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番外
我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか
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――正月を迎えた七種家では、新年の衣装を纏った一族の者たちが、先祖参りのため、菩提寺に訪れている。
日ごろは、洋服を纏っているが、美形の家系であるため、日本古来の袴と着物が非常に良く似合っている。
中でも、三男・雪人の美しさは、筆舌し尽くしがたい。
柔らかく滑らかな髪が肩口で揺れている雪人は、性別を超えた美しさがある。女たちが嫉妬し、男たちの情欲を沸き立たせるほどの、魔性というべき妖しさを具えて…。
身に纏う着物は、高級品だとうかがい知れる。当主・継直の妻である百合子や、次代当主・継晴の妻である早苗よりも、更に豪奢な着物を纏っているのだった。
白を基調とした生地に金糸と銀糸の蝶が豪華絢爛にも舞っている。帯は西陣織の一品物であった。
羽織は鮮やかな紫で、紫と白という最高級の色の重ねだ。七種家当主直継が自ら日本でも5本の指に入る呉服屋へ出向き、選んだものだった。
それを纏っている雪人は、熱を孕んだように、目許が潤んでいる。普段から紅い唇も、更に鮮やかになり、見るものを魅了する姿だ。
先祖代々が奉られている菩提寺の最も日当たりの良い高台に上るのさえも、他の兄弟に支えられているほどだ。
知らない者が見れば、熱でもあるのかと疑ってしまうだろう。
滞りなく墓参りを済ませた一族が本堂近くまで、帰ってきたところであった。
「あ、ぁああ!」
突然、最後尾を歩いていた雪人が甲高い悲鳴を上げて、その場にしゃがみ込んだ。
「何事です、雪人さん」
雪人の斜め前を歩いていた百合子が、振り返り、雪人に冷たく尋ねる。しかし、尋ねられた雪人は、しゃがみ込んだまま熱く喘いでいるだけだ。胸元を抱きしめて、紅い唇からは白い息が忙しなく作られる。
百合子の目には、異様なものが映っていた。
赤ん坊の握りこぶしほどの水晶の珠が転がっているのだ。
「なんですか、これは?」
百合子が怪訝な顔で、雪人とその水晶を見比べていると、長男である継晴が近寄ってきた。
「大丈夫か、雪人」
支えようと、雪人の腕に触れた継晴であったが、触れた途端雪人が過剰に反応したことで、思い当たったようであった。
「継貴、継保。お前たち、戯れが過ぎるぞ」
長兄の言葉に、名前を呼ばれた二人は笑った。
「正月だし。つい、な、継保」
「ごめんね、雪人」
雪人より唯一年下である継保は、雪人に近づく。
「帰ったらもっとちゃんと、してあげるからね」
継保が紅く高潮した耳元に囁くと、彼らの母である百合子がたしなめた。
「おやめなさい、継保。ここは家ではありませんよ」
百合子が女と母の入り混じった表情で告げると、継保はすっと顔色を変えた。
「煩いよ、母さん。あんたは、一族の血を引いてないんだから、俺たちのいうことに逆らえないだろ。それに、雪人に嫉妬するなよ、見っとも無い」
「まあ!」
末の息子の科白に、百合子は顔を真っ赤にした。顔は高潮し、紅を引いた唇は震えている。その百合子を治めたのは、夫である継直であった。
「まあ、良いではないか百合子。継貴も実質的に継保も、今年の正月が独身最後だ。少し羽目を外したいのだろう」
そう、継貴は春に式を上げることになり、継保も秋に結納が決まっている。
「そうそう、だから今のうちに、雪人に悪戯いっぱいしないと、忘れちゃうからね、俺たちのこと」
七種本家を出ることが決まっている継貴も言った。といっても、新居は車で5分ほどのところに建てられるのだが。
継保は、崩れている雪人を抱き上げると、他の者たちに告げた。抱き上げられた雪人は、既に耐え切れず、縋るように継保の首にすがりついた。
「俺、先に帰ってるよ。雪人もこれ以上、持たないみたいだし。兄貴はどうする?」
と、継貴に尋ねる。
「俺も帰るさ。いいよな、親父、兄貴?」
「ああ、ただし。あんまり無茶をするなよ?俺と、父さんが帰るまでは、持たせとけ」
「はいよ」
当主と次代当主の了解を得られたことで、兄弟は足取り軽く車へと歩いていくのだった。
――七種家に帰った雪人は、つい先日増設されたばかりの部屋に連れ込まれた。地下室にまるで囚人のように部屋を設えていた雪人だが、やはり環境的に宜しくないとなり、新たな場所が与えられた。
それが、庭に増設された離れであった。加えて、女主人である百合子の息のかかっていない、新しい使用人が迎えられた。
執事も新しく置かれ、一族の男たちとの関係も、公然としていた。
使用人たちは、帝国ホテルなどで働いていた者たちもおり、七種家に仕えている者たちよりも質が高かった。
雪人はベッドルームで、肢を大きく開いた状態で、熱く喘いでいた。蕾には、腸液で濡れた水晶が見え隠れしている。
「ほら、雪人。ゆっくり出して」
「いや、いや…」
雪人はシーツを握り締めながら、嫌々と頭を振るが、蕾は妖しく花開く。
「そんな我侭言って、出さないとつらいのは、雪人だろ?ほら、指も入んないぜ」
継貴はそういって、蕾の皺をゆっくりと撫でた。それだけで雪人にはたまらないのだろう。
「ひっ、ぁあ…」
胸をそらしながら、継貴の指に蕾を撫でられるが、疼きは終わらない。逆に、胸の突起は継保につままれて、徐々に充血する。
「あ、可愛い。弄ってたら、紅くなってきたよ」
摘ままれた乳首を、舌でねっとりと舐められて、雪人は更に髪を振り乱した。
陰茎も継貴の掌に包まれ、上を向いている。年の近い兄弟たちに、好きなように弄られて、雪人はただ喘ぐしかない。
「ぁ、ん、はぁ…、やん、やあ!」
雪人が白濁した液を陰茎の先から漏らした時、直継と継晴が屋敷に戻ってきた。すっかり快楽に蕩けている雪人は、継晴が手に持ったものを見て、更に瞳を潤ませる。
それは先ほど、菩提寺で落してしまった水晶であった。
「ほら、忘れ物だよ。すっかり冷たくなってしまってね、お前の中に戻りたいようだ」
そういって継晴は、雪人の躰をうつ伏せにさせると、出掛かっていた水晶を押し戻し、更に持って帰ったもうひとつの水晶を押し込んだ。
「ん、あああ!」
背を逸らしても、その背を指先でなぶられるだけで、赦してはくれない。雪人の中を犯しているものは、互いに擦れ合い、内壁を押し広げる。
継晴の指先で水晶ごと弄られてしまうと、尻ごと腰が震えた。
「雪人。父さんに見せて差し上げなさい。お前が、水晶を産みだす所をね」
兄に諭され、雪人は震えながら、自ら尻を突き出して、肉を指先で掻き分けた。
白い肉の中で淡く色付いた蕾から、光り輝いたものがゆっくりと産まれてくる。ごくりと唾を飲み込んだのは、一番若い継保であった。
「あ、あん…いやぁ、みないでぇ…!」
自ら腰を振りながら、誘うように乱れながらも、心は矜持を保とうとしている。雪人の中から出てきたものは、ぽとっと音を立てて、シーツの上で転がり、光り輝いていた。二つの水晶が、シーツに転がる。
中から異物を出した雪人は、次の瞬間、継保に腕を掴まれて唾液で濡れた唇を貪られていた。
「がっつきすぎだぞ、継保」
と言いながらも、継貴も雄の目をしている。
雪人は唇を継保に貪られながら、下肢には継貴が吸い付いてきた。先ほどまで、水晶を飲み込んでいた蕾を、指と舌で弄られる。
「まったく、お前たちは」
呆れている継晴だが、雪人の媚態には、耐え難いものがあるのだろう。
雪人の括れた腰に腕を巻きつけて、臍に舌を差し入れ、掌で雪人の陰茎を摩っていた。
兄弟たちに弄られて、全身を揺らしている雪人は、酷く啼いていた。
正月であるし、少々お痛が過ぎても良いだろう。若造に、好き勝手にさせたのかと、直倫が聞いたら怒りそうであるが、美しい雪人を前に、誰が我慢できるというのだろう。
継直は酒を持ってこさせると、七種家に永遠に語られ続けるであろう雪人の艶やかな姿をみて、美酒をたしなむのであった。
おわり
タイトルはゴーギャンの絵画から
日ごろは、洋服を纏っているが、美形の家系であるため、日本古来の袴と着物が非常に良く似合っている。
中でも、三男・雪人の美しさは、筆舌し尽くしがたい。
柔らかく滑らかな髪が肩口で揺れている雪人は、性別を超えた美しさがある。女たちが嫉妬し、男たちの情欲を沸き立たせるほどの、魔性というべき妖しさを具えて…。
身に纏う着物は、高級品だとうかがい知れる。当主・継直の妻である百合子や、次代当主・継晴の妻である早苗よりも、更に豪奢な着物を纏っているのだった。
白を基調とした生地に金糸と銀糸の蝶が豪華絢爛にも舞っている。帯は西陣織の一品物であった。
羽織は鮮やかな紫で、紫と白という最高級の色の重ねだ。七種家当主直継が自ら日本でも5本の指に入る呉服屋へ出向き、選んだものだった。
それを纏っている雪人は、熱を孕んだように、目許が潤んでいる。普段から紅い唇も、更に鮮やかになり、見るものを魅了する姿だ。
先祖代々が奉られている菩提寺の最も日当たりの良い高台に上るのさえも、他の兄弟に支えられているほどだ。
知らない者が見れば、熱でもあるのかと疑ってしまうだろう。
滞りなく墓参りを済ませた一族が本堂近くまで、帰ってきたところであった。
「あ、ぁああ!」
突然、最後尾を歩いていた雪人が甲高い悲鳴を上げて、その場にしゃがみ込んだ。
「何事です、雪人さん」
雪人の斜め前を歩いていた百合子が、振り返り、雪人に冷たく尋ねる。しかし、尋ねられた雪人は、しゃがみ込んだまま熱く喘いでいるだけだ。胸元を抱きしめて、紅い唇からは白い息が忙しなく作られる。
百合子の目には、異様なものが映っていた。
赤ん坊の握りこぶしほどの水晶の珠が転がっているのだ。
「なんですか、これは?」
百合子が怪訝な顔で、雪人とその水晶を見比べていると、長男である継晴が近寄ってきた。
「大丈夫か、雪人」
支えようと、雪人の腕に触れた継晴であったが、触れた途端雪人が過剰に反応したことで、思い当たったようであった。
「継貴、継保。お前たち、戯れが過ぎるぞ」
長兄の言葉に、名前を呼ばれた二人は笑った。
「正月だし。つい、な、継保」
「ごめんね、雪人」
雪人より唯一年下である継保は、雪人に近づく。
「帰ったらもっとちゃんと、してあげるからね」
継保が紅く高潮した耳元に囁くと、彼らの母である百合子がたしなめた。
「おやめなさい、継保。ここは家ではありませんよ」
百合子が女と母の入り混じった表情で告げると、継保はすっと顔色を変えた。
「煩いよ、母さん。あんたは、一族の血を引いてないんだから、俺たちのいうことに逆らえないだろ。それに、雪人に嫉妬するなよ、見っとも無い」
「まあ!」
末の息子の科白に、百合子は顔を真っ赤にした。顔は高潮し、紅を引いた唇は震えている。その百合子を治めたのは、夫である継直であった。
「まあ、良いではないか百合子。継貴も実質的に継保も、今年の正月が独身最後だ。少し羽目を外したいのだろう」
そう、継貴は春に式を上げることになり、継保も秋に結納が決まっている。
「そうそう、だから今のうちに、雪人に悪戯いっぱいしないと、忘れちゃうからね、俺たちのこと」
七種本家を出ることが決まっている継貴も言った。といっても、新居は車で5分ほどのところに建てられるのだが。
継保は、崩れている雪人を抱き上げると、他の者たちに告げた。抱き上げられた雪人は、既に耐え切れず、縋るように継保の首にすがりついた。
「俺、先に帰ってるよ。雪人もこれ以上、持たないみたいだし。兄貴はどうする?」
と、継貴に尋ねる。
「俺も帰るさ。いいよな、親父、兄貴?」
「ああ、ただし。あんまり無茶をするなよ?俺と、父さんが帰るまでは、持たせとけ」
「はいよ」
当主と次代当主の了解を得られたことで、兄弟は足取り軽く車へと歩いていくのだった。
――七種家に帰った雪人は、つい先日増設されたばかりの部屋に連れ込まれた。地下室にまるで囚人のように部屋を設えていた雪人だが、やはり環境的に宜しくないとなり、新たな場所が与えられた。
それが、庭に増設された離れであった。加えて、女主人である百合子の息のかかっていない、新しい使用人が迎えられた。
執事も新しく置かれ、一族の男たちとの関係も、公然としていた。
使用人たちは、帝国ホテルなどで働いていた者たちもおり、七種家に仕えている者たちよりも質が高かった。
雪人はベッドルームで、肢を大きく開いた状態で、熱く喘いでいた。蕾には、腸液で濡れた水晶が見え隠れしている。
「ほら、雪人。ゆっくり出して」
「いや、いや…」
雪人はシーツを握り締めながら、嫌々と頭を振るが、蕾は妖しく花開く。
「そんな我侭言って、出さないとつらいのは、雪人だろ?ほら、指も入んないぜ」
継貴はそういって、蕾の皺をゆっくりと撫でた。それだけで雪人にはたまらないのだろう。
「ひっ、ぁあ…」
胸をそらしながら、継貴の指に蕾を撫でられるが、疼きは終わらない。逆に、胸の突起は継保につままれて、徐々に充血する。
「あ、可愛い。弄ってたら、紅くなってきたよ」
摘ままれた乳首を、舌でねっとりと舐められて、雪人は更に髪を振り乱した。
陰茎も継貴の掌に包まれ、上を向いている。年の近い兄弟たちに、好きなように弄られて、雪人はただ喘ぐしかない。
「ぁ、ん、はぁ…、やん、やあ!」
雪人が白濁した液を陰茎の先から漏らした時、直継と継晴が屋敷に戻ってきた。すっかり快楽に蕩けている雪人は、継晴が手に持ったものを見て、更に瞳を潤ませる。
それは先ほど、菩提寺で落してしまった水晶であった。
「ほら、忘れ物だよ。すっかり冷たくなってしまってね、お前の中に戻りたいようだ」
そういって継晴は、雪人の躰をうつ伏せにさせると、出掛かっていた水晶を押し戻し、更に持って帰ったもうひとつの水晶を押し込んだ。
「ん、あああ!」
背を逸らしても、その背を指先でなぶられるだけで、赦してはくれない。雪人の中を犯しているものは、互いに擦れ合い、内壁を押し広げる。
継晴の指先で水晶ごと弄られてしまうと、尻ごと腰が震えた。
「雪人。父さんに見せて差し上げなさい。お前が、水晶を産みだす所をね」
兄に諭され、雪人は震えながら、自ら尻を突き出して、肉を指先で掻き分けた。
白い肉の中で淡く色付いた蕾から、光り輝いたものがゆっくりと産まれてくる。ごくりと唾を飲み込んだのは、一番若い継保であった。
「あ、あん…いやぁ、みないでぇ…!」
自ら腰を振りながら、誘うように乱れながらも、心は矜持を保とうとしている。雪人の中から出てきたものは、ぽとっと音を立てて、シーツの上で転がり、光り輝いていた。二つの水晶が、シーツに転がる。
中から異物を出した雪人は、次の瞬間、継保に腕を掴まれて唾液で濡れた唇を貪られていた。
「がっつきすぎだぞ、継保」
と言いながらも、継貴も雄の目をしている。
雪人は唇を継保に貪られながら、下肢には継貴が吸い付いてきた。先ほどまで、水晶を飲み込んでいた蕾を、指と舌で弄られる。
「まったく、お前たちは」
呆れている継晴だが、雪人の媚態には、耐え難いものがあるのだろう。
雪人の括れた腰に腕を巻きつけて、臍に舌を差し入れ、掌で雪人の陰茎を摩っていた。
兄弟たちに弄られて、全身を揺らしている雪人は、酷く啼いていた。
正月であるし、少々お痛が過ぎても良いだろう。若造に、好き勝手にさせたのかと、直倫が聞いたら怒りそうであるが、美しい雪人を前に、誰が我慢できるというのだろう。
継直は酒を持ってこさせると、七種家に永遠に語られ続けるであろう雪人の艶やかな姿をみて、美酒をたしなむのであった。
おわり
タイトルはゴーギャンの絵画から
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