6 / 10
第2章
しおりを挟む
1
暑い夏が終わり肌寒い秋がやってきた。
ようやっと気持ちいい昼寝ができるなぁ。舜が窓からぼんやりと中庭を眺めていると、下にいる生徒たちが「本条くーん!」と手を振ってくる。それにへらりと笑って応えると「キャー!!」と男子らしからぬ声が返ってきた。眠たい頭でみんな元気だなぁなんて思っていると「また舜くんが愛想振りまいてるー」と相良が言った。
「別に振りまいてるわけじゃないよ」
「振りまいてるよ」
舜と同じように窓から下を見下ろす相良。
風紀委員という役職と、美形という事もあって当然相良も学園内で人気があった。しかし相良はきゃあきゃあ声をあげる生徒たちをチラと見るだけで、すぐに隣の舜に視線を戻した。
「舜ちゃん眠そうな顔してる」
「だって眠いもん、そういう相良だって眠そうだよ」
「俺は元からこういう顔なんだよ」
「二重幅広いもんね、イケメンで羨ましー」
「は?舜くんに言われたくねー」
暫し訪れる沈黙。
舜が欠伸をすると、つられるように相良も口を開ける。
二人の目がとろんと落ちて、まるで保育園のお昼寝タイムのようなまったりした時間が流れる。オルゴールでも流せば今にも寝てしまいそうだと思ったとき、昼休み終了の鐘が鳴った。
「あーもう終わりかぁ」
言いながら舜が天を仰ぐ。
「次の授業寝ないように頑張ろー」
二人は名残惜しそうに教室に戻って行った。
*
その日は昼寝日和だった。
中庭の小さな東屋で、すっかり眠ってしまっていた舜は「変態だー!!」というその声で飛び起きた。
「!?」
「うわっ!起きた!こっち来るなよ変態ヤロー!」
瓶底眼鏡をかけた生徒が後退る。
「なんで俺が変態……って、な!なんでこんな服が乱れて……!?」
シャツのボタンはどこへやら、あちこちに散らばるボタンに丸出しの腹筋。ズボンのベルトまで外れていて、これじゃあ変態と言われても仕方がないという格好をしていた。
暑い夏が終わり肌寒い秋がやってきた。
ようやっと気持ちいい昼寝ができるなぁ。舜が窓からぼんやりと中庭を眺めていると、下にいる生徒たちが「本条くーん!」と手を振ってくる。それにへらりと笑って応えると「キャー!!」と男子らしからぬ声が返ってきた。眠たい頭でみんな元気だなぁなんて思っていると「また舜くんが愛想振りまいてるー」と相良が言った。
「別に振りまいてるわけじゃないよ」
「振りまいてるよ」
舜と同じように窓から下を見下ろす相良。
風紀委員という役職と、美形という事もあって当然相良も学園内で人気があった。しかし相良はきゃあきゃあ声をあげる生徒たちをチラと見るだけで、すぐに隣の舜に視線を戻した。
「舜ちゃん眠そうな顔してる」
「だって眠いもん、そういう相良だって眠そうだよ」
「俺は元からこういう顔なんだよ」
「二重幅広いもんね、イケメンで羨ましー」
「は?舜くんに言われたくねー」
暫し訪れる沈黙。
舜が欠伸をすると、つられるように相良も口を開ける。
二人の目がとろんと落ちて、まるで保育園のお昼寝タイムのようなまったりした時間が流れる。オルゴールでも流せば今にも寝てしまいそうだと思ったとき、昼休み終了の鐘が鳴った。
「あーもう終わりかぁ」
言いながら舜が天を仰ぐ。
「次の授業寝ないように頑張ろー」
二人は名残惜しそうに教室に戻って行った。
*
その日は昼寝日和だった。
中庭の小さな東屋で、すっかり眠ってしまっていた舜は「変態だー!!」というその声で飛び起きた。
「!?」
「うわっ!起きた!こっち来るなよ変態ヤロー!」
瓶底眼鏡をかけた生徒が後退る。
「なんで俺が変態……って、な!なんでこんな服が乱れて……!?」
シャツのボタンはどこへやら、あちこちに散らばるボタンに丸出しの腹筋。ズボンのベルトまで外れていて、これじゃあ変態と言われても仕方がないという格好をしていた。
115
お気に入りに追加
125
あなたにおすすめの小説

会計のチャラ男は演技です!
りんか
BL
ここは山奥に作られた金持ちの学園 雨ノ宮学園。いわゆる王道学園だ。その学園にいわゆるチャラ男会計がいた。しかし、なんとそのチャラ男はまさかの演技!?
アンチマリモな転校生の登場で生徒会メンバーから嫌われて1人になってしまう主人公でも、生徒会メンバーのために必死で頑張った結果……
そして主人公には暗い過去が・・・
チャラ男非王道な学園物語

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?


俺の親友のことが好きだったんじゃなかったのかよ
雨宮里玖
BL
《あらすじ》放課後、三倉は浅宮に呼び出された。浅宮は三倉の親友・有栖のことを訊ねてくる。三倉はまたこのパターンかとすぐに合点がいく。きっと浅宮も有栖のことが好きで、三倉から有栖の情報を聞き出そうとしているんだなと思い、浅宮の恋を応援すべく協力を申し出る。
浅宮は三倉に「協力して欲しい。だからデートの練習に付き合ってくれ」と言い——。
攻め:浅宮(16)
高校二年生。ビジュアル最強男。
どんな口実でもいいから三倉と一緒にいたいと思っている。
受け:三倉(16)
高校二年生。平凡。
自分じゃなくて俺の親友のことが好きなんだと勘違いしている。

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。

「じゃあ、別れるか」
万年青二三歳
BL
三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。
期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。
ケンカップル好きへ捧げます。
ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる