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討伐編
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――王城を出て8日後、そろそろ北の大地が近くなってきた。今の季節は晩夏だ。朝夕は涼しくなり、秋の花が水辺などに咲き誇っていた。
「ルーシェ様。シュリアーノ様。そろそろ休憩しましょうか?」
馬車の外から声を掛けられ、ルーシェは返事を返す。早朝に宿を出て、日も高くなっている。
3歳のシュリアーノを伴った旅ということもあり、進行はゆっくりだ。お忍びということもあり馬車の外見は質素だが、中はかなり上等なつくりと言っていい。
「かあちゃん、お魚がいるよ」
川の中の輝きを見て、シュリアーノが指をさす。
「あ、本当だ。じゃあ、ここでピクニックでもするか」
「はっ、では用意を」
「俺がするよ。みんなは馬を休ませてやってくれ」
「ありがとうございます」
王都からついてきてくれたのは、SSS級狩人ヴァンディア・グランダーと、S級狩人のクロエ・ハンナとキロエ・ハンナ姉妹、A級狩人のケーシー・ミケルセンといずれも王城に努める武官としては精鋭だ。いずれも北の大地に興味を持ってくれた狩人たちで、北の魔獣討伐にも参加予定だった。ルーシェが王城に住んでいる間、ひそかに交友を深めてきたのだ。
狩人たちが自分たちの馬をそれぞれ休ませている間、ルーシェも用意をしていく。
見通しの良い場所なので見張りは立てず、大きな布を引いた上に、バゲットやハム、チーズ、オリーブ漬けの便の入った籠を置き、各々が挟んで食べている。
湯も沸かし、珈琲も配られた。
「かあちゃん、おいしいね」
「おいしいね。――やっぱりこういうのは、王城じゃできないから、いいよなあ」
王城では好き嫌いをすることの多いシュリアーノも、旅に出るとよく食べている。苦手な肉も狩人たちと一緒に食事をすることで少しずつ食べる量が増え、食べ物だけでなく各々の街の特産品にも興味を持っている。
「かあちゃん、これ何?」
「自分で触ってごらん」
北の大地に辿り着く間、こういった自由があるのが何よりもうれしい。実際に見て触れて、シュリアーノにいろんなことを教えてやれる。
ガルシアの伴侶になることは納得したものの、王城での暮らしはやはりルーシェには窮屈だった。
ヴァンディアとキロエの会話が聞こえてくる。
「はやり南のサラマンダーははやり最強では?」
「西のワイバーン後に出てきた千年樹もなかなかではありせんか?」
みな王城に努める前は、狩人として旅をしていた経験もあり、話題ははやり魔獣のことになる。
クロエも興味深げにきいてくる。
「ルーシェ様は、どんな魔獣を駆ったことがおありですか?」
まだ19歳で、一番年の若いケーシーが訪ねてくる。ケーシーは北の大地に来るのが初めてということもあり、とても楽しみにしているのだ。
「そうだな~。俺は極東の島の魔獣は小さいけど独特で面白かったなあ。『ヨウカイ』っていう面白い生き物もいたなあ」
あれは、20歳のなったばかりの頃だった。極東の島々は独自の文化で、魔獣も独特なのだ。通称『ヨウカイ』と呼ばれる魔獣が厄介で、二人で悪戦苦闘品がら旅をしていた。
「シュリもいきたい!」
「ああ、もう少し大きくなったらな」
今回の北の帰省で、シュリアーノを狩人としてデビューさせるつもりだった。シュリアーノが狩人として生きていくかはわからないが、自由に世界を見て欲しいという親心があるからだ。残念ながら、もう一人の親であるガルシアは、シュリアーノが少しでも危ないことをしようとするのをとめる。この前など、ルーシェの見守る中で木登りをさせていたのだが、執務室からガルシアがすっ飛んできたのだ。
「ルーシェ様。シュリアーノ様。そろそろ休憩しましょうか?」
馬車の外から声を掛けられ、ルーシェは返事を返す。早朝に宿を出て、日も高くなっている。
3歳のシュリアーノを伴った旅ということもあり、進行はゆっくりだ。お忍びということもあり馬車の外見は質素だが、中はかなり上等なつくりと言っていい。
「かあちゃん、お魚がいるよ」
川の中の輝きを見て、シュリアーノが指をさす。
「あ、本当だ。じゃあ、ここでピクニックでもするか」
「はっ、では用意を」
「俺がするよ。みんなは馬を休ませてやってくれ」
「ありがとうございます」
王都からついてきてくれたのは、SSS級狩人ヴァンディア・グランダーと、S級狩人のクロエ・ハンナとキロエ・ハンナ姉妹、A級狩人のケーシー・ミケルセンといずれも王城に努める武官としては精鋭だ。いずれも北の大地に興味を持ってくれた狩人たちで、北の魔獣討伐にも参加予定だった。ルーシェが王城に住んでいる間、ひそかに交友を深めてきたのだ。
狩人たちが自分たちの馬をそれぞれ休ませている間、ルーシェも用意をしていく。
見通しの良い場所なので見張りは立てず、大きな布を引いた上に、バゲットやハム、チーズ、オリーブ漬けの便の入った籠を置き、各々が挟んで食べている。
湯も沸かし、珈琲も配られた。
「かあちゃん、おいしいね」
「おいしいね。――やっぱりこういうのは、王城じゃできないから、いいよなあ」
王城では好き嫌いをすることの多いシュリアーノも、旅に出るとよく食べている。苦手な肉も狩人たちと一緒に食事をすることで少しずつ食べる量が増え、食べ物だけでなく各々の街の特産品にも興味を持っている。
「かあちゃん、これ何?」
「自分で触ってごらん」
北の大地に辿り着く間、こういった自由があるのが何よりもうれしい。実際に見て触れて、シュリアーノにいろんなことを教えてやれる。
ガルシアの伴侶になることは納得したものの、王城での暮らしはやはりルーシェには窮屈だった。
ヴァンディアとキロエの会話が聞こえてくる。
「はやり南のサラマンダーははやり最強では?」
「西のワイバーン後に出てきた千年樹もなかなかではありせんか?」
みな王城に努める前は、狩人として旅をしていた経験もあり、話題ははやり魔獣のことになる。
クロエも興味深げにきいてくる。
「ルーシェ様は、どんな魔獣を駆ったことがおありですか?」
まだ19歳で、一番年の若いケーシーが訪ねてくる。ケーシーは北の大地に来るのが初めてということもあり、とても楽しみにしているのだ。
「そうだな~。俺は極東の島の魔獣は小さいけど独特で面白かったなあ。『ヨウカイ』っていう面白い生き物もいたなあ」
あれは、20歳のなったばかりの頃だった。極東の島々は独自の文化で、魔獣も独特なのだ。通称『ヨウカイ』と呼ばれる魔獣が厄介で、二人で悪戦苦闘品がら旅をしていた。
「シュリもいきたい!」
「ああ、もう少し大きくなったらな」
今回の北の帰省で、シュリアーノを狩人としてデビューさせるつもりだった。シュリアーノが狩人として生きていくかはわからないが、自由に世界を見て欲しいという親心があるからだ。残念ながら、もう一人の親であるガルシアは、シュリアーノが少しでも危ないことをしようとするのをとめる。この前など、ルーシェの見守る中で木登りをさせていたのだが、執務室からガルシアがすっ飛んできたのだ。
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