのだったーーー
「私はヒュアキントスに恋心を抱き、そして彼も私を想ってくれるようになりました。彼のためではありますが、それだけではありません。彼らを見ていく内に…私も影響を少なからず受けた。不器用ながらひたむきに努力する彼らを見ていると応援してやりたいと思ったのです」
アポロンは真っすぐに見据えて言った。その瞳からは強い意志を感じたのだ。
「そう。あの子達には味方がいるようね。あの子達は神として未熟ではあるけれどーーひたむきなところは今も変わってないのね」
デメテルは昔を思い出しているかのような遠い目をしていた。その様子を見たアポロンは優しい笑みを浮かべていたのだったーーー
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ガニュメデスやアポロンが、ヒュアキントス達の処分を回避させようと必死に動いていたその一方ーーー
そんなことを何も知らないナルキッソスは、彼自身のことで悩んでいたのだった。
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