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第二章 デビュー前
第4話‐1 音楽の神アポロンと伝令の神ヘルメス
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第4話 「音楽の神アポロンと伝令の神ヘルメス」
美少年達がレッスン生活を始め、早くも数ヶ月が経過していた。
ダンスはかなり上達し、歌も何とか最低限の合格ラインにまで達することができた。
また地球のアイドル達の研究も成果を上げ、パフォーマンス力も格段に上がっていた。
そんなある日のことーーーいつものように4人で集まって練習をしていた時のことだった。
「やあ諸君。日々レッスンに励んでいるようだね」
初めて4人が会った時のように、どこからともなく大人の男性の声が突然響いた。
そう、彼らの雇い主であるマスターである。
あの日と同じ投影型のスクリーンが目の前に映し出され、相変わらず顔は隠されたままだった。
「天界アイドルプロジェクトが始まってから早数か月。君たちの努力の甲斐もあってずいぶん上達したようだね。ついては、そろそろ次のステップに進んでもいいと判断した。つまり、ステージデビューだ」
「おお!やった!!」
美少年達は喜びの声を上げた。ようやく彼らに次のステップが訪れたのである。
4人は期待に満ちた目で彼の言葉を待った。しかし彼はこう続けた。
「ただし、条件がある」
その言葉に少年たちは一瞬固まったが、すぐに気を取り直した。
「どんな条件ですか?」
代表してヒュアキントスが訊いた。
「うむ。それは……」
「それは……?」
ゴクリと唾を飲む音が聞こえる。
そして、ついに告げられた。
「それは……デビュー前にライブ練習をこなすことだ」
「???」
4人はキョトンとしていた。
「本格的にデビューする前に、アマチュアとしてライブ練習を積んでほしい。そのステージは自分達で見つけること。交渉も全て自分達で行ってくれ。ノルマは100回だ」
「え、ええーーー!?」
「場所はどこでも構わない。観客がいれば公園でもいい。ライブはどこでもできるからね。地球のアイドルたちも最初は地道な努力をしているのだよ、営業活動も集客も自分達で行うアイドルだっている。ただ待っていれば仕事が入ってくるという甘い考えは捨てること。仕事も自分達で見つけてこそプロだからね。わかったかい?」
「………はい」
「よろしい。では健闘を祈る!」
そう言うと彼の姿は消え去ったのだった……。
その後の練習中も、彼らはどこか上の空だった。無理もないだろう。まさかこんな展開になるとは思わなかったのだから。
「自分達でステージを見つけるか…」
「確かにライブ演習はした方がいいよね、さっそく明日から見つけに行こう!」
こうして彼らはライブ経験を積むことになったのだった。……翌日から早速彼らは動き出したのだった!
ー-だが。彼らが思うほど現実は甘くはなかった。
「ダメだぁ~全然見つからないよぉ~」
1日目は街中を探し回ったものの、結局見つからなかったのだった。
彼らは公園のベンチに座って項垂れていた。
ミニステージがある施設や店を片っ端から当たってみたが全て断られてしまったのだ。
それも全て同じ理由で。
『音楽の神であるアポロン様管轄の音楽業界から正式に認定された音楽関係者でないと、ステージに上げられないんだよ。認定を受けてない音楽関係者を勝手にステージに上げてはならないと制定されてるんだ。私たちも違反になってしまうから、勘弁してくれ』
「うーん、まさかそんな決まりがあったなんて…」
「……………」
他の3人が頭を抱える中、ガニュメデスは黙っていた。
「音楽の神、アポロン様かぁ…」
「あのオリンポス12神の、アポロン様だよな」
「うん。あの方もいるオリンポス12神……」
「……………………」
ヒュアキントスとアドニスは少し複雑な表情を浮かべた。
「アポロン様か…知ってるけど実際に会ったこともないし話したこともないからなぁ。どんな方なんだろう……」
美少年達がレッスン生活を始め、早くも数ヶ月が経過していた。
ダンスはかなり上達し、歌も何とか最低限の合格ラインにまで達することができた。
また地球のアイドル達の研究も成果を上げ、パフォーマンス力も格段に上がっていた。
そんなある日のことーーーいつものように4人で集まって練習をしていた時のことだった。
「やあ諸君。日々レッスンに励んでいるようだね」
初めて4人が会った時のように、どこからともなく大人の男性の声が突然響いた。
そう、彼らの雇い主であるマスターである。
あの日と同じ投影型のスクリーンが目の前に映し出され、相変わらず顔は隠されたままだった。
「天界アイドルプロジェクトが始まってから早数か月。君たちの努力の甲斐もあってずいぶん上達したようだね。ついては、そろそろ次のステップに進んでもいいと判断した。つまり、ステージデビューだ」
「おお!やった!!」
美少年達は喜びの声を上げた。ようやく彼らに次のステップが訪れたのである。
4人は期待に満ちた目で彼の言葉を待った。しかし彼はこう続けた。
「ただし、条件がある」
その言葉に少年たちは一瞬固まったが、すぐに気を取り直した。
「どんな条件ですか?」
代表してヒュアキントスが訊いた。
「うむ。それは……」
「それは……?」
ゴクリと唾を飲む音が聞こえる。
そして、ついに告げられた。
「それは……デビュー前にライブ練習をこなすことだ」
「???」
4人はキョトンとしていた。
「本格的にデビューする前に、アマチュアとしてライブ練習を積んでほしい。そのステージは自分達で見つけること。交渉も全て自分達で行ってくれ。ノルマは100回だ」
「え、ええーーー!?」
「場所はどこでも構わない。観客がいれば公園でもいい。ライブはどこでもできるからね。地球のアイドルたちも最初は地道な努力をしているのだよ、営業活動も集客も自分達で行うアイドルだっている。ただ待っていれば仕事が入ってくるという甘い考えは捨てること。仕事も自分達で見つけてこそプロだからね。わかったかい?」
「………はい」
「よろしい。では健闘を祈る!」
そう言うと彼の姿は消え去ったのだった……。
その後の練習中も、彼らはどこか上の空だった。無理もないだろう。まさかこんな展開になるとは思わなかったのだから。
「自分達でステージを見つけるか…」
「確かにライブ演習はした方がいいよね、さっそく明日から見つけに行こう!」
こうして彼らはライブ経験を積むことになったのだった。……翌日から早速彼らは動き出したのだった!
ー-だが。彼らが思うほど現実は甘くはなかった。
「ダメだぁ~全然見つからないよぉ~」
1日目は街中を探し回ったものの、結局見つからなかったのだった。
彼らは公園のベンチに座って項垂れていた。
ミニステージがある施設や店を片っ端から当たってみたが全て断られてしまったのだ。
それも全て同じ理由で。
『音楽の神であるアポロン様管轄の音楽業界から正式に認定された音楽関係者でないと、ステージに上げられないんだよ。認定を受けてない音楽関係者を勝手にステージに上げてはならないと制定されてるんだ。私たちも違反になってしまうから、勘弁してくれ』
「うーん、まさかそんな決まりがあったなんて…」
「……………」
他の3人が頭を抱える中、ガニュメデスは黙っていた。
「音楽の神、アポロン様かぁ…」
「あのオリンポス12神の、アポロン様だよな」
「うん。あの方もいるオリンポス12神……」
「……………………」
ヒュアキントスとアドニスは少し複雑な表情を浮かべた。
「アポロン様か…知ってるけど実際に会ったこともないし話したこともないからなぁ。どんな方なんだろう……」
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