狂い咲き

necropsy

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狂い咲き44

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 男性って夢中になると、まるで子供のようだ。私からするとそこが可愛くて仕方がない。


 隣で黙々と玉葱を刻んでいる彼を見ていたらようやく私に気づいた。


 彼は涙目になった目をそっと私に気づかれないように拭った。


「フードプロセッサーがあればいいのにね」


 彼は冷蔵庫から冷えたペットボトルを取り出すとグラスに注ぎ、私に差し出してくれた。


 彼はどこか照れた笑いを浮かべる。黙々と玉葱を刻んでいたところが、どこか恥ずかしいのだろう。


「困ったな」


 困惑する彼は、私が頼んだものをコンビニで、お泊りセットを二つ買ってきてくれていた。


 言葉数の少ない彼に、私は饒舌なことは求めていない。彼は言葉数が少ない分、表情や仕草に出す。


 どう手渡そうかと、私が頼んだコンビニの品に彼は躊躇っている。


 どこか、ますますと意地悪くしたくなる。


「へー」


 私の意地の悪い笑みに、彼は躊躇いながらも「これでいいだろう?」とした顔をした。


「ありがとう」


 そう言いつつも、なぜか、私は彼をからかいたくて仕方がない。彼が照れるほどに、日常の彼と大きくかけ離れた姿が可愛らしい。




 彼は気を取り直したようにまた、玉葱を刻み出す。綺麗な指だなといつも思う。彼を初めて見たとき、その、しなやかな指がなんともいえない淫らなことを想像させられてしまった。


 あの男も、また、綺麗な指であった。


 彼は居直った顔で手を動かしハンバーグを焼くだけとなった。


「オーブンがあれば岩石にならないのにね」


 私が彼をからかほどに彼は焼き具合が心配なのか。火加減をみたりフライ返しでハンバーグの焼き具合を見るほどにハンバーグの形が崩れてきた。


 私がクスクス笑うほどに彼はさらに、なんとかしようとする。


 最後は完全に居直った。電子レンジで温めるだけのインスタンのご飯を形が完全に崩れてしまったハンバーグの中に入れてチャーハンにしてしまった。


 思った以上に負けず嫌いなんだ。
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