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第2章 コロッセオ
第十話 コロッセオ開催 ソウメイ戦
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ショウは、ボロボロになっていたが、
「さぁ、さっさとソウメイと闘わせて下さい。」
そう催促していた。すると、
「血気盛んな少年だな。」
とソウメイが現れた。
「さぁ、約束通り、僕と闘ってください。」
「まぁまぁ落ち着け、その傷で某と戦うのか?」
「僕は構いません。」
「某も随分と舐められたものだ。」
と言うと、ソウメイがショウに攻撃をした。ショウはそれに全く反応できなかった。ソウメイは、
「これでもまだ、闘いたいなら相手をしよう。どうする?」
と圧を掛けた。ショウは、
「仕方ありません。あなたの言う通りにします。」
と言い素直にきいた。
「賢明な判断だ。それに、全快でないお主を倒しても、観客の者達が楽しめないからな。」
ソウメイも刀をおさめてそう言った。すると、
「さぁ、コロッセオを制したショウ選手には、1万金貨を贈呈されます。また、主催者ソウメイのご要望通り、1週間後にショウ選手と対戦となります。では、会場の皆さま~また来週~」
とサシが放送した。ショウは、辺りを見た。
「いつの間に暗くなっていたんだ?」
「ショウ君達3人が闘って、5時間が経過していたからな。」
「そ、そんなに!ってダルタンさん、相当しんどそうですけど」
「あぁ、ザギル君の剣技をくらってしまってね。だいぶ楽にはなったけど、骨をいくつか砕かれてしまったからね。」
「そうですか。他の通過者は?」
「バクネンとリールは、コロッセオ側の人間に早くも闘場から下ろされていた。ザギル君は、ソウメイが現れた瞬間に消えていた。オーツ君は、まだそこで寝っ転がってるよ。」
「ふぅ~」
「そこに居たんですか?」
とオーツに言った。オーツは、大の字に寝っ転がって、
「こんなにも綺麗だったんだな。星って」
と夜空を見て言った。
「何か清々しい顔ですね。」
「まぁな、お前らとの闘いで『感情』が手に入った。」
「ん?その言い方だと、君は感情が無かったような言い方だな。」
「そのとおりだ。俺は、生まれた時から『感情』が無かった。でも、才能があったからここまで強くなった。」
「そうですか。なんか嫌味な言い方ですね。」
「そうかよ。」
とオーツと話、ショウも夜空を見上げ、
「あなたの言う通り、綺麗ですね。」
「だろ!」
と少しだけショウは、オーツとダルタンと一緒に星を見た。
ショウは賞金を受け取り、借りていた宿に帰った。
「今日は、久し振りに疲れた~」
ショウは、今日のことを振り返った。
『オーツさんとザギルさんは、すごく強かった。火力100%の技をほぼ互角の火力で放っていたな。あと少し火力が弱かったら、押し負けていた。もっと強くならなきゃ…』
と強く思った。そして、
「少し外の空気を吸いに行くか~」
と外に出た。
宿を出てすぐに、
「コロッセオ優勝者のショウだ!」
「えっ!魔剣士ショウ!」
「ショウ様~手を振って~」
と知らない人間と魔物から声を掛けられた。ショウは、
『め、面倒臭い…早く消えてくれないかな~』
と内心苛ついていた。すると、
「人気者だね。ショウ君」
とダルタンに声を掛けられた。周りの奴らは、
「ダルタンだ!」
「槍捌きをみせてくれ!!」
等と言った。ダルタンは、
「仕方ない、少しだけ披露しよう!」
そう言うと、自身の槍『水虎電龍』を取り出した。そして、槍を振るいながら、水を花びら状に発生させた。
「「「「おぉぉぉ!!!!」」」」
「まだまだ!!」
そこから水を集め虎の姿にして、
「さぁ、フィニッシュ!!」
そう言うと、虎と共に上に跳び上がり、
「龍虎の水演舞」
と槍を巧みに扱い、虎と闘ってるように舞った。
「ありがとうございました。」
とお辞儀をすると、
「「「「ふぉぉぉぉ!!」」」」
「最高だったよ!」
「もう一回!!」
「次は雷でやってくれ!」
と好評価だった。すると、
「あれ?ショウはどこ行ったんだ?」
とショウがいないことに気付いた。しかし、
「しょうがない、サービスですよ~」
とダルタンが、もう一度ショーを始めようとしていた。
「まぁいいか」
とショウの事を後に、ダルタンのショーに魅了された。
ショウは、人気のないところまで走った。
「はぁ~あんなに集って来るとは思わなかった。金貨が欲しかったのかな?まぁ、また今度ダルタンさんにお礼を言わないとな~」
と自身がコロッセオ優勝者という自覚のないショウだった。なので、賞金目当てで来たと思っていた。すると、
「よぉ、優勝者」
と声を掛けられた。
「貴方はたしか、ザギルさん」
「覚えてくれてたのか?律儀なやつだ。それより…」
「何ですか?」
「お前、このままじゃソウメイに『殺される』ぞ」
「ソレはどういうことですか?僕じゃ負けると言いたいんですか?」
「いや、あくまで『このままでは』と言ったんだ。」
「どういう意味ですか?」
「それは…こういう事だ!」
とショウに斬り掛かった。ショウは、ギリギリのところで躱した。
「何のつもりですか?」
「今日から『俺達』が、お前の悪癖を徹底的に叩いてやる。殺されたくなければ、死にものぐるいになれよ!」
「俺達?」
そう呟くと、
「俺もいるんだよ!」
と上からオーツが、ショウを襲った。ショウは、
「硬質化:鉄」
とガードした。しかし、オーツの双剣は、ショウの腕に深傷を負わせた。
「ぐっ、オーツさんまで!」
「おう、折角勇者一行と闘えるのに、みすみす殺されるだけなんて可愛そうだからな。」
「さっきから何なんですか?二人とも」
とショウが言った。二人顔を合わせて、
「「はぁ~」」
と同時に溜息をついた。そして、
「いいか、お前はソウメイを殺したいんだろ?」
「それがどうかしましたか?」
「悪いが、『今の』お前には絶対に無理だ。運良く勝てたとしても、殺せれはせん。」
「どうしてですか?」
ショウがそう聞くと、ザギルが、
「お前が勝てない理由は、お前の『悪癖』にある。」
そう言い、ザギルが指を2つにして前に出した。
「その悪癖は2つある。一つは、駆け引きが下手だ。バトルロワイヤルじゃなければ、負けていたぞ。」
「……!」
「もう一つは、出し惜しみだ。お前、『何で魔眼を出すのを躊躇った?』」
「それは、ソウメイに使えることを知られたくなかったから。」
「俺はそれが理解出来ないな。魔眼はそう簡単に対処できるものじゃない。幾ら勇者一行でもな。」
「それは…!」
「それに、何故オーツと闘っているときに、『終の拳』を使わなかった?」
「……」
「オーツがいくら『狂乱化』していたとはいえ、『終の拳』を使えば倒せていたはずだ。魔眼を『使わなく』てもな。」
ザギルの言葉は、ショウにはすごく響いた。だから、
「なら、最初から全力で闘う!」
とザギルとオーツに向かっていった。ザギルとオーツは、
「少しだけ、いい面になったな。」
「俺も高ぶってきた!」
と各々構えた。
「ソニックブロー」
「月光の型:劉観月 立待」
とカウンターをショウにくらわせた。そこにオーツが、
「波円海」
「待ってましたよ!『終の拳:反射鏡』」
「ぐっ、さすが俺の斬撃だ!ガードしてもほぼ無意味だった。」
「その状態でまだやりますか?」
「当たり前だろ!」
「俺もいるんだよ!我流 重桜牽連渦」
「魔眼:模倣『不知火海』」
ショウは、自身の残像を無数に作った。そして、
「消えやがった。どこだ!」
「ここです!終の拳:楽胴牙」
と突然後ろに現れた。ザギルは、
「魔眼:能力補助『硬質化』」
すると、全身が硬質化し、ショウの技をなんとか防いだ。ザギルは、
「ぷっ、聴いてはいたが、こんなにも強力とはな。これでまだ、発展途上なんて化け物だな。」
と言った。実際、ザギルの全身を砕く一歩手前までいっていた。
『それに、「能力補助」を使用してこれだけのダメージをくらわせられた。何故本選で使わなかったんだ?』
そう思った。
ショウが本選で『終の拳:天海音流』しか使用しなかったのは、相手の力量を測るためである。天海音流は、緩急のあるラッシュなので、対応が困難な技だ。それに対応ができれば、かなりの手練だ。そこを見極める眼は、ショウはまだまだ未熟故の測り方であった。
ザギルとオーツをなんとか倒し、
「はぁ…はぁ…凄いですね。あの闘いの後に、ここまでやるなんて…」
と息をきらしながらショウが言った。ザギルは、
「まぁな、伊達に旅して色んな所で強者と闘ってないわ。」
と言った。オーツは、
「やっぱり、お前らと闘うのは楽しいな~」
と満足気な顔で言った。ショウが手を差し出し、二人を立ち上がらせた。
「これから二人はどうするんですか?」
「何だよ。急に」
「僕はまだまだ未熟です。このままじゃ、『アイツラ』には届かない。指摘してくれる方は、もう居ない。なので、お二人と一緒に旅出来ませんか?」
とショウが言った。二人は顔を見合わせ、ザギルが、
「何か、訳あり顔だな。ソウメイを見た瞬間のあの途轍も無い殺気を放ってたな。彼奴が何かしたのか?」
「それは…」
「イヤなら言うな。」
「ザギルさん」
「まっ、お前とソウメイが闘うまでは、相手になってやるよ。」
と言った。ショウは嬉しそうに、
「ありがとうございます。ザギルさん」
と言った。ザギルは、
「さん付けすんな。ザギルでいい」
「はい」
「俺も忘れるな。俺も、呼び捨てでいい」
「では、1週間よろしくお願いします。」
と頭を深々と下げた。そこから1週間、ショウ、ザギルとオーツは、訓練するのと同時に、ショウの悪癖を徹底的に叩き直した。そして、
1週間後
「さぁ!皆さま、お待たせしました!!いよいよ、ショウとソウメイのバトルが始まります!?」
「「「「ウォォォォ!!!」」」」
会場は満員、外も人間と魔物でコロッセオが埋まっていた。
「改めまして、実況をさせてもらうサシです。盛り上がっていきましょう!」
「「「「ウォォォォ!」」」」
「まずは恒例!選手紹介だ!!」
「「「「「イェェェェイ!?」」」」」
「最初に登場したのは、勇者一行の一人にして、世界最強の武人!!『五獣の型』を編み出した超天才!華麗な刀捌きでショウを斬り刻んでしまうのか!!武人ソウメイ!!!」
とソウメイが、ゆっくり歩いて登場した。
「ソウメイ!!」
「ぶった斬っちまえよ!」
「『五獣の型』見せてくれよ!!」
と掛け声がかけられた。ソウメイは、
「それだけの強者ならな。」
と嬉しそうに言った。
「そしてもう一方から登場したのは!!魔剣士であり、『終の拳』更には『魔眼』を使えるこちらも超天才!?多彩な技でソウメイを圧倒してしまうのか!!魔剣士ショウ!!」
と言われ、ショウは歩いて登場した。
「負けんなよ!!」
「ソウメイなんて、ぶっ潰しちまぇーー」
「魔剣見せてくれ!!」
「ソウメイを魔剣でズタズタにしろ!!」
「何だと!ソウメイも刀でぶっ殺せ!!」
と場外乱闘が起きた。サシは、
「まさかの場外乱闘がここでゴッパつした!!」
と面白そうにいった。ショウは、
「下らないですね。僕が、あなたを殺す未来は変わりませんよ。」
とソウメイに向かって言った。ソウメイは、
「その未来を斬る刀を、某は持っている。」
と言った。するとサシは、
「それでは、ルールを改めて説明します。武器、武技やスキルの使用は自由!時間無制限!相手を倒すもしくは、降伏させれば勝利です!」
と言った。そして、
「それでは~Ready……Fight!!」
と言い開始した。ショウとソウメイは構えた。ソウメイは、
「お前は、某を倒せるか?」
と挑発した。ショウは、
「倒しませんよ。殺します。」
それを言うのと同時に、ソウメイに攻撃した。
「ショウ選手!ソウメイに拳と蹴りのラッシュを仕掛けた!」
ソウメイは、軽々と躱し、
「セイッ!」
と刀で斬り掛かった。
「おお!ソウメイ!ショウ選手の攻撃を躱し、カウンターに刀で斬り掛かった!!」
ショウも軽々と避けた。ソウメイは、
「整えは終わり、ここからは本気だ!」
と言うと、
「五獣の型:白虎 鳴弦双爪」
と一度に2つの斬撃を発生させた。それも何重にも重ねてあった。
「ここで!ソウメイの十八番『五獣の型』を仕掛けた!」
「クッ」
と攻撃をなんとか受けきった。ソウメイは、
「五獣の型:青龍 逆鱗浄河琉」
とショウの周りを囲いながら、縦横無尽に斬り掛かった。
「何という美しい動きでしょう!会場中!魅了されております!!」
『緩急を極端にする事で、何処から攻撃するかわからないようにしているのか。受けるので手一杯だ。』
そして、
「最後だ!五獣の型:朱雀 心火塗武紋」
と火を纏わせて、一瞬でショウを覆い尽くす火が襲った。
「おぉー!ここで!ショウ選手が全身火だるまにされてしまった!?これは勝負あったかーー!」
火が消えると、ショウがボロボロの状態であった。ソウメイは、
「これが某の型だ。」
と自信ありげに言った。
「これが『五獣の型』ですか?」
とショウが聞いた。ソウメイは、
「あぁ、『五獣の型』は、朱雀・青龍・玄武・麒麟・白虎の五獣の特徴を活かし作った。どうだ?」
「ソウメイ!ショウ選手に誇らしげに自慢している!」
「へぇ~そうですか。というか、いちいち五月蝿いですね。実況さん」
「そうか。あぁ、そう言えば、お主の母もなかなか良いものを持っておったな。どうして、魔物共とおったのだ?」
それを言われたショウは、溢れんばかりの魔力と殺気を放った。
「な、なんという殺気でしょうか!?昨日放った殺気よりも鋭い!会場の一部の者達が、気を失ってしまった…!」
ソウメイも、
『何だ!こんなにも鋭く重い殺気は初めてだ。』
と全身が震えていた。ショウは、
「それは、お前ら人間共が『迫害した』からだよ。」
といつもからは想像できない声で、圧をかけながら言った。
六年前
ショウはサタンに抱っこされながら、
「とうさんとかあさんは、どうやって出会ったの?」
と質問をした。サタンは真剣な表情で、
「母さんとの出会いはな、凄く最悪だったよ。」
と言った。
「なんで?かあさんがキライだったの?」
「そういう意味じゃないよ。ショウは、『厄災の塔』は知ってるな。」
「うん、ブレイおじさんから『キケンだから行っちゃだめ』って言われた。」
「そうだ。母さんとはそこで出逢ったんだ。」
「え!?」
とショウは驚いた。
厄災の塔・・・災害級の魔物が蛆のよう湧いてくる塔だ。その危険さ故に、人間も魔物も半径100m以内に入ってはいけないことになっている。
「母さんは、そこに3ヶ月もいた。災害級魔物から魔神に近い存在とも死闘を繰り広げていた。そこで偶然、父さんが遠征で通って助けたんだ。」
それを聞いてショウは、
「さ、3か月も!」
「あぁ、母さんは人間側に居た時に、人とは思えない程の迫害を受けた。家系内の虐めだけでなく、幼少の頃に何度も生物兵器開発の実験体にさせられていた。その挙げ句、「使えなくなったから」と『厄災の塔』に閉じ込められた。」
とサタンは少し怒りが籠められていた。
「す、すまん。ショウには、嫌な思いをさせたな。」
「そんなことした奴、いまどこにいるの?」
と途轍も無い怒りを込めて聞いた。そこにソフィアが入ってきて、
「もういないよ。それに…」
と言いながら、ショウを抱き上げ、
「今はショウがいて、凄く幸せだから!」
といつも以上の笑顔で言った。
「かあさん…」
とショウは、涙を流しながら言った。サタンは、
「ソフィア…その…」
と何か言おうとしたが、ソフィアが、
「後で、私の部屋に来てくださいね。」
と圧を掛けた笑顔で言った。
「は…はい」
とサタンが萎縮してしまっていた。因みに、あの恐怖の象徴であったサタンが半泣きさせる位怒られました。
ショウは、
「元々人間は大嫌いだ。特に、テメェらゴミ屑はもっと嫌いだ!だから、お前ら勇者一行は僕が全員殺す!」
そう言うと、
「魔剣生成:フリーダム」
と透明な棍が現れた。ソウメイは、「五獣の型」に再度構えて、
「何だその棍は?」
と聞いた。ショウは、
「フリーダム、この棍は伸縮・硬度・属性等が僕の魔力調整で自由にできる。こんな風にね。」
そう言うと、その場でフリーダムを振るった。すると、
「魔剣フリーダムが、伸びたーーー!!ソウメイ!何とか刀で受けた!」
『クッ、伸びた。しかも、とてつもなく重い一撃だ!だが…』
ソウメイは、フリーダムを跳ね返し、ショウに突っ込んでいった。
『いくら強力な一撃でも、次のためは長くなるはずだ。そこを叩く!』
「五獣の型:麒麟 神雷獣足」
「ソウメイ!ここで一気に終わらせる気か!ショウ選手の懐に途轍も無い速さで接近した!」
と『人間』には到底見えない速度で近づいてきた。ショウは、
「オット!フリーダムを縮めて、上に投げた!!」
ソウメイは、投げたフリーダムを目で追ってしまった。
「しまった!」
「遅いですよ。」
とソウメイの後ろを取り、ラッシュを決めた。ソウメイは、
「ぐっ、図に乗るな!」
とショウを斬ろうとした。しかし、
「悪いが、ここで死んでもらう!」
と言うと、フリーダムがいつの間にかショウのもとに返ってきていた。そして魔力をこめて、ソウメイに振った。
「五獣の型:玄武 顯現反界」
すると、ソウメイはカードする態勢でテリトリーを開放した。
「ソウメイ!自身のカウンターの態勢に入った!」
『顯現反界は、五獣の型最速にして、最高火力のカウンターだ。触れた刹那、お前を斬り刻む!』
そう思った。しかし、
「ざ~んねん」
「な、なんという事だ!!ソウメイの刀をすり抜けた!」
と魔眼を開放したショウが言った。
「すかさず、ラッシュ!ラッシュ!ラッシュ!!これは勝負あったか!?」
ソウメイは、
「はぁ…はぁ…はぁ、これは効いたぞ。だが、これでは決め手に欠けるぞ!」
と刀を構えた。そして、
「五獣の型:奥義!」
「ソウメイ!ここで、奥義を出すつもりだ!!」
と姿勢を低くし、刀をショウに向けた。
「一か八か、やってみるか!終の拳!」
「ショウ選手!フリーダムを離し、『終の拳』の構えを取った!!」
ショウは左腕に黒い雷を纏わせ、構えた。それと同時に、ソウメイとショウは動いた。
「獣迅漣嶽!」
「打雷花!」
「す、すごい!二人の最大火力の技がぶつかり合って…ってうわぁぁぁ!!」
と凄い威力でぶつかり合った。そして、
「な、なんという事だ!!コロッセオが!半壊している!!二人の勝負の行方はーー!」
と煙がはれてきた。そこには、
「お、お、おぉぉぉ!立っていたのは!!ショウ選手だーー!ソウメイは、気絶しています!!この勝負は!!ショウ選手の勝利です!!」
ショウが黒焦げた左腕をおさえていた。
「「「「「「ウォォォォォォォォ!!」」」」」」
と会場中は大歓声であった。
「全く、いきなりやるもんじゃないな~」
とショウは、呑気な事を言った。
打雷花・・・黒雷を腕に集中させて、相手の心臓を穿くショウオリジナルの技。内部と外部を同時に破壊する。しかし、腕の負担が極端に高いため、連撃が不可能な技。
ソウメイは、
「ぐ……」
少しだけ息があった。それに気付いたショウは、
「やれやれ、まだ息があったか。まぁ未完成な上に、今作ったんだから、当然といえば当然か。」
そう言うと、握り拳を作り、
「じゃあな」
と思い切り殴ろうとした。その瞬間、
「まだ死なれちゃあ、困んだよ~」
とエリート2世が現れ、ソウメイを救った。ショウは、
「何のつもりですか?審判さん、いや…誰だ!」
と魔眼を使い、そう言った。エリート2世は、ソウメイを抱えて、
「あ~ハッハッハ、やっぱり魔眼は凄いな~」
と言うと、何かを吐き出した。すると、海賊服姿の眼帯をした男が現れた。
「しっかし、ソウメイをここまでやるなんて、ちゃんと強いのな。」
「じゃあ、その強さをあなたに実感させますよ!」
と言うと、ショウは海賊服の男に攻撃を仕掛けた。男は、
「俺の名は、アルセイノ!覚えておけ!」
と言い構えた。
「ソニックブロー」
「早いが、その傷でやる気かい?」
そう言い、簡単に躱した。そして、
「ちょっと俺の技を見せてやるよ。」
とチャクラを取り出し、
「あらよッと!」
ショウに目掛けて攻撃を仕掛けた。ショウは、避けて少しずつ近付いた。アルセイノは、ショウの動きを予測し、攻撃した。
「ドッペルゲンガー:3体」
「うっほほ~いいねぇ~だが…」
と呑気な事を言った。ショウは影達に、
「影掴み」
と言い、動きを封じさせた。そして、
「終の拳:天海音流」
と尋常じゃない速度で拳をついた。しかし、
「無意味だ!」
それよりも早く、チャクラで影達に攻撃した。そこから、
「トルネードフープ」
とチャクラを握ったまま、途轍も無い速さで回転した。そこに大竜巻が発生した。ショウは、一旦退避した。
「これじゃあ、近付けない。」
大竜巻が弱まったのと同時に、ショウは走り出した。そして、
「ここだー!」
と攻撃した。しかし空を切ることになった。
「どこ行った!!」
そうショウが言うと、
「あ~はっは、今回の俺の役目は、ソウメイ救出。それ以外は、どうでもいい!だから、お前との闘いはまた今度な~」
と上空で、ソウメイを抱えたまま言った。
「待て!!」
「あっそうそう、プレゼントだ。」
すると、上から何かが落ちてきた。
「マモノ ハイジョ」
「何だこいつは?」
とショウが、ロボットを見て言った。。すると、アルセイノが説明した。
「そいつは、改造ロボットだ。元々は、バーサーカーを殺すことに特化したロボットなんだが…更に改造して、魔物を全ては殺すようプログラムにした。じゃ、また会おう。生きていればね~」
そう言うと指輪をかざし、空間を開いた。
「待て!」
「ハイジョ!」
と改造ロボットが、攻撃した。ショウは、避けようとしたものの、その場で倒れてしまった。
『くそっ、力がもう入らない。力を使いすぎた。』
そう思った。改造ロボットは、
「ハイジョ!」
とショウを思い切り殴ろうとした。ショウは、
「くっ、ここまでか…」
と思うと、改造ロボットの拳をオーツが止めた。
「お前は、俺がぶっ壊す!」
と言い、改造ロボットに蹴りをくらわせた。そして、
「ザギル!」
「あぁ」
「ショウを連れて行け」
「最初からそのつもりだ。」
とショウを抱えて、会場席へといった。
「ハイジョ!」
そう改造ロボットが言い、ショウとザギルの方に向かった。そこをオーツが、
「どこを向いている?オマエの相手は、俺だ!」
と改造ロボットを殴り、狂乱化した。
「さぁ、さっさとソウメイと闘わせて下さい。」
そう催促していた。すると、
「血気盛んな少年だな。」
とソウメイが現れた。
「さぁ、約束通り、僕と闘ってください。」
「まぁまぁ落ち着け、その傷で某と戦うのか?」
「僕は構いません。」
「某も随分と舐められたものだ。」
と言うと、ソウメイがショウに攻撃をした。ショウはそれに全く反応できなかった。ソウメイは、
「これでもまだ、闘いたいなら相手をしよう。どうする?」
と圧を掛けた。ショウは、
「仕方ありません。あなたの言う通りにします。」
と言い素直にきいた。
「賢明な判断だ。それに、全快でないお主を倒しても、観客の者達が楽しめないからな。」
ソウメイも刀をおさめてそう言った。すると、
「さぁ、コロッセオを制したショウ選手には、1万金貨を贈呈されます。また、主催者ソウメイのご要望通り、1週間後にショウ選手と対戦となります。では、会場の皆さま~また来週~」
とサシが放送した。ショウは、辺りを見た。
「いつの間に暗くなっていたんだ?」
「ショウ君達3人が闘って、5時間が経過していたからな。」
「そ、そんなに!ってダルタンさん、相当しんどそうですけど」
「あぁ、ザギル君の剣技をくらってしまってね。だいぶ楽にはなったけど、骨をいくつか砕かれてしまったからね。」
「そうですか。他の通過者は?」
「バクネンとリールは、コロッセオ側の人間に早くも闘場から下ろされていた。ザギル君は、ソウメイが現れた瞬間に消えていた。オーツ君は、まだそこで寝っ転がってるよ。」
「ふぅ~」
「そこに居たんですか?」
とオーツに言った。オーツは、大の字に寝っ転がって、
「こんなにも綺麗だったんだな。星って」
と夜空を見て言った。
「何か清々しい顔ですね。」
「まぁな、お前らとの闘いで『感情』が手に入った。」
「ん?その言い方だと、君は感情が無かったような言い方だな。」
「そのとおりだ。俺は、生まれた時から『感情』が無かった。でも、才能があったからここまで強くなった。」
「そうですか。なんか嫌味な言い方ですね。」
「そうかよ。」
とオーツと話、ショウも夜空を見上げ、
「あなたの言う通り、綺麗ですね。」
「だろ!」
と少しだけショウは、オーツとダルタンと一緒に星を見た。
ショウは賞金を受け取り、借りていた宿に帰った。
「今日は、久し振りに疲れた~」
ショウは、今日のことを振り返った。
『オーツさんとザギルさんは、すごく強かった。火力100%の技をほぼ互角の火力で放っていたな。あと少し火力が弱かったら、押し負けていた。もっと強くならなきゃ…』
と強く思った。そして、
「少し外の空気を吸いに行くか~」
と外に出た。
宿を出てすぐに、
「コロッセオ優勝者のショウだ!」
「えっ!魔剣士ショウ!」
「ショウ様~手を振って~」
と知らない人間と魔物から声を掛けられた。ショウは、
『め、面倒臭い…早く消えてくれないかな~』
と内心苛ついていた。すると、
「人気者だね。ショウ君」
とダルタンに声を掛けられた。周りの奴らは、
「ダルタンだ!」
「槍捌きをみせてくれ!!」
等と言った。ダルタンは、
「仕方ない、少しだけ披露しよう!」
そう言うと、自身の槍『水虎電龍』を取り出した。そして、槍を振るいながら、水を花びら状に発生させた。
「「「「おぉぉぉ!!!!」」」」
「まだまだ!!」
そこから水を集め虎の姿にして、
「さぁ、フィニッシュ!!」
そう言うと、虎と共に上に跳び上がり、
「龍虎の水演舞」
と槍を巧みに扱い、虎と闘ってるように舞った。
「ありがとうございました。」
とお辞儀をすると、
「「「「ふぉぉぉぉ!!」」」」
「最高だったよ!」
「もう一回!!」
「次は雷でやってくれ!」
と好評価だった。すると、
「あれ?ショウはどこ行ったんだ?」
とショウがいないことに気付いた。しかし、
「しょうがない、サービスですよ~」
とダルタンが、もう一度ショーを始めようとしていた。
「まぁいいか」
とショウの事を後に、ダルタンのショーに魅了された。
ショウは、人気のないところまで走った。
「はぁ~あんなに集って来るとは思わなかった。金貨が欲しかったのかな?まぁ、また今度ダルタンさんにお礼を言わないとな~」
と自身がコロッセオ優勝者という自覚のないショウだった。なので、賞金目当てで来たと思っていた。すると、
「よぉ、優勝者」
と声を掛けられた。
「貴方はたしか、ザギルさん」
「覚えてくれてたのか?律儀なやつだ。それより…」
「何ですか?」
「お前、このままじゃソウメイに『殺される』ぞ」
「ソレはどういうことですか?僕じゃ負けると言いたいんですか?」
「いや、あくまで『このままでは』と言ったんだ。」
「どういう意味ですか?」
「それは…こういう事だ!」
とショウに斬り掛かった。ショウは、ギリギリのところで躱した。
「何のつもりですか?」
「今日から『俺達』が、お前の悪癖を徹底的に叩いてやる。殺されたくなければ、死にものぐるいになれよ!」
「俺達?」
そう呟くと、
「俺もいるんだよ!」
と上からオーツが、ショウを襲った。ショウは、
「硬質化:鉄」
とガードした。しかし、オーツの双剣は、ショウの腕に深傷を負わせた。
「ぐっ、オーツさんまで!」
「おう、折角勇者一行と闘えるのに、みすみす殺されるだけなんて可愛そうだからな。」
「さっきから何なんですか?二人とも」
とショウが言った。二人顔を合わせて、
「「はぁ~」」
と同時に溜息をついた。そして、
「いいか、お前はソウメイを殺したいんだろ?」
「それがどうかしましたか?」
「悪いが、『今の』お前には絶対に無理だ。運良く勝てたとしても、殺せれはせん。」
「どうしてですか?」
ショウがそう聞くと、ザギルが、
「お前が勝てない理由は、お前の『悪癖』にある。」
そう言い、ザギルが指を2つにして前に出した。
「その悪癖は2つある。一つは、駆け引きが下手だ。バトルロワイヤルじゃなければ、負けていたぞ。」
「……!」
「もう一つは、出し惜しみだ。お前、『何で魔眼を出すのを躊躇った?』」
「それは、ソウメイに使えることを知られたくなかったから。」
「俺はそれが理解出来ないな。魔眼はそう簡単に対処できるものじゃない。幾ら勇者一行でもな。」
「それは…!」
「それに、何故オーツと闘っているときに、『終の拳』を使わなかった?」
「……」
「オーツがいくら『狂乱化』していたとはいえ、『終の拳』を使えば倒せていたはずだ。魔眼を『使わなく』てもな。」
ザギルの言葉は、ショウにはすごく響いた。だから、
「なら、最初から全力で闘う!」
とザギルとオーツに向かっていった。ザギルとオーツは、
「少しだけ、いい面になったな。」
「俺も高ぶってきた!」
と各々構えた。
「ソニックブロー」
「月光の型:劉観月 立待」
とカウンターをショウにくらわせた。そこにオーツが、
「波円海」
「待ってましたよ!『終の拳:反射鏡』」
「ぐっ、さすが俺の斬撃だ!ガードしてもほぼ無意味だった。」
「その状態でまだやりますか?」
「当たり前だろ!」
「俺もいるんだよ!我流 重桜牽連渦」
「魔眼:模倣『不知火海』」
ショウは、自身の残像を無数に作った。そして、
「消えやがった。どこだ!」
「ここです!終の拳:楽胴牙」
と突然後ろに現れた。ザギルは、
「魔眼:能力補助『硬質化』」
すると、全身が硬質化し、ショウの技をなんとか防いだ。ザギルは、
「ぷっ、聴いてはいたが、こんなにも強力とはな。これでまだ、発展途上なんて化け物だな。」
と言った。実際、ザギルの全身を砕く一歩手前までいっていた。
『それに、「能力補助」を使用してこれだけのダメージをくらわせられた。何故本選で使わなかったんだ?』
そう思った。
ショウが本選で『終の拳:天海音流』しか使用しなかったのは、相手の力量を測るためである。天海音流は、緩急のあるラッシュなので、対応が困難な技だ。それに対応ができれば、かなりの手練だ。そこを見極める眼は、ショウはまだまだ未熟故の測り方であった。
ザギルとオーツをなんとか倒し、
「はぁ…はぁ…凄いですね。あの闘いの後に、ここまでやるなんて…」
と息をきらしながらショウが言った。ザギルは、
「まぁな、伊達に旅して色んな所で強者と闘ってないわ。」
と言った。オーツは、
「やっぱり、お前らと闘うのは楽しいな~」
と満足気な顔で言った。ショウが手を差し出し、二人を立ち上がらせた。
「これから二人はどうするんですか?」
「何だよ。急に」
「僕はまだまだ未熟です。このままじゃ、『アイツラ』には届かない。指摘してくれる方は、もう居ない。なので、お二人と一緒に旅出来ませんか?」
とショウが言った。二人は顔を見合わせ、ザギルが、
「何か、訳あり顔だな。ソウメイを見た瞬間のあの途轍も無い殺気を放ってたな。彼奴が何かしたのか?」
「それは…」
「イヤなら言うな。」
「ザギルさん」
「まっ、お前とソウメイが闘うまでは、相手になってやるよ。」
と言った。ショウは嬉しそうに、
「ありがとうございます。ザギルさん」
と言った。ザギルは、
「さん付けすんな。ザギルでいい」
「はい」
「俺も忘れるな。俺も、呼び捨てでいい」
「では、1週間よろしくお願いします。」
と頭を深々と下げた。そこから1週間、ショウ、ザギルとオーツは、訓練するのと同時に、ショウの悪癖を徹底的に叩き直した。そして、
1週間後
「さぁ!皆さま、お待たせしました!!いよいよ、ショウとソウメイのバトルが始まります!?」
「「「「ウォォォォ!!!」」」」
会場は満員、外も人間と魔物でコロッセオが埋まっていた。
「改めまして、実況をさせてもらうサシです。盛り上がっていきましょう!」
「「「「ウォォォォ!」」」」
「まずは恒例!選手紹介だ!!」
「「「「「イェェェェイ!?」」」」」
「最初に登場したのは、勇者一行の一人にして、世界最強の武人!!『五獣の型』を編み出した超天才!華麗な刀捌きでショウを斬り刻んでしまうのか!!武人ソウメイ!!!」
とソウメイが、ゆっくり歩いて登場した。
「ソウメイ!!」
「ぶった斬っちまえよ!」
「『五獣の型』見せてくれよ!!」
と掛け声がかけられた。ソウメイは、
「それだけの強者ならな。」
と嬉しそうに言った。
「そしてもう一方から登場したのは!!魔剣士であり、『終の拳』更には『魔眼』を使えるこちらも超天才!?多彩な技でソウメイを圧倒してしまうのか!!魔剣士ショウ!!」
と言われ、ショウは歩いて登場した。
「負けんなよ!!」
「ソウメイなんて、ぶっ潰しちまぇーー」
「魔剣見せてくれ!!」
「ソウメイを魔剣でズタズタにしろ!!」
「何だと!ソウメイも刀でぶっ殺せ!!」
と場外乱闘が起きた。サシは、
「まさかの場外乱闘がここでゴッパつした!!」
と面白そうにいった。ショウは、
「下らないですね。僕が、あなたを殺す未来は変わりませんよ。」
とソウメイに向かって言った。ソウメイは、
「その未来を斬る刀を、某は持っている。」
と言った。するとサシは、
「それでは、ルールを改めて説明します。武器、武技やスキルの使用は自由!時間無制限!相手を倒すもしくは、降伏させれば勝利です!」
と言った。そして、
「それでは~Ready……Fight!!」
と言い開始した。ショウとソウメイは構えた。ソウメイは、
「お前は、某を倒せるか?」
と挑発した。ショウは、
「倒しませんよ。殺します。」
それを言うのと同時に、ソウメイに攻撃した。
「ショウ選手!ソウメイに拳と蹴りのラッシュを仕掛けた!」
ソウメイは、軽々と躱し、
「セイッ!」
と刀で斬り掛かった。
「おお!ソウメイ!ショウ選手の攻撃を躱し、カウンターに刀で斬り掛かった!!」
ショウも軽々と避けた。ソウメイは、
「整えは終わり、ここからは本気だ!」
と言うと、
「五獣の型:白虎 鳴弦双爪」
と一度に2つの斬撃を発生させた。それも何重にも重ねてあった。
「ここで!ソウメイの十八番『五獣の型』を仕掛けた!」
「クッ」
と攻撃をなんとか受けきった。ソウメイは、
「五獣の型:青龍 逆鱗浄河琉」
とショウの周りを囲いながら、縦横無尽に斬り掛かった。
「何という美しい動きでしょう!会場中!魅了されております!!」
『緩急を極端にする事で、何処から攻撃するかわからないようにしているのか。受けるので手一杯だ。』
そして、
「最後だ!五獣の型:朱雀 心火塗武紋」
と火を纏わせて、一瞬でショウを覆い尽くす火が襲った。
「おぉー!ここで!ショウ選手が全身火だるまにされてしまった!?これは勝負あったかーー!」
火が消えると、ショウがボロボロの状態であった。ソウメイは、
「これが某の型だ。」
と自信ありげに言った。
「これが『五獣の型』ですか?」
とショウが聞いた。ソウメイは、
「あぁ、『五獣の型』は、朱雀・青龍・玄武・麒麟・白虎の五獣の特徴を活かし作った。どうだ?」
「ソウメイ!ショウ選手に誇らしげに自慢している!」
「へぇ~そうですか。というか、いちいち五月蝿いですね。実況さん」
「そうか。あぁ、そう言えば、お主の母もなかなか良いものを持っておったな。どうして、魔物共とおったのだ?」
それを言われたショウは、溢れんばかりの魔力と殺気を放った。
「な、なんという殺気でしょうか!?昨日放った殺気よりも鋭い!会場の一部の者達が、気を失ってしまった…!」
ソウメイも、
『何だ!こんなにも鋭く重い殺気は初めてだ。』
と全身が震えていた。ショウは、
「それは、お前ら人間共が『迫害した』からだよ。」
といつもからは想像できない声で、圧をかけながら言った。
六年前
ショウはサタンに抱っこされながら、
「とうさんとかあさんは、どうやって出会ったの?」
と質問をした。サタンは真剣な表情で、
「母さんとの出会いはな、凄く最悪だったよ。」
と言った。
「なんで?かあさんがキライだったの?」
「そういう意味じゃないよ。ショウは、『厄災の塔』は知ってるな。」
「うん、ブレイおじさんから『キケンだから行っちゃだめ』って言われた。」
「そうだ。母さんとはそこで出逢ったんだ。」
「え!?」
とショウは驚いた。
厄災の塔・・・災害級の魔物が蛆のよう湧いてくる塔だ。その危険さ故に、人間も魔物も半径100m以内に入ってはいけないことになっている。
「母さんは、そこに3ヶ月もいた。災害級魔物から魔神に近い存在とも死闘を繰り広げていた。そこで偶然、父さんが遠征で通って助けたんだ。」
それを聞いてショウは、
「さ、3か月も!」
「あぁ、母さんは人間側に居た時に、人とは思えない程の迫害を受けた。家系内の虐めだけでなく、幼少の頃に何度も生物兵器開発の実験体にさせられていた。その挙げ句、「使えなくなったから」と『厄災の塔』に閉じ込められた。」
とサタンは少し怒りが籠められていた。
「す、すまん。ショウには、嫌な思いをさせたな。」
「そんなことした奴、いまどこにいるの?」
と途轍も無い怒りを込めて聞いた。そこにソフィアが入ってきて、
「もういないよ。それに…」
と言いながら、ショウを抱き上げ、
「今はショウがいて、凄く幸せだから!」
といつも以上の笑顔で言った。
「かあさん…」
とショウは、涙を流しながら言った。サタンは、
「ソフィア…その…」
と何か言おうとしたが、ソフィアが、
「後で、私の部屋に来てくださいね。」
と圧を掛けた笑顔で言った。
「は…はい」
とサタンが萎縮してしまっていた。因みに、あの恐怖の象徴であったサタンが半泣きさせる位怒られました。
ショウは、
「元々人間は大嫌いだ。特に、テメェらゴミ屑はもっと嫌いだ!だから、お前ら勇者一行は僕が全員殺す!」
そう言うと、
「魔剣生成:フリーダム」
と透明な棍が現れた。ソウメイは、「五獣の型」に再度構えて、
「何だその棍は?」
と聞いた。ショウは、
「フリーダム、この棍は伸縮・硬度・属性等が僕の魔力調整で自由にできる。こんな風にね。」
そう言うと、その場でフリーダムを振るった。すると、
「魔剣フリーダムが、伸びたーーー!!ソウメイ!何とか刀で受けた!」
『クッ、伸びた。しかも、とてつもなく重い一撃だ!だが…』
ソウメイは、フリーダムを跳ね返し、ショウに突っ込んでいった。
『いくら強力な一撃でも、次のためは長くなるはずだ。そこを叩く!』
「五獣の型:麒麟 神雷獣足」
「ソウメイ!ここで一気に終わらせる気か!ショウ選手の懐に途轍も無い速さで接近した!」
と『人間』には到底見えない速度で近づいてきた。ショウは、
「オット!フリーダムを縮めて、上に投げた!!」
ソウメイは、投げたフリーダムを目で追ってしまった。
「しまった!」
「遅いですよ。」
とソウメイの後ろを取り、ラッシュを決めた。ソウメイは、
「ぐっ、図に乗るな!」
とショウを斬ろうとした。しかし、
「悪いが、ここで死んでもらう!」
と言うと、フリーダムがいつの間にかショウのもとに返ってきていた。そして魔力をこめて、ソウメイに振った。
「五獣の型:玄武 顯現反界」
すると、ソウメイはカードする態勢でテリトリーを開放した。
「ソウメイ!自身のカウンターの態勢に入った!」
『顯現反界は、五獣の型最速にして、最高火力のカウンターだ。触れた刹那、お前を斬り刻む!』
そう思った。しかし、
「ざ~んねん」
「な、なんという事だ!!ソウメイの刀をすり抜けた!」
と魔眼を開放したショウが言った。
「すかさず、ラッシュ!ラッシュ!ラッシュ!!これは勝負あったか!?」
ソウメイは、
「はぁ…はぁ…はぁ、これは効いたぞ。だが、これでは決め手に欠けるぞ!」
と刀を構えた。そして、
「五獣の型:奥義!」
「ソウメイ!ここで、奥義を出すつもりだ!!」
と姿勢を低くし、刀をショウに向けた。
「一か八か、やってみるか!終の拳!」
「ショウ選手!フリーダムを離し、『終の拳』の構えを取った!!」
ショウは左腕に黒い雷を纏わせ、構えた。それと同時に、ソウメイとショウは動いた。
「獣迅漣嶽!」
「打雷花!」
「す、すごい!二人の最大火力の技がぶつかり合って…ってうわぁぁぁ!!」
と凄い威力でぶつかり合った。そして、
「な、なんという事だ!!コロッセオが!半壊している!!二人の勝負の行方はーー!」
と煙がはれてきた。そこには、
「お、お、おぉぉぉ!立っていたのは!!ショウ選手だーー!ソウメイは、気絶しています!!この勝負は!!ショウ選手の勝利です!!」
ショウが黒焦げた左腕をおさえていた。
「「「「「「ウォォォォォォォォ!!」」」」」」
と会場中は大歓声であった。
「全く、いきなりやるもんじゃないな~」
とショウは、呑気な事を言った。
打雷花・・・黒雷を腕に集中させて、相手の心臓を穿くショウオリジナルの技。内部と外部を同時に破壊する。しかし、腕の負担が極端に高いため、連撃が不可能な技。
ソウメイは、
「ぐ……」
少しだけ息があった。それに気付いたショウは、
「やれやれ、まだ息があったか。まぁ未完成な上に、今作ったんだから、当然といえば当然か。」
そう言うと、握り拳を作り、
「じゃあな」
と思い切り殴ろうとした。その瞬間、
「まだ死なれちゃあ、困んだよ~」
とエリート2世が現れ、ソウメイを救った。ショウは、
「何のつもりですか?審判さん、いや…誰だ!」
と魔眼を使い、そう言った。エリート2世は、ソウメイを抱えて、
「あ~ハッハッハ、やっぱり魔眼は凄いな~」
と言うと、何かを吐き出した。すると、海賊服姿の眼帯をした男が現れた。
「しっかし、ソウメイをここまでやるなんて、ちゃんと強いのな。」
「じゃあ、その強さをあなたに実感させますよ!」
と言うと、ショウは海賊服の男に攻撃を仕掛けた。男は、
「俺の名は、アルセイノ!覚えておけ!」
と言い構えた。
「ソニックブロー」
「早いが、その傷でやる気かい?」
そう言い、簡単に躱した。そして、
「ちょっと俺の技を見せてやるよ。」
とチャクラを取り出し、
「あらよッと!」
ショウに目掛けて攻撃を仕掛けた。ショウは、避けて少しずつ近付いた。アルセイノは、ショウの動きを予測し、攻撃した。
「ドッペルゲンガー:3体」
「うっほほ~いいねぇ~だが…」
と呑気な事を言った。ショウは影達に、
「影掴み」
と言い、動きを封じさせた。そして、
「終の拳:天海音流」
と尋常じゃない速度で拳をついた。しかし、
「無意味だ!」
それよりも早く、チャクラで影達に攻撃した。そこから、
「トルネードフープ」
とチャクラを握ったまま、途轍も無い速さで回転した。そこに大竜巻が発生した。ショウは、一旦退避した。
「これじゃあ、近付けない。」
大竜巻が弱まったのと同時に、ショウは走り出した。そして、
「ここだー!」
と攻撃した。しかし空を切ることになった。
「どこ行った!!」
そうショウが言うと、
「あ~はっは、今回の俺の役目は、ソウメイ救出。それ以外は、どうでもいい!だから、お前との闘いはまた今度な~」
と上空で、ソウメイを抱えたまま言った。
「待て!!」
「あっそうそう、プレゼントだ。」
すると、上から何かが落ちてきた。
「マモノ ハイジョ」
「何だこいつは?」
とショウが、ロボットを見て言った。。すると、アルセイノが説明した。
「そいつは、改造ロボットだ。元々は、バーサーカーを殺すことに特化したロボットなんだが…更に改造して、魔物を全ては殺すようプログラムにした。じゃ、また会おう。生きていればね~」
そう言うと指輪をかざし、空間を開いた。
「待て!」
「ハイジョ!」
と改造ロボットが、攻撃した。ショウは、避けようとしたものの、その場で倒れてしまった。
『くそっ、力がもう入らない。力を使いすぎた。』
そう思った。改造ロボットは、
「ハイジョ!」
とショウを思い切り殴ろうとした。ショウは、
「くっ、ここまでか…」
と思うと、改造ロボットの拳をオーツが止めた。
「お前は、俺がぶっ壊す!」
と言い、改造ロボットに蹴りをくらわせた。そして、
「ザギル!」
「あぁ」
「ショウを連れて行け」
「最初からそのつもりだ。」
とショウを抱えて、会場席へといった。
「ハイジョ!」
そう改造ロボットが言い、ショウとザギルの方に向かった。そこをオーツが、
「どこを向いている?オマエの相手は、俺だ!」
と改造ロボットを殴り、狂乱化した。
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