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第四話 運命の再会♡
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「付き合うって言ったのに!!」
ここは魔界。廃れた古城の塀に座りながら嘘つきー!!と叫ぶと、友人たちがどうしたどうしたとあちこちから飛んでくる。
「なになに?」
「どうしたのー?」
「人間のオスに交際宣言されたのにセックスして起きたらいなくなってた!!」
「そりゃお前、食事中の甘い言葉は全部嘘に決まってんだろ?催淫効果で言わされてるようなもんなんだからさ」
泣きつく俺に友人の一人が呆れたように言う。
「へ……?そうなの?」
「そうなの。だから真に受けちゃダメなんだぞ」
泣いている理由が分かった友人たちは皆、なんだぁとつまらなさそうに口を揃えて去って行く。
「うう……」
ただ一人残ってくれた友人は俺の背中をポンと優しく叩く。
「いい勉強になったと思って次の狩り頑張ろうぜ、な?」
「う、うん!ありがとう!頑張る!」
……なぁんて会話をしたが、俺があのイケメンを忘れられるわけもなく……人間の姿に変身して夜の繁華街を探し回った。
それっぽいガタイのいい男を見つけては一喜一憂したり、飲食店の中を覗いてみたり、何の店か分からない地下の店を覗いて、人間のメスに抱きつかれたりもした。でも、いくら探してもあの人の姿は見当たらなかった。
「なんでどこにもいないんだよぉ……」
思えば名前も教えてもらってない。やっぱり付き合うって言ったのは嘘で、俺の催淫効果のせいだったのかも。
夜の街をとぼとぼと歩いていると、あの日と同じ真っ暗闇の路地で人の気配がした。
なんだろう、少しだけ鉄臭いにおいもする。
漂う不穏な空気。だけど、何となくあの人がいるような気がして、俺は吸い込まれるように路地に足を踏み入れた。
*
「困るんだよなぁ、人のシマで好き勝手やられちゃ」
東条 大和(とうじょうやまと)は白い粉の入った小さなビニール袋を軽く振り、それを後ろにいる部下に投げた。
「うちは若いヤツでも容赦しないから」
そう言うと返事すら出来なくなった若者二人を、唾を吐き捨てるように見下ろす。
原型を止めないほど殴られた顔は酷い有り様だったが、部下たちは「良かったなぁこれくらいですんで」と笑いながら言った。
「若、車回してきました」
「おう、ありがとな。さぁて、帰ってゆっくり風呂にでも浸かるかぁ」
腕を上げぐっと体を伸ばす。
大和が踵を返したとき「何するんですか!離してください!」と若い男の抵抗の声が聞こえてきた。
「どうした」
「コイツがそこで覗いてやがったんで連れてきました」
おい、大人しくしろ!と部下に腕を拘束されて連れてこられた青年を見て、大和は目を見張った。
そこにいたのはいつぞやの淫魔の青年だったのだ。あの日、自分がちょっとコンビニに行っていた間にいなくなってしまった淫魔が、人間の姿をして目の前にいる。
「お前……!!」
「あ、貴方は!!」
互いにびっくりした顔で見つめ合う。
運命の再会のような雰囲気に大和の部下たちが困惑した。
「若の知り合いっすか……?」
大和はその声でハッとする。
「ああ、離してやって」
「すみません!お知り合いの方だとは知らず……」
自由になった青年は「やっと会えた……」とポツリと呟いて続けた。
「酷いじゃないですか!俺と付き合うって言ってくれたのに!セックスが終わったらポイするだなんて……!」
涙を浮かべる青年に大和は年甲斐もなく胸をキュンとさせた。
「悪かった、ただコンビニに行ってただけだからあの後すぐに戻ったんだぞ?」
「そ、そ……そうなんですか?」
「ああ、戻ったらいなくなってたから探した」
「うぅ……♡」
「泣くなよ、勘違いさせるようなことして悪かったって」
「ッ……また、俺のこと抱いてくれますか……?」
「当たり前だろ、俺たち付き合ってるんだから」
「っ!!♡♡」
胸に飛び込んできた青年をぎゅうと抱き締める。可愛いヤツめと大和が頭を撫でると「あっダメです、したくなっちゃう」と離れていく。それを無理やり引き寄せて抱き締めると、部下の一人が「俺たちはいったい何を見せられているんだ……」と呆然として呟いたのだった。
「そうだ、自己紹介がまだだったな。俺は東条 大和だ、よろしくな」
「大和さん♡俺はグレンです、これからよろしくお願いします♡♡」
ここは魔界。廃れた古城の塀に座りながら嘘つきー!!と叫ぶと、友人たちがどうしたどうしたとあちこちから飛んでくる。
「なになに?」
「どうしたのー?」
「人間のオスに交際宣言されたのにセックスして起きたらいなくなってた!!」
「そりゃお前、食事中の甘い言葉は全部嘘に決まってんだろ?催淫効果で言わされてるようなもんなんだからさ」
泣きつく俺に友人の一人が呆れたように言う。
「へ……?そうなの?」
「そうなの。だから真に受けちゃダメなんだぞ」
泣いている理由が分かった友人たちは皆、なんだぁとつまらなさそうに口を揃えて去って行く。
「うう……」
ただ一人残ってくれた友人は俺の背中をポンと優しく叩く。
「いい勉強になったと思って次の狩り頑張ろうぜ、な?」
「う、うん!ありがとう!頑張る!」
……なぁんて会話をしたが、俺があのイケメンを忘れられるわけもなく……人間の姿に変身して夜の繁華街を探し回った。
それっぽいガタイのいい男を見つけては一喜一憂したり、飲食店の中を覗いてみたり、何の店か分からない地下の店を覗いて、人間のメスに抱きつかれたりもした。でも、いくら探してもあの人の姿は見当たらなかった。
「なんでどこにもいないんだよぉ……」
思えば名前も教えてもらってない。やっぱり付き合うって言ったのは嘘で、俺の催淫効果のせいだったのかも。
夜の街をとぼとぼと歩いていると、あの日と同じ真っ暗闇の路地で人の気配がした。
なんだろう、少しだけ鉄臭いにおいもする。
漂う不穏な空気。だけど、何となくあの人がいるような気がして、俺は吸い込まれるように路地に足を踏み入れた。
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「困るんだよなぁ、人のシマで好き勝手やられちゃ」
東条 大和(とうじょうやまと)は白い粉の入った小さなビニール袋を軽く振り、それを後ろにいる部下に投げた。
「うちは若いヤツでも容赦しないから」
そう言うと返事すら出来なくなった若者二人を、唾を吐き捨てるように見下ろす。
原型を止めないほど殴られた顔は酷い有り様だったが、部下たちは「良かったなぁこれくらいですんで」と笑いながら言った。
「若、車回してきました」
「おう、ありがとな。さぁて、帰ってゆっくり風呂にでも浸かるかぁ」
腕を上げぐっと体を伸ばす。
大和が踵を返したとき「何するんですか!離してください!」と若い男の抵抗の声が聞こえてきた。
「どうした」
「コイツがそこで覗いてやがったんで連れてきました」
おい、大人しくしろ!と部下に腕を拘束されて連れてこられた青年を見て、大和は目を見張った。
そこにいたのはいつぞやの淫魔の青年だったのだ。あの日、自分がちょっとコンビニに行っていた間にいなくなってしまった淫魔が、人間の姿をして目の前にいる。
「お前……!!」
「あ、貴方は!!」
互いにびっくりした顔で見つめ合う。
運命の再会のような雰囲気に大和の部下たちが困惑した。
「若の知り合いっすか……?」
大和はその声でハッとする。
「ああ、離してやって」
「すみません!お知り合いの方だとは知らず……」
自由になった青年は「やっと会えた……」とポツリと呟いて続けた。
「酷いじゃないですか!俺と付き合うって言ってくれたのに!セックスが終わったらポイするだなんて……!」
涙を浮かべる青年に大和は年甲斐もなく胸をキュンとさせた。
「悪かった、ただコンビニに行ってただけだからあの後すぐに戻ったんだぞ?」
「そ、そ……そうなんですか?」
「ああ、戻ったらいなくなってたから探した」
「うぅ……♡」
「泣くなよ、勘違いさせるようなことして悪かったって」
「ッ……また、俺のこと抱いてくれますか……?」
「当たり前だろ、俺たち付き合ってるんだから」
「っ!!♡♡」
胸に飛び込んできた青年をぎゅうと抱き締める。可愛いヤツめと大和が頭を撫でると「あっダメです、したくなっちゃう」と離れていく。それを無理やり引き寄せて抱き締めると、部下の一人が「俺たちはいったい何を見せられているんだ……」と呆然として呟いたのだった。
「そうだ、自己紹介がまだだったな。俺は東条 大和だ、よろしくな」
「大和さん♡俺はグレンです、これからよろしくお願いします♡♡」
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