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第十章 恋の嵐編
第28話-2 カサンドラ症候群
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2日後、ゼピュロスとロキは会った。
彼は、ゼピュロスにある提案を持ちかけていたのである。それは……
「本題に入るよ。単刀直入に言うけどさ、僕と手を組まない?」
ロキの提案に、ゼピュロスは驚いた様子だった。
しかし彼は冷静に対応したのだった。
「手を組むとはどういうことだ?」
ゼピュロスの問いにロキは答えた。
「そのままの意味だよ?僕が君の恋のサポートをするからさ」
「ふざけるな!なぜお前にそんなことをされなければならない?」
ゼピュロスの言葉に、ロキは少し苛立った様子で答えたのだった。
「ヒュアキントス君、アポロンと良い仲みたいだよ。僕見ちゃったんだよね。まだ付き合ってはないだろうけど、ずいぶん仲睦まじい様子だったなあ」
その言葉にゼピュロスの表情が変わった。
そして低い声でこう言ったのだ。
「お前の目的は何だ?」
ロキは少し考えて言った。
「別に。アポロンが気に入らないから君の味方をしようかなって」
そう言って笑った。
だが、目は笑っていなかったのだったーーー
***
美少年達は初アルバム制作と並行して、それぞれのソロ活動も増えていった。
それなりに忙しく充実した日々を彼らは過ごしていた。
そんな中、ヒュアキントスはアポロンとの親交が深まっていた。
今では毎日連絡を取り合うだけでなく、時間を見つけて毎日会うようにまでなっていた。ほんの短い時間で立ち話しかできない時もあったが、毎日会うことが暗黙の了解になっていた。
2人は楽しい日々を共に過ごしていく中で、お互いに惹かれあっていたのだーーー
だが、恋をしたことがないヒュアキントスは自覚していなかった。それがどういう感情なのかを・・・。
2人は、ある時こんな会話を交わしていた。
「ソロ曲が恋愛の曲なんですが、僕は恋愛をしたことがないから、よくわからないんです…。恋愛感情ってどんな感じなんでしょうか?」
その質問に、アポロンはこう返した。
「そうだな。幸せな気持ちになるんじゃないか?相手のことが好きすぎて胸がいっぱいになって苦しくなる・・・そんな感覚だな」
(そっか・・・やっぱり苦しいものなんだ・・・)
「その相手と一緒にいると楽しくて、もっと一緒に居たいと思うようになる……」
(一緒にいると楽しくて……ずっと一緒にいたいと思う・・・)
「そして、相手のことが愛おしくなる・・・そういうものだと思うよ」
「そうなんですね。やはり難しいですね」
ヒュアキントスは少し考えこむようにそう呟いた。
そんな彼の様子を見ながらアポロンは心の中でこう思っていたのだ。
(君が今感じている感情…それが恋なんだよ)
これまで恋愛経験を重ねてきた彼は、もう自分への恋心に気付いていた。例え言葉がなくても、2人の間に流れる空気は何となくわかるものだからだ。
だがそれを口にはしなかった。
(今はまだ…言わないでおこう)
もう2人の想いは通じ合っているのだから・・・
このまま上手くいくはずだと、何の疑いもなくアポロンは信じていた。
だが、そう上手くはいかなかったのだったーーーー
彼は、ゼピュロスにある提案を持ちかけていたのである。それは……
「本題に入るよ。単刀直入に言うけどさ、僕と手を組まない?」
ロキの提案に、ゼピュロスは驚いた様子だった。
しかし彼は冷静に対応したのだった。
「手を組むとはどういうことだ?」
ゼピュロスの問いにロキは答えた。
「そのままの意味だよ?僕が君の恋のサポートをするからさ」
「ふざけるな!なぜお前にそんなことをされなければならない?」
ゼピュロスの言葉に、ロキは少し苛立った様子で答えたのだった。
「ヒュアキントス君、アポロンと良い仲みたいだよ。僕見ちゃったんだよね。まだ付き合ってはないだろうけど、ずいぶん仲睦まじい様子だったなあ」
その言葉にゼピュロスの表情が変わった。
そして低い声でこう言ったのだ。
「お前の目的は何だ?」
ロキは少し考えて言った。
「別に。アポロンが気に入らないから君の味方をしようかなって」
そう言って笑った。
だが、目は笑っていなかったのだったーーー
***
美少年達は初アルバム制作と並行して、それぞれのソロ活動も増えていった。
それなりに忙しく充実した日々を彼らは過ごしていた。
そんな中、ヒュアキントスはアポロンとの親交が深まっていた。
今では毎日連絡を取り合うだけでなく、時間を見つけて毎日会うようにまでなっていた。ほんの短い時間で立ち話しかできない時もあったが、毎日会うことが暗黙の了解になっていた。
2人は楽しい日々を共に過ごしていく中で、お互いに惹かれあっていたのだーーー
だが、恋をしたことがないヒュアキントスは自覚していなかった。それがどういう感情なのかを・・・。
2人は、ある時こんな会話を交わしていた。
「ソロ曲が恋愛の曲なんですが、僕は恋愛をしたことがないから、よくわからないんです…。恋愛感情ってどんな感じなんでしょうか?」
その質問に、アポロンはこう返した。
「そうだな。幸せな気持ちになるんじゃないか?相手のことが好きすぎて胸がいっぱいになって苦しくなる・・・そんな感覚だな」
(そっか・・・やっぱり苦しいものなんだ・・・)
「その相手と一緒にいると楽しくて、もっと一緒に居たいと思うようになる……」
(一緒にいると楽しくて……ずっと一緒にいたいと思う・・・)
「そして、相手のことが愛おしくなる・・・そういうものだと思うよ」
「そうなんですね。やはり難しいですね」
ヒュアキントスは少し考えこむようにそう呟いた。
そんな彼の様子を見ながらアポロンは心の中でこう思っていたのだ。
(君が今感じている感情…それが恋なんだよ)
これまで恋愛経験を重ねてきた彼は、もう自分への恋心に気付いていた。例え言葉がなくても、2人の間に流れる空気は何となくわかるものだからだ。
だがそれを口にはしなかった。
(今はまだ…言わないでおこう)
もう2人の想いは通じ合っているのだから・・・
このまま上手くいくはずだと、何の疑いもなくアポロンは信じていた。
だが、そう上手くはいかなかったのだったーーーー
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