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第九章 アンチ編

第26話‐3 アンチ問題勃発

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「地球人に教えられたからです。例え才能がなくても一生懸命頑張れば、必ず誰かが見てくれているんだって、だから僕も頑張ろうって思ったんです!」
「!」
それを聞いた瞬間、彼の心に衝撃が走った。



「…そうか。この前は、厳しく言って済まなかった。あの時、君に言い忘れていたことがある」

(?何だろう……?)
そう思いながらも黙って話を聞いた。



「君達に音楽の才能はないだろうが…君達に惹かれたのは事実だ。応援したいとも思っているとな。そして…その理由が今わかった気がする。君達が不器用ながらもひたむきに努力する姿、それが見る者の心を動かすのだろうと私は思うんだ・・・」



(!!)



その言葉を聞いた途端、涙が溢れそうになった・・・。
アンチができてしまい批判を受け、自己嫌悪に苛まれていた時だからこそ、その言葉に救われた気持ちだった。

(この方には敵わないなぁ…)

「ありがとうございます……嬉しいです……本当に……!!」

2人の間に優しい空気が流れた。少しくすぐったいような……そんな空気がーーー。

***


その夜、美少年達は寮のリビングに集まり、会議をしていた。
もちろん連日のアンチ問題について話し合うためだ。



「僕達がしたことは、真面目にしてる他のアーティスト達には迷惑だったしそのファンの人達に反感を持たれても仕方ないと思う…。謝罪するしかないと思うんだ」

リーダーのヒュアキントスがそう切り出した。他のメンバー達も賛成のようだった。



「HPに謝罪文を載せよう。それに公式SNSにも」
ガニュメデスがそう言うと皆頷いた。


「俺たちそんなに悪いことしたのかな?工夫してやってんのにさ…」
アドニスは少し不満そうにぼやいていた。


「僕だって、自己陶酔野郎とかファンレターに書かれてた。僕のことを貶めるなんて許せない」
ナルキッソスも珍しく怒りを露にしていた。



「やっぱり嫌われるのは辛いよね…。でも、デビュー曲を発売してファンも比べ物にならないくらい増えたよね!注目されてる証拠だよ!」
そんな二人を見て、ヒュアキントスは励ましたのだった。


こうして彼らは謝罪文を公式HPやSNSに掲載した。


数日後、アポロンからメッセージが届いた。
そこには、こう書かれていた。


《先日の件、君達なりに考えて出した結論なのだろう。私も同意見だ。だが、これだけは覚えておいてくれ、私達は君達の味方でもあるということを》


それを読んで彼らは勇気をもらえたのだった。
そして彼らは前へ進むことを決意したのだった・・・。



第27話に続く・・・
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