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「ん?少し呼吸が浅いな」
古城の家主、レオン・マーシャルはメレディスを見つめながら言った。
「人間の血は……もう何日も飲んでいない……」
メレディスは拘束を解くのは諦めたようで、体から力を抜いて壁に寄りかかった。
「何故だ?この森を抜けて街に出れば人間は腐る程いるぞ」
「んなこた分かってるんだよ!」
「……ほう、口の聞き方がなっていないようだな──飢えているのなら少しくらい血を分けてやってもいいと思っていたのに」
「なっ!!」
「その気ももう失せてしまったな。明日教会にでも引き渡そう」
レオンがそう言って立ち上がると「んくくっ」と込み上げてくる笑いを耐えるメレディスの声がする。
何が可笑しい?と言いたげなレオンの視線に、我慢ができなくなった彼は「ぷっはははは!!」と高らかに笑い始めた。
「教会って……」
ひと通り笑った後でメレディスは言う。
「やっぱり人間は馬鹿だなぁ。そんな迷信信じてんだもん」
「ほう?そうなのか、つい最近では教会の跡地から吸血鬼の遺体が見つかったという報告もあるが」
「それは吸血鬼じゃなくて人間だろうよ、吸血鬼は人間に捕まって埋められるなんてヘマはしない」
「そうか、勉強になるな。しかし人間に捕まる例外もいるらしい」
ふむと顎に手を添える仕草が、これ程までに絵になる男が他にいるだろうか?メレディスは憎たらしいほど容姿の整ったレオンの事をキッと睨みつけた。
「……俺をどうする気だ」
「気になるか?」
「……」
メレディスは緊張した面持ちで返答を待つ。
「正直なところどうするべきか悩んでいる」
「は……?」
「吸血鬼は人を殺す訳でもないし、そもそも討伐依頼のない獣や魔物を殺すことは許されていないからな……」
レオンはそう言いながら重厚感のある扉の取っ手に手をかけた。
「おいっどこ行くんだよ!まだ話の途中だぞ!」
「シャワーを浴びに行ってくる、その間に考えておくからそこで待っていろ」
「は!?ちょっおいっ!待てよ!」
おい!というメレディスの声も虚しく、レオンは扉の向こうに消えていった。
古城の家主、レオン・マーシャルはメレディスを見つめながら言った。
「人間の血は……もう何日も飲んでいない……」
メレディスは拘束を解くのは諦めたようで、体から力を抜いて壁に寄りかかった。
「何故だ?この森を抜けて街に出れば人間は腐る程いるぞ」
「んなこた分かってるんだよ!」
「……ほう、口の聞き方がなっていないようだな──飢えているのなら少しくらい血を分けてやってもいいと思っていたのに」
「なっ!!」
「その気ももう失せてしまったな。明日教会にでも引き渡そう」
レオンがそう言って立ち上がると「んくくっ」と込み上げてくる笑いを耐えるメレディスの声がする。
何が可笑しい?と言いたげなレオンの視線に、我慢ができなくなった彼は「ぷっはははは!!」と高らかに笑い始めた。
「教会って……」
ひと通り笑った後でメレディスは言う。
「やっぱり人間は馬鹿だなぁ。そんな迷信信じてんだもん」
「ほう?そうなのか、つい最近では教会の跡地から吸血鬼の遺体が見つかったという報告もあるが」
「それは吸血鬼じゃなくて人間だろうよ、吸血鬼は人間に捕まって埋められるなんてヘマはしない」
「そうか、勉強になるな。しかし人間に捕まる例外もいるらしい」
ふむと顎に手を添える仕草が、これ程までに絵になる男が他にいるだろうか?メレディスは憎たらしいほど容姿の整ったレオンの事をキッと睨みつけた。
「……俺をどうする気だ」
「気になるか?」
「……」
メレディスは緊張した面持ちで返答を待つ。
「正直なところどうするべきか悩んでいる」
「は……?」
「吸血鬼は人を殺す訳でもないし、そもそも討伐依頼のない獣や魔物を殺すことは許されていないからな……」
レオンはそう言いながら重厚感のある扉の取っ手に手をかけた。
「おいっどこ行くんだよ!まだ話の途中だぞ!」
「シャワーを浴びに行ってくる、その間に考えておくからそこで待っていろ」
「は!?ちょっおいっ!待てよ!」
おい!というメレディスの声も虚しく、レオンは扉の向こうに消えていった。
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