受け継ぎし想い~彼と彼女の光の剣閃

ときしさ

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第5章 学園騒乱

第29話 登校~ぼくの『痛み』

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話しの内容や台詞が生々しく、人によっては不快な表現が目立つ場面が出てきます。苦手な方は「☆★☆」以降は読み飛ばすようにお願いします。
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いよいよ今日が初登校。
学生服とやらに身を包み、リアと妹のヒカリと三人で通学路を歩いている。例の三人組の情報収集もあるので通常より早めに家を出発することとなった。つい先日まで俺は入院していた上、俺は記憶喪失ということになっている。そのため、後で母さんも合流して教員に挨拶してから教室へ向かう予定だ。

当初は父さんも同行を希望したが仕事を休み過ぎているので母さんからお許しが出なかった。「心配しなくても俺は大丈夫だよ」と伝えると、俺の心配はあまりしてないそうだ。「母さんサヤカが暴走した時、止められる人間がいなくなる。」と別の心配をしていた。

ちなみに、俺が死亡したことに関する手続きは滞っていたので、その辺りの心配は不要と聞かされているが、俺の記憶が正しければ遺影や棺もあったはずだ。本当は手続きが滞っていた事実はなく、裏で色々何かをしたと俺は睨んでいる。少し、恐ろしくもあるが俺の幸せを願ってのことだろう。両親のそんな気持ちには素直に応えたいと思う。

さて、今解決すべき問題は・・・。

「兄さん、さっきから何を悩んでいるの?」
歩きながら「う~ん」と唸る俺にヒカリがトテトテと前に出て小首を傾げながら俺に質問する。
「今日から学園だろ。『全く魔法が使えません』というわけにはいかないから、“精霊使い”で通すつもりではいるんだが、“誰”をメインにするかで悩んでいてな」
「カズヤ、まだ決めてなかったの?」

前もって相談を持ちかけていたリアは少し呆れたご様子だ。

「リアみたいに精霊の力なしで魔法が使えれば悩まないんだけどな」
「兄さんは“魔法”というより“技”だもね」
「ああ、リアとも話したが、“精霊使い”自体が珍しい上に複数の精霊と契約するのはあり得ないらしくてな。それで悩んでいるんだ」
「誰でもいいんじゃない。どうせ兄さんのことだから、色々なことに首を突っ込んで、すぐにバレるって!」

妹は最後に駄目押しをして笑い飛ばす。それにつられたのか俺の彼女さんは顔をそらし下を向きながら・・・クスクス、ってリア、笑いすぎだ!

『マスター、だからこの私に任せなさいって。他の皆は伝説ものでしょ。私は元が人間だから問題ないって』

口をはさんだのは“火”のレイカだ。本人の言うとおり人型の巫女服精霊だ。二頭身姿で俺の肩に止まると、腰に手を当て胸を張る。

「やはり、そうするしかないかな。本当なら“雷”のコウに頼みたいところだが、まだ寝てるしな。」
『マスター、私の何が不満なんですか!』
プリプリとした様子で抗議を上げる火精霊、その様子に若干困り顔で答える俺。
「駄目とは言っていない。ただ、レイカの場合、自己顕示欲が強いだろ!ミウとすぐに張り合うし、調子に乗って派手なことした揚句、トラブルを起こしそうで不安なんだ」
『ぷぷっ、マスターはやはりわかっています』
『ミウは黙ってなさい』

レイカが乗る肩とは反対側にミウが現れ俺の言葉に同調する。これは恐らくいつものパターンだ。
ああ、やっぱりまた始まった。放置しよう。

「兄さんといると退屈しないね。でも、精霊が見えない人から見れば、独り言の多い危ない人にしか見えないね」

妹よ。それはヒドイ。それから、クスクス、ってリアは本当に笑いすぎだ。

「カズヤ、ごめんね、笑ってしまって・・・、馬鹿にしているわけではないの。これから大変なのに、それを感じさせないから頼もしくて嬉しいの」
「リアちゃんの言うとおりだね。少し前までの兄さんは思い詰めてほとんど無口だったから、私もこんなに話したの久しぶり!兄さんにどう話しかければいいか悩んだ時期もあったけど本当、嘘みたい!私も実は凄く嬉しいんだよ」

「二人ともありがとう。俺、頑張るよ」

二人の笑顔を曇らせないために、俺はやってやる!
決意を改めて固めたところで、ヒカリは何かを思い出したようにリアのことを不思議そうに見つめ何やら考えている。どうかしたのだろうか。聞いてもいいのかな?

「ヒカリちゃん、どうかした?わたしのこと見て何か言いたそうだけど」
俺が悩む必要はなかったらしい。本人からその問いはすぐに投げかけられることとなった。

「リアちゃんの髪型、学園の時はいつも分厚い眼鏡と三つ編みにしていたけど、いいの?目立ちたくなかったんじゃないの」
彼女は親譲りの容姿を自分なりに認めている。その上でこれまで予防策をとっていたようだ。
「この方が例の三人組を見つけやすいかなって思って、それに・・・」
「それに?」
「カズヤの“彼女さん”アピールをしたいから・・・。多分、カズヤが少しでも力を見せたら色んな女の子がよって来そうだもの。」
「俺はリア以外に恋愛感情を抱くことはないぞ。」
「う・・・うん。」
「はいはい、朝からごちそうさま。でも兄さん、恋愛感情に関係なく寄ってくる可能性もあるよ」
「どういうことだ?」

その謎はどうも“血”に由来するそうだ。一般的に魔法の才能は血統で決まるとされている。そのため、より魔力の濃い血を家系に入れたがる者も少なくないとか。特に女性より男性の方が魔力を持つ人の数が少ないらしく、男の実力者は希少とのことだ。中には実力ある者を伴侶とすることで箔がつくとか・・・、要は見栄のためということもあるらしい。人の社会は全く持って恐ろしい。
何だか鬱になってくる話題を変えよう。

「そういえば髪型の話が出たけど、この前見せてくれた髪型はあまりしないのか?」
「この前?」
「この前の朝、退魔士の格好で俺と打ち合っただろう?」
「え、このことかな?」
「そうそう、それそれ。」

リアは自分の髪を軽くつまみ上げ、いわゆる『ポニーテール』の髪型を一時的に再現、すぐに解くと何故か凄く真剣な表情で見つめられた。何かあるのか?

「その髪型も可愛かったからどうなのかなって・・・」
「カズヤはその方がいいの?」

機嫌を悪くし頬を膨らませるリア、そんなに怒ることなのか?

「いや、別に似合っているなって話だけで、俺は今のストレートに下ろしているのが一番好きだ。少し動いた時とかこう、サラサラって流れる感じなのが俺は好きだな」
そっと抱きしめた時、背中と一緒に長い髪を撫でるのが好き、とは言わない。「変態」と言われそうだからだ。もしかすると、既にそう言われる言葉を口にしたかもしれないが気付かないことにする。

「なら許す」
「あっ、ああ、済まない、ありがとう・・・???」

今ひとつ状況が飲み込めていない俺に見かねてヒカリが教えてくれた話しによると、リアには彼女と顔がそっくりの双子の妹がいて、その妹の髪型がポニーテールとのことだ。リアとしては「自分より妹の方が可愛い」と言われたみたいに聞こえ嫉妬したのだろう、ということだ。



「これが学園か・・・。」
「そうだよ。今日から、だね。」
「ああ、そうだな。」


この後、中等部のヒカリは校舎が異なるため、途中で別れ入れ替わりに母さんと合流した。

星詠台ほしよみだい魔法学園高等部――それが俺達の通う学園の名前らしい。昔、この辺りはお告げ所のようなものがあって、星の動きから天候や災害の予知が行われていたそうだ。
今はその慣習はなくなったものの、由緒正しき場所として夢と希望の溢れる若人の学び舎となっているわけだ。その辺りだけ聞くと、『隠れ精霊なんかが居るかもしれない』と思えて楽しくはなってくる。
当然、そうでない部分もある。

魔法の素質は誰にでもあるわけではない。その素養が少しでもあるのであれば、こういった魔法学園への入学を余儀なくされる。力の扱い方を知らずに暴走されても困るし、管理しやすいというわかりやすい理由だ。
俺の場合、魔法の才はないが『魔力のようなもの』が少しばかりあって『魔法に似た現象』を起こせるということで、監視と研究の意味もかねて入学させられているようだ。もっとも力が弱いので重要視はされていない。魔法で劣る部分は修行による身体能力の高さでカバーしていたらしい。

少し前に妹のヒカリが教えてくれたように魔法の才能は血統によって決まると世の中では認識されている。故に魔法学園に集まる生徒の大半が血筋を重んじる名家の子息や令嬢、権力者の一族に連なるものなのだそうだ。その中で一際、魔法の才がない俺は教員からも生徒からも非常に冷たい仕打ちを受けている様子。
聞いているだけで正直、面倒くさそうだ。

☆★☆


朝早くに来たため、人の流れはあまりない。ただ、母さんもリアも美人に分類されるので嫌でも注目を集めてしまう。例の三人組らしき人影がいないことを確認すると、その視線から逃げるように昇降口へと駆けこんだ。

「リアちゃん、カズヤの靴はどこかしら?」
「靴?上履きならここにあるよ。」

ひょい、と俺はカバンから当たり前のように上履きを取り出して見せる。母さんの表情は見る見る内に険しくなり、リアも悲しそうに俯いている。どうしてそんな顔をするのだろう?俺は二人には笑っていて欲しいのに・・・。

「あの・・・、ここ」

『カズヤ・トキノ』――俺の名前だ。そっと下駄箱を開くと何故二人が先程のような顔を見せたのかがわかった。
そこに『俺の靴』、いや『俺の物』は何もなかった。

日が経ち腐ってしまった食べかけのコンビニ弁当やカップ麺、何かの包装紙を丸めたものや紙くずが敷き詰められ落書きも目立った。元が何だったのかさえもわからないものもあり、鼻をつくような異臭がひどい。軽く吐き気を催しても責められはしないだろう。学園生活を有意義に過ごせているとは到底思えない惨状がそこにはあった。

俺にはこの世界で過ごした記憶がほとんどない。だから自分のこととして考えることができず、どこか他人事に思えてしまう。自分のことのように思えることができなくて寂しいというか悔しいとでも呼ぶべきなのか、よくわからない感情が俺の胸を渦巻いた。リアは泣いている。母さんは顔にでないように悲しみと怒りに耐えている。
よくわからない感情――ただ、これだけは分かる。全く持って『不愉快』だ。

「職員室・・・、行きましょうか」

母さんはやはり大人だ。立ち尽くすだけの俺達に声をかけ背中を押してくれた。
もっとも、そんな母さんの表情は普段と変わらないけど、半径五メートル以内は確実に気温が周辺より五度以上、下回っていたような気がする。

☆★☆

母さんと俺が職員室で話す間、リアは廊下で待っていてくれる。
室内は年若い人から、白い髭を生やした、いかにも『魔法使い』な見た目の人にいたるまで、年齢層は様々だった。男の実力者は希少ということから、女性の数がやや多めといったところだ。
最初は奥のパーテーションに囲まれた応接コーナーで話すものと思われたが、母さんの尋常ならざる気配を察知したのだろう。校長室に通され、複数の教員が立ち会う中で話を進めている。
俺も今の母さんに話しかけるのは少々遠慮したい。父さんが同行しようとしていた理由がよくわかる。
顔は頬笑みを浮かべながらも目は笑っておらず、教員たちを「人」ではなく「殺しの標的」でも見るかのような冷淡な目をしている。殺意の籠った魔力も漏れ出ており何か話すたびに「ヒッ」という教員の悲鳴が漏れる。気圧された何人かは既に誰かと交代済みだ。父さんから聞いた母さんの昔の二つ名は「沈黙の暗殺人形」、「死神メイド」、「双剣の悪魔」に「死の踊り子」と物騒なものが多い。交代した教員はその二つ名を呟いていたので昔の母さんを知っている人なのだろう。「みんな殺される」と呟き、全身青ざめ、身を震わせながら引きずられる者もいた始末だ。
結果、この場にいられる者はそれなりの実力者ということにはなるだろう。

「つまり、『いじめ』の事実はない、とそうおっしゃりたいのですね?」

母さんの全てを凍てつかせるような声が漏れる。顔や声に出なくても側で控えている教員が委縮しているのがよくわかる。

「えっ、ええ、そうです。『記憶喪失』については十分に配慮しましょう。つい先日まで入院していたことも踏まえて担当教員には伝えましょう。お母様も息子さんが大怪我されたばかりで心配されるのも無理はありませんが、どうか納めていただけませんか?」

校長か教頭にあたる人だろうか、学園内でそれなりの地位にありそうな男の人が応えている。人畜無害を装ってはいるが、食えない人物であることは母さんも俺も見抜いている。

「私はここに来る前、息子の靴置き場を見ました。落書きやゴミを入れられていたりと、ひどい有様でした。それでも事実はないと?」
「生徒の中には自分の靴置き場に靴だけではなく、ゴミや私物も入れている者はおります。誰かがやったという証拠にはなりませんから・・・」

まあ、妥当な落とし所だろう。
それにしてもこの流れは予定にはない筋書きとなっている。当初から教員達は俺に危害を与えた側サイドの疑いが強かった。従って当てにはしないことになっていた。分かっていても言わずにはいられなかったのだろう。これは母さんの気持ちだ。こんなにも思ってくれる親に恵まれ俺は幸せなのかもしれない。
だから母さん、もういいよ。気持ちは十分伝わったから・・・。

「大体、誰かがやったにしても大袈裟なんですよ。子供のやることでしょ?もっと酷い目にあった子もいるだろうに、自分が一番不幸みたいな風に騒がれると迷惑なんですよ。子供のケンカに親が出てきて騒ぐから余計大きく、ややこしくなるんです。わからない人だな~」

後ろの筋肉質な三十代前半位の男性教員がふと口にする。

「あなた!」
「おっと、怖い怖い!でもお母さん、今のあなたの行い、さっきからおっしゃってる『いじめ』と同じじゃないですか?気に入らないことがあると、そうやって威圧して喚き散らして我がままを通そうとする。それがわからない親が最近多くて困るんですよ」
「くっ」
「キヤ君!やめなさい!」
「失敬、失敬~」
『キヤ』っていう名前なのか。こいつ駄目だ。全く状況を理解していない。母さんにあって、俺に危害を加えた奴にないものに気付けていない。自分と母さんとの実力差にも気付いていない。
人としても実力にしても論外だ。こういう輩に教えを請いたくはない。

「まあ、お子さんに何かあったとしても、原因はお母さんの教育にも問題あるんじゃないですか~」

許せないな、こいつ。俺のことは正直、どうでもいい。母さんのことを悪く言うのは許せない。今すぐにでも、拳の一発でも入れてやりたいが、この場でそれをしてはいけない。耐えなければならない。

「あなた!いい加減に・・・」
「母さん!もういい!」

怒りを爆発させるべく立ち上がろうとする母さんの腕を掴み呼び掛ける。これ以上放置していては、ここにいる連中を全員殲滅してしまうかのような勢いだ。流石の母さんも、こんな奴らのために社会的責任とやらを背負い人生を棒に振るようなことはしないだろうが、この状態が続けば先程の「キヤ」とかいう奴が言った通りのレッテルが母さんに貼られることになるだろう。俺はそれが許せない!

「母さん、もういい・・・もういいんだ。ありがとう」
「カズヤ」
「記憶がないからわからないけど、俺は大丈夫だよ!父さんと母さんの息子なんだから大丈夫!俺の力、知ってるでしょ!」

母さんの殺気その他もろもろが失せていくのがわかる。目尻が少し湿り気を帯びているが落ち着いたのがよくわかる。

「先生方もご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんでした。先生達も立場がありますものね。子供ではわからないものが色々あるのでしょう?だから大丈夫です。俺は知っていますから。社会なんてものは、どうせそんなものなんです」

「「「え?」」」

最後に付け加えた俺の言葉に何人かの大人が驚きの声を漏らす。俺の言ったことの意味わからないのかな?

「社会なんて、どうせそんなものと言ったんです。世の中の人間誰もが好き勝手振る舞うと滅茶苦茶になりますから法律や規則に約束事など、ルールを作って守るようになっていますよね?」

誰も口を挟む気配がないので俺は続ける。

「ただ、全てが全て守られるわけではないですから。国に宗教、様々な組織・・・思想が違えば意識も価値観も異なります・・・、人から見れば我がままな考えだって生まれます。そういったものが金に権力、家柄、血筋、地位、立場、それらを利用して自分達の都合のいいようにルールなんてものを簡単にひっくり返す・・・、結局どんなものであれ“力”で善も悪も変わります。『一握りの人間の』でね。だから社会なんて『そんなもの』なんですよ。」

世の中は理不尽な暴力で溢れている。腕っ節にしろ、権力にしろ、お金にしろ、一部の人間のさじ加減一つで白黒がひっくり返される。「力」がなければ耐え忍ぶか、自分も暴力を振るう側立つか、逃げるか――大抵はその選択を迫られる。
でも、俺はそれ以外の選択、「抗う」という選択を取ることがある。

『理不尽な暴力を振りかざし、人々を傷つけるお前達の所業、俺は絶対に許さない!』

かつての世界を旅し、虐げられる人々を多く見ている内に決まり文句になっていった。もちろん俺は一介の人間だ。人一人にできることは限られている。神や仏になるつもりはない。顔も知らない誰か、ましてや全てを救うとも救えるとも考えていない。それはただの傲慢だ。
『目の前の大切な人、大切な人達と笑って過ごしたい』その一心で全力をもって戦い、今に至っている。
そんな気はなかったが話の方向が大分それてしまった。もういいだろう。

「トキノ君は我々が『力』に屈して、間違えていると言いたいのかね?」

立ち去ろうとする俺達に向かって母さんと話していた校長か教頭らしき人が尋ねてくる。思想じみた話しをするつもりはなかったのだがな。軽く頭を振り、振りかえると姿勢を正して答えることにした。

「そんなつもりはないですし、実際どうかはわかりません。ただ・・・。」
「ただ?」
「学園に何かしてもらおうとは思っていません。『自分の力で何とか頑張ってみます』って言いたかっただけです。」

それだけ、言い残して俺は立ち去ることにした。

「先生、あの子は『学園に何かしてもらおうとは思っていない』と言いました。『自分の力で何とか頑張ってみます』とも言ってみせましたよね。『当てにはしていない』ということです。無力ですよね。子供にそう言わせて、何もできない大人や社会は何なんでしょうね・・・?」

「・・・。」

母さんも最後にそう告げると一礼し俺の後を追うように校長室を後にした。母さんの問いに誰も答えられる者はいなかった。母さんに食ってかかっていた教員が舌打ちするのだけ後ろから聞こえた。後でひと悶着あるかもしれない。母さんに言った言葉を後悔させてやりたい俺としては、それが叶う方向へ転がるようにしなくてはな!

「またせたな、リア」
「少し長かったけど大丈夫?」
「大丈夫だよ」

そう大丈夫だ。少なくとも俺にはリアや家族がいる。だから俺は頑張れる。
用事の済んだ母さんと別れ、俺はリアと並んで教室へと向かうのだった。
























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ストーリー展開が三章以降、駆け足気味になります。お読みいただいている方が一人でもいらっしゃる以上、途中で投げ出さずに完結まで書きあげたいと思います。いつもお読みいただいている方、始めて読まれた方も本当にありがとうございます。
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