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1.いじわるな学長

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「高山 英(たかやま すぐる)です、年齢は二十七歳、あの、頑張ります、俺……」

 自分に自信がなくおどおどとした青年は長い前髪で顔を隠すようにして挨拶をした。学長は「君ねぇ……」と呆れながら言う。

「その髪型じゃ顔が良く見えないじゃないか、敬語は使えているから話し方は言いとしても髪型は変えた方がいい」

 学長は立ち上がると俯いていた英の前まで来て髪に触れる。ビクッと肩を震わせる英に、朝比奈は笑いを堪えるのに必死だった。いちいちびくびくするから可愛いくて仕方がない。もっといじめてやりたくなるんだよなぁと思いながら、朝比奈は英の前髪を左右に分けて、あらわになった額にキスをした。

「この方がいい」
「は、はい……」
「……」
「……」
「ダメだろ、ちゃんと嫌なら嫌って言わないと」
「は、はいっ」

 目を潤ませる英に朝比奈はやれやれと椅子に座り直す。

「び、びっくりしちゃって、嫌と言うわけではなくて……」
「君ねぇ、そんなこと言ってると勘違いされても文句は言えないからね」
「はっはい?」
「こっちに来なさい」
「……」

 英は言われた通り傍まで行く。

「私の上に跨がるんだ」
「えっ!で、でも、そんな」
「いいから早く」

 朝比奈はわざと威圧的に言うと気の弱い英は涙目になりながら跨がった。体重をかけないように空気椅子状態の英に「こら」と朝比奈が臀部を軽く叩く。

「んっ!」
「ちゃんと体重をかけないと意味がないだろう」
「で、でもっ俺重いし」
「重いからいいんだろ」
「しっ失礼します……!」

 英の顔にはもういっぱいいっぱいです、と書いてある。顔を真っ赤にしてうるうるした目で上司の上に体重をかけて座ると、とうとうポロポロ泣き出してしまう。袖で涙を拭きながら「ごめんなさいごめんなさい」と言う英に朝比奈が呆れたように鼻で笑った。

「なんで君が謝るんだ」
「っく……くび、上司にこんな、こと、絶対クビに、されちゃうっ」
「私がお願いしたんだ、クビになんてしないさ」
「ほ、ほんと、ですか」
「本当だよ」

 朝比奈は鍛え上げられた桃のように丸い尻をわしづかむ。

「ぁっ!」
「良い体だね、鍛えてるんだ?」
「は、はいっじ、しんがもてるように、がんばって、ジムに……っ」
「ふぅん」

 尻をむぎゅうと掴んでから、張りを確かめるようにパンッと叩く。

「ぁぅ!」
「叩かれると感じるの?」
「ち、ちがっ」

 パンッ!

「ひぅ!」
「可愛いお尻……」

 朝比奈は尻をするりと撫で回して舌舐めずりをする。そして再びパンッパンッと叩き始めた。

「ぁっ、ぁあ……!」
「きゅっと上がってていいね、このお尻に私のちんぽが入ったらどうなっちゃうのかな?」
「ちっちんぽ!?」
「そうだよ、男のぎんぎんになったあそこさ。君は魅力的だから学園の色んな人から好意を寄せられるだろうけど頑張ってね」
「そ、そんな……!」

 朝比奈は目の前のツンッと尖った乳首をシャツ越しに吸った。

「はぁう!」

 びくんっ。英の体がしなり、胸をつき出すように背中をそらすと落ちないように朝比奈の肩を掴んだ。

「や、やめっ学長……!」
「そんな抵抗で男が止めるとでも?逆効果なんだよ、嫌なら殴ってでも逃げないとね」
「そ、なこと、できません……っ」

 ちゅ、ちゅう。乳首の部分だけ唾液でシャツの色が変わる。無防備だった右の乳首を爪でかりかりされた英は腰をくねらせ甘い声を出した。

「ぁぁんっだめ、なのに、こんな……っこんなこと、あっ、あぅっひっ、ん」

 ぐすんぐすんと泣きながら喘ぎ始める青年に朝比奈は興奮して勃起した自らの股間を英に擦り付けるように下から突き上げた。まるで体面座位のように、何度も、くいっくいっと押し上げながら乳首を吸うと振動に合わせて英の声も上擦った。

「あっ!あっ!ん、あ、さ、ひなさっ、だめっんっんん、なんか、これっへ、へん……!」
「変?何が変なの?」
「う、うぅ……っ」
「泣いてばかりじゃ分からないよ」
「こんなの、まるでえ、えっち、してる、みたい……っ」
「えっちね」

 朝比奈はぞくぞくするような興奮に包まれクスッと笑う。

「大丈夫、今は最後まではしないよ。時間もないし……」

 そう言うと学長室のドアが叩かれた。
 コンコン、その音で英がビクッと跳ねる。慌てて朝比奈の膝から降りて服を整えるが、シミになった胸元だけは誤魔化すことができない。どうしようどうしようとワタワタしてる間に「どうぞ」と朝比奈の声の後、ドアを叩いた人物が入ってくる。

「失礼します、西園寺です」
「すまないね、休み時間に。今空いている教員がいないんだ」
「いえ、これも生徒会長の務めですから」

 シルバーフレームの眼鏡をかけた西園寺はブリッジ部分を中指でくいと上げた。美しい顔立ちの彼は英をちらりと見て朝比奈に視線を戻す。

「この方が?」
「ああ、新しい用務員の高山 英くんだ」
「へぇ、そうなんですね」
「……何か言いたげだね?」
「いえ、ただ学長の好みの方だなと思いまして」
「はは、やだな、偶然だよ」
「そうですか?それにしては既に手を出された後のような気もしますが」
「よく見てるね~」
「誰でも分かりますよ」

 二人は笑顔で会話をしているがその雰囲気はあまり宜しくない。そんなこととは露知らず、英は少しでも胸元を隠すために猫背になりながら「よろしくお願いします、西園寺くん」と頭を下げた。

「はい、よろしくお願いします。では行きましょうか高山さん」
「じゃあね、高山くん。西園寺くんに色々案内してもらうといいよ、この学園は広いから」
「は、はいっ」

 学長室を出る前に深くお辞儀をして、先に廊下で待っていてくれた西園寺にも「すみません、お待たせしました!」と頭を下げる。すると英の頭上からため息が聞こえ「高山さん、頭を上げてください」と西園寺が言った。

「僕の方が年下なんですからそんなに畏まらなくてもいいんですよ」
「で、でも……」
「そんなだとこの学園の生徒たちになめられちゃいますよ」
「ええ……そ、そんなに怖い子たちばかり何ですか?」
「うーん、怖いというよりは変わり者ですかね、だからそんな風に気弱だと流されて色んなことされちゃうかも」
「色んな……?そう、なんですね……気をつけないと」

 何を気を付けたら良いのか全く分からなかったが英はとりあえずそう口にした。色んなことって何だろう?脅されたり?もしかして苛め!?そう考えながら西園寺の後を着いて歩いた。

 エレベーターに乗るとボタン前に西園寺。その斜め後ろに英がそわそわしながろ立っていた。先ほど言われた事が気になって仕方がないようだった。

「ふふ、そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ」
「す、すみません」
「そうやってすぐ謝らなくていいんですよ」
「は、はい……」

 すみません、とまた口にしそうになったとき生徒会長の西園寺が英の唇に人差し指を当てる。

「ほら、また謝ろうとしてる」
「っ……」

 綺麗な顔が間近にあって目線を合わせられない。キョロキョロと泳ぐ英の目玉に西園寺がクスッと悪うと、唇に当てていた指を顎先に滑らせそのまま顎を掴むと震える唇に唇を合わせた。

「んっ!?ん、んゃ……っ」 
「ごめんなさい、高山さんが可愛いくてついキスしちゃいました」
「なっなんで、僕なんかに、」
「だから可愛くてつい」
「か、かわいい……か?」

 プチパニック状態の英に西園寺が言う。

「これは二人だけの秘密ですよ」
「は、はい……っ」

 その時ちょうどエレベーターの扉が開く。戸惑う英に対して西園寺は何事も無かったかのように学園の案内を始めたのだった。
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