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第十六章 アトランティスの真相編

第44話-1 1万3千年前の真相

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第44話「1万3千年前の真相」


「僕…いや、僕とアドニスは、1万3千年前に大罪を犯しました。そして神格を失い、死んだのかと思っていた。だけど1万3千年後に、このシリウスで目を覚ましました」

ヒュアキントスは、ずっと秘密にして隠していたことを、ついにアポロンに打ち明ける覚悟を決めたのだ。


そして彼は語り出したーーー1万3千年前に地球のアトランティスで何が起きて、そしてどんな罪を犯したのかをーーー


***


「・・・・・・・ということがあったんです」
ヒュアキントスの話が終わると、アポロンは腕を組んで考えていた。


(そうだったのか…私は直接関わってはないが、アトランティス水没の顛末は知っている。まさか彼がそれに関わっていたとは・・・)


「僕たちが犯した罪……それは、アトランティスが水没することを事前に知り、アトランティス人を全員助けるために……闇の宇宙種族であるグレイ種族に宇宙船の要請を依頼し、その代償として天界の宇宙テクノロジーの一部を彼らに漏洩しようとしました」

「…………」
「ですが、結局その計画は失敗に終わりました。僕達がしようとしていたことは上にバレてしまい、阻止され、そして……アトランティス大陸は水没し、ほとんどの人間が洪水に飲まれ命を落としました。僕達がしようとしていたことは…天界にまで被害が及んでしまうほどの大きな過ちでした……」
「……なるほどな」


ようやく合点がいったというように、アポロンは頷いたのだった。


「この天界、そして宇宙には『自由意志の尊重、そして過度の干渉とコントロールを禁じる』と法典で固く決められています。僕達がしようとしていたことはその法典を破ることでもありました。アトランティス大陸の水没は、闇の宇宙種族の影響があったといえど、アトランティス人が招いてしまったこと。彼らは神が授けたテクノロジーを使いこなせず、欲望に支配され、テクノロジーを暴走させてしまった。その結果アトランティス大陸は破滅の道を歩み始めたのです」



「そうだな……アトランティス大陸が水没し、破滅に至ったのは、テクノロジーの暴走が原因だということは私も知っている。天界の神々も何とか止めようとしたが、人間達は便利なテクノロジーをエゴのために使い続けようとしたため、どうしようもなかったのだろう」

「ええ、そうです。これは人間達が招いたこと。ですが、地球に降り立ち彼らを導いていた僕たちも、そのことに気付けず制御できなかった。アトランティスは今の地球よりずっと科学も文明も発展し、豊かな世界でした。ですが、争いが多かったのも否めなかった」


「ああ、その通りだ。君達だけではどうしようもなかったんだ。君達が地球に来るよりずっと前から、アトランティスの破滅は始まっていたのだろう」


アトランティス時代、人類は今の地球人より優れていた。

そして天界から派遣された低位の神たちから授けられた宇宙技術により、科学技術も文明も、現代より遥かに発展していた。

寿命も遥かに長く、数千年以上生きる人間もいた。

現代人が魔法や奇跡と呼ぶようなことも、アトランティス時代では可能だった。


アトランティスの水没時、神官達により選ばれたごく一部の人間のみ、事前に脱出し、生き残った彼らは別の大陸に避難し、そこで一から文明を築くこととなった。

アトランティス時代の科学技術も文明も、大陸の消滅とともに消え、歴史にも残されていない。
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