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第十四章 恋愛禁止編

第37話-3 アポロンとヒュアキントス

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「……ヒュアキントス。君は私のことが好きなのか?」

あまりにもストレートな質問だったので一瞬頭が真っ白になったが、すぐに我に返り慌てたように否定した。

「ちっ違います!!僕はただ……アポロン様と一緒にいたいだけなんです!!それ以上は何も望んでいません!!」

必死に訴えるように言ったのだが、それを聞いた彼は何故か笑っていた。


「ヒュアキントス。君のその感情は嫉妬だ。私の過去の恋愛相手に君は嫉妬して苦しくなったんだ。そして傷つくのが怖くなって、つい避けてしまったということだ。つまり、君は私のことが好きなんだよ」

そう言うと、今度は真剣な顔つきになりこちらを見つめてきた。その表情にドキッとした。

さらに彼は口を開いた。

「実はね、君の気持ちは知っていたんだ」
「え……?」
思いも寄らない発言に唖然としていると、彼は続けて言った。




「君を見ていればわかるさ。私といる時の君の目は明らかに恋する目だったからね。だから不審に思ったんだ。なぜ急に態度を変えたのか。君が誰かに聞いたという私の過去を、詳しく教えてくれないか?」



動揺を隠せなかったが、観念したようにロキから聞いたことを話した。
全て話し終わるまで彼は黙って聞いていたが、聞き終わると大きなため息をついた。

「それはでたらめだよ。地球で伝承されている人間が作った神話の話まで入っているじゃないか。全く悪趣味な者がいるものだな。そんなまやかしで君を惑わし、私たちを妨害するとは・・・」


ヒュアキントスはそれを聞いて茫然としてしまった。
だが嘘なのだとわかり安堵したと同時に、自分の勘違いで彼を傷つけていたことを恥じた。

「ごめんなさい……僕のせいで嫌な思いをさせてしまって……」

申し訳ない気持ちでいっぱいで俯きながら謝ると、ふいに彼の手が伸びてきて顎を持ち上げられた。そして上を向くと彼と目が合い、思わず鼓動が高まった。


そして次の瞬間ーーー


唇に柔らかいものが触れたかと思うと、それが離れたと思ったら彼の顔が目の前にあったのだ。
キスをされたのだと気付いた時にはもう遅く、再び唇を塞がれたのだったーーー 



ゆっくりと唇を離すと、そこには顔を真っ赤にさせたヒュアキントスがいた。
「……どうしてキスなんて……」

混乱している様子の彼を見つめながらアポロンは言った。
「君のことが好きだという気持ちを伝えたかったからだよ」

その言葉にヒュアキントスは更に顔を赤らめると、目を逸らし俯いた。
その様子を見たアポロンは思わず笑って、そして彼をそっと抱き寄せたのだった。


第38話に続く・・・
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