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狂い咲き112
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手紙を出したところでなんになるのだろう。それはただの私の自己満足にすぎない。
今まで思い出すこともなかった兄を今さら引っ張りだして「私は幸せです」と言うつもりなのだろうか、
兄の不遇をあざ笑うかのような愚かな行為にも私は思えてならない。
その場に座り込んでいると玄関のドアが開いた気がした。
「玲子さん?」
その場から動けない私を小百合さんが心配してなんども声をかけてくれる。
私は虚ろなまでに兄のことを小百合さんに言うとその場で泣き崩れてしまった。
小百合さんはしばらく私が落ち着くのをまってくれる。
しっかりと彼と違った優しさで小百合さんは私を包んでくれる。
小百合さんは泣くばかりの私に「今だからわかること」そう言ってくれる。
若い頃はいい気になっていた。
「それでいいんです」
年齢を重ねる。
失い失墜する若さ。
若いというだけで異性を惹きつける。
世の中は生まれもったすべてで決まる。
「だからこそ、抗うんです」
立つこともできない私を立たせようと小百合さんは私の手をしっかりと握った。
沁みる心暖かさを私は感じ取ることができる。
小百合さんが運転する車はショッピングセンターに向かった。
私は文房具が置いてあるコーナーに走り出す。
どれがいいのだろう、
真っ白い便箋がいいのか、淡い色合いがいいのか、
辺りを窺っていると折り紙を見つけた。
いつの頃だったか、
まだ兄が小学生の頃、重い病気で入院した子がいた。
よくある千羽鶴だ。
あのときはひとが死んだらどうなるのか、漠然としていた。
私は軽々と「早く死んじゃえばいいのに」
相手を思うことすらしなかった。
面倒が先立ち、「死ねばいいのに」
平然とそのときは思っていた。
寄せ書きを書くのもバカバカしてくて私は書かなかった。
ひとが死ぬことを私は当時なんとも思っていなかった。
葬儀の参列も有無言わずの参加に「死んでまで、うざっ!」と私は吐き捨てた。
「また学校へ行けるよね」
その子が御礼に「ありがとう」と書いた折り紙で千羽鶴を作っていた。
今まで思い出すこともなかった兄を今さら引っ張りだして「私は幸せです」と言うつもりなのだろうか、
兄の不遇をあざ笑うかのような愚かな行為にも私は思えてならない。
その場に座り込んでいると玄関のドアが開いた気がした。
「玲子さん?」
その場から動けない私を小百合さんが心配してなんども声をかけてくれる。
私は虚ろなまでに兄のことを小百合さんに言うとその場で泣き崩れてしまった。
小百合さんはしばらく私が落ち着くのをまってくれる。
しっかりと彼と違った優しさで小百合さんは私を包んでくれる。
小百合さんは泣くばかりの私に「今だからわかること」そう言ってくれる。
若い頃はいい気になっていた。
「それでいいんです」
年齢を重ねる。
失い失墜する若さ。
若いというだけで異性を惹きつける。
世の中は生まれもったすべてで決まる。
「だからこそ、抗うんです」
立つこともできない私を立たせようと小百合さんは私の手をしっかりと握った。
沁みる心暖かさを私は感じ取ることができる。
小百合さんが運転する車はショッピングセンターに向かった。
私は文房具が置いてあるコーナーに走り出す。
どれがいいのだろう、
真っ白い便箋がいいのか、淡い色合いがいいのか、
辺りを窺っていると折り紙を見つけた。
いつの頃だったか、
まだ兄が小学生の頃、重い病気で入院した子がいた。
よくある千羽鶴だ。
あのときはひとが死んだらどうなるのか、漠然としていた。
私は軽々と「早く死んじゃえばいいのに」
相手を思うことすらしなかった。
面倒が先立ち、「死ねばいいのに」
平然とそのときは思っていた。
寄せ書きを書くのもバカバカしてくて私は書かなかった。
ひとが死ぬことを私は当時なんとも思っていなかった。
葬儀の参列も有無言わずの参加に「死んでまで、うざっ!」と私は吐き捨てた。
「また学校へ行けるよね」
その子が御礼に「ありがとう」と書いた折り紙で千羽鶴を作っていた。
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