受け継ぎし想い~彼と彼女の光の剣閃

ときしさ

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第1章 白の世界

第3話 回想~瘴気消滅 闇を照らす光の剣

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目的のものは程なく見つかった。
戦闘の末、玉座の後ろの壁が崩れている先の隠し通路となっていた。
通路を駆け抜け螺旋階段を下ると巨大な黒い球体が不気味浮かぶ空間に到着する。
闇色のクリスタルを核とし、濃密な瘴気が液体のように周囲を渦巻いている。
周辺の気化した瘴気は部屋の四方に備えられたパイプに吸収され地上へ排出されている様子が伺える。

「これが、瘴気の発生源か・・・。主がいなくなったことで制御を失う線も考えたがそうでもないらしい・・・。」

そう分析すると、相棒がようやく口を開く。先ほど活躍した鳥型の精霊だ。

『マスター、それでどうしますか?このままでは瘴気は止まりませんよ?』

具現化し、宙を舞うと肩に乗り翼を休める。

「随分大人しかったが、やっと話してくれたか。」

頑張ってもらったから心配したんだぞ、と片目を瞑り語りかける。

『口をはさめる隙などありませんでしたから・・・。それよりどうしますか?』

「答えはもう決まっている。この馬鹿げた球体を止め、更に地上の瘴気を浄化する。これは決定事項だ。あともう少し、一緒に頑張ってくれるな?」

『もちろんです、マスター。皆そのつもりです。その言葉を待っていました。』

翼を広げ、空を舞う相棒を見届けると自然に力が湧きあがる。

契約精霊なかまたち、全員の力を借りる。・・・七精霊・同時召喚。」

左腕を前に突き出すと新たに六つの光が浮かび上がり、俺の周囲を取り囲むように計七色の光が踊りだす。

“月”の「月風(つきかぜ)」、月色の体で、風のように空を舞うところからそう名付けた。一番の古株。
“火”の「レイカ」、紅の髪と瞳、巫女服をまとった人型の精霊。
“水”の「ミウ」、蒼海を思わせる髪と瞳の人魚型の精霊。時々、レイカとケンカをする。
“雷”の「コウ」、額に鉢がね、忍び装束姿の人型の精霊。ミウと特に仲が良い。
“風”の「ファルコニア」、純白の天馬型の精霊。その場の思いつきで名付けた。
“虹”の「レイ」、七属性を司る希少な竜型の精霊。元レートデーンドラゴンなので、「グモ吉」と名づけようとしたら全精霊から猛反対されたあげく、全員丸一日口を聞いてくれなかった。ちょっとしたトラウマだ。本作戦の要の一人。
“命”の「ラシル」、金髪碧眼の妖精型の精霊。戦闘力ゼロの治癒術特化、本作戦の鍵。

「ラシル以外は全員レイに力を集中!レイは力の増幅と制御を!後は俺とラシルで何とかする。」

『『『『『『『 了解! 』』』』』』』

二頭身且つ、手の平サイズの契約精霊なかまたちに告げると、虚空より柄だけの刃無き剣を取り出し両手に携える。

「お前も無理をさせたばかりだが、もう少しだけ付き合ってくれよ。」

すっかり手になじんだ愛剣に囁きかける。中心には月をかたどった宝珠、それを守るように翼を閉じた形をあしらった神鳥の細工。主の意思に応えるように剣が脈打った。

「我掲げる、闇を照らす光の剣・・・。」

柄に光が収束し煌めく刀身が形成される。それを合図に皆が一斉に行動を開始する。
月、火、水、雷、風の力が七色のオーラを放つドラゴンに集中する。
集められたエネルギーは増幅され“聖”属性へと変換し、主=俺へと注がれる。
“月”の『光』が防御と補助主体であるのに対して“聖”のそれは純粋な攻撃と癒しに特化する。そこには当然『浄化』も含まれる。

いつしかラシルの二頭身化は解除され手が主の背に添えられる。
刀身がその刃の質を変容させ膨張する。力強くも淡く優しい光が溢れだし周囲を温かく包み込む。

「いくぞ、ラシル!」
『ハイ!』

「我望む、浄化と癒し・・・再生もたらす奇跡の剣!」

「『いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』」

掲げた剣を振りおろす。光の剣は球体を引き裂き闇色のクリスタルに刃を滑らせると、刀身に留めていた聖なる力を開放する。眩い煌めきを解き放ち辺りを白く染め上げる。
周囲が本来の色を取り戻す頃、瘴気は浄化され黒い球体だったものはクリスタルごと光の粒子へと化していた。
粒子は光の雨となって地上に降り注ぎ、瘴気を払い汚れた地を潤していく。
息を吹き返した大地は生命の輝きを取り戻し、少しではあるが緑が色づき始めた。

瘴気を払うだけでは死に絶えた大地が蘇るのに途方もない年月が必要となってしまう。
“聖”属性に“命”の力を乗せて祓うことで土地の回復力を高めるルナウス一行の計らいが功をなしたのだった。

「何とか・・・、上手く・・・、いったか・・・。みんな、ありがとう。」

肩で大きく息を切らしながら、二頭身姿の愛くるしくも頼もしい仲間達に礼を告げると皆が優しく微笑み返し一人ずつ薄らと消え、待機状態へと移っていく。

「後は脱出だけだ。飛ぶだけなら何とかなるだろう・・・。」

頭をかきながらぼやいたところで、通信結晶が音を立てていることに気づくのだった。
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