狂い咲き

狂い咲き71

　清掃でもなんでもいい。



　プライドを棄て初心からやり直す。



　履歴書を書き上げ送信を押した。



　楽をして稼げる。そんな考えは、もう今の私にはない。



　室内の時計を見ると早いもので深夜になっていた。



　応募動機を書くのが、「写経をするような心境」



　就活をしているひとのブログでそんなことが書いてあったのを思い出す。



　私は化粧を洗い流す。そのままベッドに横になると眠りについた。



　お昼頃まで寝るとクリーニングにだしていた制服を取りにいった。



　郵便局に行くと手頃な封筒に入れた社会保険証を同封する。郵便局員が有料の紙袋のようなものをだしてくれた。



　その足で雇用保険の手続きへ。



　ハローワークで再就職先の相談をするが相談するだけ無駄。



　資格マニアじゃないけど資格があれば確かに転職には有利になる。



　しかし経験を伴ない資格などあってないようなものだ。



　サービス業を重点的に探す。



　とにかく自分なりに頑張ってみよう。どうしても駄目なら彼に相談しようか。



　眺めたにすぎない求人を見終わると私はサービス業の募集がないか歩いて探す。



　無責任でいられた頃が懐かしい。



　自宅に帰るとパソコンの電源を入れた。数件の返信があった。



　男性はリクルートスーツがあればいいが、女性にむけたスーツは売っているようでなかなか売っていない。



　アルバイトの面接ならラフでいいんだろうな。



　スーツは型落ちだけどある。



「よし」



　私は一件、面接の時間を問い合わせる内容に返信をする。



　月曜日のお昼頃を私は指定した。



　明日は彼に会う。日曜日は一日時間があると言っていたが私にあわせてくれたのかもしれない。



　他にも求人を掲載しているところがないか。中途採用募集がないか企業のＨＰを覗き続けると私はパソコンの電源を落とした。



　まだ無職となったばかりなのに、この落ち込みよう。



　前に前にと足を進めているつもりが、なんだか空元気な空回りに感じる。



　考えれば考えるほどに落ち込んでくる。なかなか眠れない。



　眠りについたのは早朝近かった。



　目覚まし時計の音に私は目覚めた。



「うーん」と背伸びをする。