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12 娘
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しばらくナギについて歩いていると開けた土地に出た。
娘は目を見開き目の前の光景を凝視する。
そこには視界いっぱいに青色の花が咲いていた。
「この青い花は何……?」
「朝顔だ」
「朝顔?」
「知らないのか……?」
娘は滅多に都に降りないのでもしかしなら都では人気の花なのかもしれない。
「人間の間では流行りだと聞いたが……俺の聞き間違いか…」
「いや、もしかしたら私が知らないだけで流行ってるのかも…………」
謎の沈黙が続く。
風が娘の黒髪を靡かせていく。
沈黙を破ったのは……娘の方だった。
「あの………人間の間で流行ってるって、誰に聞いたの………?」
「前の当主の奥方様からだ」
奥方様。
今日起きてから何度も聞いた人物だ。
その人物が出ると皆一様にして悲しい表情をする。
娘はとても気になっていた。
「その奥方様ってどんな人だったの…?」
思わず聞いてしまった。
ナギはとくに悲しい表情はしなかったが娘のことをじっと見つめ教えてくれた。
「女性にしては気が強く、鮮やかな花がよく似合う女……か?」
なぜか疑問系。
皆性格や外見ばかり教えてくれるが誰も奥方様の出自は教えてくれない。何故人間が水神と婚姻することになったのか、この手の話題になるとなぜ皆悲しい表情をするのか、娘はとても気になっていた。
でも、いざ聞こうとすると戸惑ってしまう。
「気の強い女性だったんですね……」
その疑問を飲み込みんでしまう。娘は奥方様の外見についてしか触れられない。
けれどナギはそれを読み取ったのかは知らないが教えてくれる。
「奥方様が人間だと言うことは知っているな?」
「………ええ」
「お前と同じで村の生贄として儀式に捧げられる娘だった」
衝撃の事実に目を丸くする。
私と同じ生贄の娘。
けれど思い当たる節があった。
生贄として娘が捧げられる数分前。村長が言っていた言葉。
『その贄は嫁入りしたと噂だ』
この言葉の贄とは奥方様だったのかもしれない。
「村にお忍びで行っていた当主様が奥方様のことを好きになってしまったらしく、生贄に捧げられると聞いて激怒したそうだ」
「お、怒ったの…?誰に?」
「さぁな、他人の色恋沙汰など興味がなかったからそこまでは知らん」
ナギは朝顔をひとつ摘むと娘の耳元にそれを飾った。
1番しないであろう行動に驚いているとナギが言った。
「お前は前の奥方様に似ている。屋敷にいる礼花も国も、今は亡き奥方様とお前を照らし合わせている傾向がある。…………けれど俺はお前を1人の人間としてみる。いいな?」
「は、はい……?」
なぜかそう宣言されて、少しだけ戸惑ったがとても嬉しかった。
1人の人間として見てくれるナギに娘はこう言う。
「ありがとう」
ナギは満足げな表情を見せると空に手を翳した。
するとポツポツと雨粒が降ってくる。
「雨もいいものだろう?」
目の前に広がっている青い朝顔には雨粒がついて光り輝いて見えた。
そして娘の心にも色づいていくものがあった。
それの名前はーーーー
娘は目を見開き目の前の光景を凝視する。
そこには視界いっぱいに青色の花が咲いていた。
「この青い花は何……?」
「朝顔だ」
「朝顔?」
「知らないのか……?」
娘は滅多に都に降りないのでもしかしなら都では人気の花なのかもしれない。
「人間の間では流行りだと聞いたが……俺の聞き間違いか…」
「いや、もしかしたら私が知らないだけで流行ってるのかも…………」
謎の沈黙が続く。
風が娘の黒髪を靡かせていく。
沈黙を破ったのは……娘の方だった。
「あの………人間の間で流行ってるって、誰に聞いたの………?」
「前の当主の奥方様からだ」
奥方様。
今日起きてから何度も聞いた人物だ。
その人物が出ると皆一様にして悲しい表情をする。
娘はとても気になっていた。
「その奥方様ってどんな人だったの…?」
思わず聞いてしまった。
ナギはとくに悲しい表情はしなかったが娘のことをじっと見つめ教えてくれた。
「女性にしては気が強く、鮮やかな花がよく似合う女……か?」
なぜか疑問系。
皆性格や外見ばかり教えてくれるが誰も奥方様の出自は教えてくれない。何故人間が水神と婚姻することになったのか、この手の話題になるとなぜ皆悲しい表情をするのか、娘はとても気になっていた。
でも、いざ聞こうとすると戸惑ってしまう。
「気の強い女性だったんですね……」
その疑問を飲み込みんでしまう。娘は奥方様の外見についてしか触れられない。
けれどナギはそれを読み取ったのかは知らないが教えてくれる。
「奥方様が人間だと言うことは知っているな?」
「………ええ」
「お前と同じで村の生贄として儀式に捧げられる娘だった」
衝撃の事実に目を丸くする。
私と同じ生贄の娘。
けれど思い当たる節があった。
生贄として娘が捧げられる数分前。村長が言っていた言葉。
『その贄は嫁入りしたと噂だ』
この言葉の贄とは奥方様だったのかもしれない。
「村にお忍びで行っていた当主様が奥方様のことを好きになってしまったらしく、生贄に捧げられると聞いて激怒したそうだ」
「お、怒ったの…?誰に?」
「さぁな、他人の色恋沙汰など興味がなかったからそこまでは知らん」
ナギは朝顔をひとつ摘むと娘の耳元にそれを飾った。
1番しないであろう行動に驚いているとナギが言った。
「お前は前の奥方様に似ている。屋敷にいる礼花も国も、今は亡き奥方様とお前を照らし合わせている傾向がある。…………けれど俺はお前を1人の人間としてみる。いいな?」
「は、はい……?」
なぜかそう宣言されて、少しだけ戸惑ったがとても嬉しかった。
1人の人間として見てくれるナギに娘はこう言う。
「ありがとう」
ナギは満足げな表情を見せると空に手を翳した。
するとポツポツと雨粒が降ってくる。
「雨もいいものだろう?」
目の前に広がっている青い朝顔には雨粒がついて光り輝いて見えた。
そして娘の心にも色づいていくものがあった。
それの名前はーーーー
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