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狂い咲き21
しおりを挟む悪いことは悪いとはっきり言うのなら、彼のことも考えてやって欲しいとも言う。説明されれば、気持ちのなかでは納得いかなくても、頭ではわかる。
もし本当に、彼が車内での会話を聞いていたら、大した度胸だ。
「もっと苦しめ続けてやれ。できることなら、一生、苦しめ続けてやってもいいと俺は思っている」
思わず私は目を閉じた。
「あの男と再会したら、きっとお前が知っている優しいままだ。お前に考える時間を与えるだろう。それこそ、お前が一日、いや、二日。それ以上でも答えを持ち続けるだろう。あの男は確かに、攻撃的になったら誰も止めることは不可能だ。だからと言って、お前と再会するなり、危害を加えることはしない」
男は、彼に聞かせるように、携帯電話の着信を鳴らして貰えないかと言い出した。
まさかと思っていると、男の携帯電話の着信音が鳴った。
男は携帯電話を私の耳元にあてると、彼の声が聞こえる。
「待ってる」
思わず、「嘘」と言いたくなる。
でも恐ろしさのあまり彼から逃げ出せば、私は一生後悔する気がする。
彼と別れて一年。
幸せそうに見えるほど不幸なことはない。
離婚をしたひとの話しを聞くと、昨日までの自慢話しはなんだったの? と思うぐらい不平不満をもらす。挙句には、「結婚なんてするんじゃなかった」と言うひともいる。
幸せそうに見せていただけなんだ。
男が私に語ったことすべてを認めたくはないが、養育費を払っている父親は少ない。
離婚するなり、若作りをして、若い女の子に声をかけている男性社員だっている。
子供ってなんだろうと、男と話しをしていて考えさせられた。
車は迷わず彼が待つペンションに向かい続けている。
彼を恐れる気持ちが、なぜだかわからないが、いつしか立ち向かおうとしている。
「あなたって不思議なひとね。彼に「うん」と頷くかまではわからないけど」
「それでいいんじゃないのか。まともな男が、ストーカー行為をしたり、俺に命令してまで、強引にお前を連れて来いと言うほうが、どう考えたっておかしいさ」
「そうね」
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