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第十一章 失恋編

第31話‐1 ガニュメデスの正体

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第31話 「ガニュメデスの正体」


2ndシングル発売に続き、ミニライブの開催も決まり美少年達は慌ただしくなった。

ヒュアキントスは相変わらず、アポロンとの恋が終わってしまったことで辛い気持ちを引きずっていたが、その気持ちを必死に抑えていた。


そんなある日のことーー

(あ……!あれは…アポロン様…)

なんと、アポロンが前を歩いているのが見えたのだ。偶然出くわしてしまったようだ。


(アポロン様……今日も素敵だな……やっぱり好きだな……)

ヒュアキントスは心の中でそう思い、恋しい気持ちがあふれそうになったが必死に抑え込んだ。


「アポロン様。こんにちは」

無視をするわけにはいかないのでなるべく平静を装い、恭しく挨拶をした。


だがーーー
アポロンはそんな彼に一瞥もせず無視をして通り過ぎていった。

(無視……された…こちらを見ようともしてくれなかった…)


挨拶すら無視されてしまいヒュアキントスは深く傷ついた。



(もう僕に見向きもしてくれないんだな…僕はアポロン様に嫌われたんだ…。こんなすぐに嫌いになるなんて…僕のことなんか所詮本気じゃなかったってことだよな……)

そう思うと悲しかった。涙がこぼれそうだった。それでも涙を見せたくなくて我慢した。

ヒュアキントスはアポロンの本当の気持ちに気付けず、彼の気持ちを誤解して受け取ってしまったのだった。


***


翌日。
いつものように朝のランニングに向かうヒュアキントスだが、昨夜は落ち込んで寝付けず寝不足だったこともありフラフラしながら走っていた。


そんな時、曲がり角で誰かとぶつかってしまったのだった。慌ててすぐに謝罪の言葉を口にした。


「おい。気を付けろよ」

よく知っている声だと思い顔を上げるとそこには見知った顔があった。ナルキッソスだった。彼も朝練のため外に出ようとしていたところらしい。

「ナルキッソス!早いね。一緒に走らない?」
「ふん。仕方ないな」

ナルキッソスは満更でもない様子で了承してくれた。

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