3 / 4
第一章
アーリーレッド
しおりを挟む
「ノアちゃんなによ、その物騒な手紙」
それはこっちが聞きたい。
サンセプト王国から手紙なんて物騒以外何があるのだろうか。
ーーーうん、無視だ。
ノアは懐の内側に手紙をしまうと作業を始める。
「ええ、無視しちゃうの?いいの?告白したいから呼び出しちゃうみたいなやつだったらどうするのよ」
なわけあるか。ノアはこの人に何回ツッコメばいいのだろう。
邪念を取り払うかのように無我夢中に窓辺に干してある薬草を舟形の深くくぼんだ薬研に乗せ細かく砕いていく。
サンセプト王国の宮廷薬剤師になったところで厄介ごとしか来ないだろうし、何よりこの居心地のいい調剤室で作業できないのが悲しい。
怒りが湧いてくる。でもあの手紙は命令だ、逆らえない。
「サンセプト王国に行っちゃうのね、なんか悲しいわぁ…調剤室で1人薬草を管理するのは大変だもの」
「メイヤーさんも一緒に……」
そう小さく呟いてやめた。
迷惑はかけたくない。
「まぁ1人で頑張ってください」
「冷たいっ!でもそういうところも好き」
きもいなと内心思いつつ手を動かしていると、ノック音が調剤室に響き渡った。
不思議に思いメイヤーと目を合わせ首を傾げる。「今開けます」と言うと扉を開けた。
「ノア・カリフローレ様にお手紙です」
そこには年若い侍女が立っていて、手には手紙を持っていた。
手紙を受け取ると、侍女は受け取ったのを確認し調剤室を後にした。
差出人不明のこれまた意味不明な手紙。
恐る恐る封を切ると1枚の紙が出てくる。
内容は女の嫉妬や憎悪などが明らかに滲み出ている内容だった。
『貴方にシャル王子の薬剤師なんて務まりません、人殺し女め』
「もう嫌だ。面倒臭い。これだから女の嫉妬っていうのは!!!」
手紙を握りつぶし、ありとあらゆる暴言を吐くきまくる。
差出人不明なあたり、きっとシャイン・マーカット姫の侍女あたりではないかと思う。
「ノアちゃんちょっと落ち着きましょ?暴言なんて女の子に似合わないわよ」
「そもそも!!私が!!女じゃなかったら!!こんなことにはならなかった!!!!てか今そういうことじゃないですよね?!」
シャル王子がシャイン姫との面会の時に毒で倒れたのがノアのせいだという噂が広まったらたまったもんじゃない。今まで薬剤師として培ってきた信頼をそんな侍女の陰口ごときで消されてしまっては困る。
というか解毒剤持ってきたの私とメイヤーさんなんですけど。
「困ったわね。サンセプト王国に行く前に問題解決しないと貴方いつか殺されるんじゃないの?」
「こわ、冗談きついですメイヤーさん…」
この案件はシャル王子に伝えた方が良いと思うけれど、サンセプト王国に行く日時も伝えられていないこの状況でどう動けばいいのだろうか。
「シャル王子が王子なんて立場じゃなければ今から部屋に突撃してなんとかしろって言えたのに、あのクソ王子」
「誰がクソ王子だって?」
声のする方を振り返るとドアに寄りかかった隣国の第二王子、シャル・アーリーがいた。
しかめっ面をしながらこちらに寄ってくるとノアの頬を力一杯に摘む。
「いひゃいでふ(痛いです)」
「妙にムカつく顔だな、せっかく助けに来たと言うのに………やはりやめにするか」
「……チッ…すみませんでした、ところでシャル王子。用件はなんでしょう?」
調剤室に入ってきたことも気づかないぐらいに考え込んでいたらしい。
ノアはシャル王子を椅子に勧めながら用件を聞いた。
メイヤーは気を利かせて隣の部屋へと行く。
「さっき侍女から手紙が来ただろう?」
「はい、もしかしてシャル王子が書いてこちらによこした手紙でしたか?」
「俺ではない、風の噂で少し耳にしてな。解毒剤を持ってきてくれた、ましてや毒なんて盛っていない奴が人殺しと罪を問われるのは少し気が引ける」
噂話に時間を割くほど暇なら国へ帰れと言いたいところだがすんでのところで飲み込む。
どうやらただのわがままな王子ではないようだから少し協力してもらおう。
「それにこれはシャイン姫の侍女が書いた手紙だな」
机に置いてある手紙を手に取り、見ながら言う。
「なぜそう思うのですか?」
「俺は今、近衛兵2人と侍女2人としか来ていない。シャイン姫との面会もまだしていないが面会が終われば国へ帰るつもりだ。この4人の中で人殺しと書くような奴はいない。まぁ、信頼ってやつだな」
信頼とかいうのを信じて裏切られるパターンじゃないのかそれ。頭の中お花畑か。
それに第二王子にしては護衛の人数が少なすぎる。それだけ信頼している人なんだろう。
「わかりました。護衛の方々がどういう人格かはわかりませんが、その信頼に免じてシャル王子の侍女ではないのは一応信じます…ですがどうか自分の身は大事にしてください、毒の件といい下手すれば致命傷ですので」
「……ご心配どうもありがとう。だが俺の立場はそういうのがつきものだから慣れた」
慣れが一番怖いんだよなぁ……。
それはさておき、シャイン姫の侍女というのは分かった。次は当の手紙を渡した本人は誰かというのと、ノアが毒を盛ったという噂が嘘であることの証明だ。
証明自体は簡単である。
シャル王子に処方した薬やかかってしまった病の名前、症状など過去の様子が記録された診療録がある。それとシャル王子に解毒剤を飲ませた際に立ち会っていた侍女とシャル王子の証言さえあれば確実だ。
相手に私が毒を盛ったなんていう証拠はないはず。よくもまぁ手紙を渡せたものだ。
「とりあえず、私の薬剤師としての信頼は置いといて、この手紙をよこした犯人ですよ。誰なんですか、今すぐぶん殴りたいです」
「まてまて……手紙を渡せと指示したやつがいるかもしれない。そもそもこの手紙をここまで届けに来た侍女はどうなんだ?共犯者かもしれないぞ」
「なら今すぐ先程の侍女を探して確かめますか?」
椅子から立ち上がって確認しに行こうとすると、隣の部屋へと続く扉が勢いよく開いた。
「そうだと思ってさっきの侍女を捕まえてきたわよ~!」
メイヤーが満面の笑みで靴音を鳴らしながらこちらへとやってくる。
隣の部屋を覗くと先程の侍女が申し訳なさそうに椅子に座っていた。
メイヤーの察知能力の良さに感嘆する。
「ノアちゃん達がダラダラとお話ししてるからむず痒くてっ」
体をくねくねしながら話すこの人は男である。
ノアには見慣れた光景だがシャル王子は見たことのない生き物を見るかのような目をしている。
「男……だよな?」
「あらやだ。それ聞いちゃう?それとも2人っきりで確認する?王子様とだったら大歓迎よ、あとノアちゃんも」
全力で遠慮する。
シャル王子も「男というのは十分わかった…」といい、椅子から立ち上がった。
「侍女をつれて来てくれたことに感謝する……とりあえず話し合おう」
隣の部屋に行くと侍女がパッと顔をあげ、立ち上がる。
白と黒のメイド服の侍女がお辞儀をし、挨拶をした。
「ノーチェ・ウォールナットと申します」
ノーチェはお辞儀から顔を上げると凛とした表情でこちらを見た。
「事情はメイヤー様からお伺いしています。端的にいいますと、手紙を貰い受けた侍女の名前はアーリオ・パピルスという者です。受け取る際、薬剤師のノア・カリフローレという子に渡して頂戴と言われお届けしに参りました」
アーリオ・パピルスというと、クレア・パピルス卿の娘だ。男爵位というのもあり、有力領主達の上をいく、豪族だ。
今一番騒ぎなど起こしたらダメなお貴族様なのではないか?
「クレア卿の娘か。下手な真似をするなとクレア卿には言われていると思うが……」
「アーリオ令嬢に話を聞かないとわからないのではないですか?」
「いや………もしかすると………」
何かを呟いたあとシャル王子は思い至ったように顔を上げた。
「すまない。思い当たる節がある………」
顔を上げたかと思うと露骨に目線を逸らしてきた。
嫌な予感がした。まさかこいつが元凶で変な噂が広がったとかないよな…?
「とりあえず冷静に聞いてくれ」
「はい。聞きますよ」
至って冷静かつ笑顔を崩さずに。
「今朝方面会日時が書かれた手紙をアーリオ令嬢から預かったんだが、返事をすぐ書くと言って部屋で待たせていたんだ」
なんだって?なぜ最初にそれを言わないのだろうかこのクソ王子は。
「返事を書くのならお前のサンセプト王国への招待状も書いてしまおうと思い、俺の侍女に便箋を2つ用意するよう言ったんだ」
「はい、それで?」
「侍女から便箋を受け取るときに、『婚約者がいるのにも関わらず他の女性に目移りなど決してあってはならないことですからね』と小言を言われてな」
シャル王子は焦っているのを誤魔化すかのように至って真面目な表情で言う。
ノアはというと、殴りたいのを必死にこらえ、冷静に聞いている。
「それを小耳に挟んだシャイン姫に忠実なアーリオ令嬢がお前に文を渡したと言う可能性がある」
真面目な顔つきで言い切った。
「なーーるほどーー???」
会話の一連を聞いていたメイヤーはこんな状況で肩を震わせて窓の外の方を見ている。
ノーチェはというと、無表情で座っている。
「シャル王子」
「はい」
王子ともあろう人が敬語である。
ノアは精一杯の敬意を払いこう言った。
「今日はお引き取りくださいシャル王子」
薬剤師がこんなことに時間を割くのが馬鹿馬鹿しくなった。
それはこっちが聞きたい。
サンセプト王国から手紙なんて物騒以外何があるのだろうか。
ーーーうん、無視だ。
ノアは懐の内側に手紙をしまうと作業を始める。
「ええ、無視しちゃうの?いいの?告白したいから呼び出しちゃうみたいなやつだったらどうするのよ」
なわけあるか。ノアはこの人に何回ツッコメばいいのだろう。
邪念を取り払うかのように無我夢中に窓辺に干してある薬草を舟形の深くくぼんだ薬研に乗せ細かく砕いていく。
サンセプト王国の宮廷薬剤師になったところで厄介ごとしか来ないだろうし、何よりこの居心地のいい調剤室で作業できないのが悲しい。
怒りが湧いてくる。でもあの手紙は命令だ、逆らえない。
「サンセプト王国に行っちゃうのね、なんか悲しいわぁ…調剤室で1人薬草を管理するのは大変だもの」
「メイヤーさんも一緒に……」
そう小さく呟いてやめた。
迷惑はかけたくない。
「まぁ1人で頑張ってください」
「冷たいっ!でもそういうところも好き」
きもいなと内心思いつつ手を動かしていると、ノック音が調剤室に響き渡った。
不思議に思いメイヤーと目を合わせ首を傾げる。「今開けます」と言うと扉を開けた。
「ノア・カリフローレ様にお手紙です」
そこには年若い侍女が立っていて、手には手紙を持っていた。
手紙を受け取ると、侍女は受け取ったのを確認し調剤室を後にした。
差出人不明のこれまた意味不明な手紙。
恐る恐る封を切ると1枚の紙が出てくる。
内容は女の嫉妬や憎悪などが明らかに滲み出ている内容だった。
『貴方にシャル王子の薬剤師なんて務まりません、人殺し女め』
「もう嫌だ。面倒臭い。これだから女の嫉妬っていうのは!!!」
手紙を握りつぶし、ありとあらゆる暴言を吐くきまくる。
差出人不明なあたり、きっとシャイン・マーカット姫の侍女あたりではないかと思う。
「ノアちゃんちょっと落ち着きましょ?暴言なんて女の子に似合わないわよ」
「そもそも!!私が!!女じゃなかったら!!こんなことにはならなかった!!!!てか今そういうことじゃないですよね?!」
シャル王子がシャイン姫との面会の時に毒で倒れたのがノアのせいだという噂が広まったらたまったもんじゃない。今まで薬剤師として培ってきた信頼をそんな侍女の陰口ごときで消されてしまっては困る。
というか解毒剤持ってきたの私とメイヤーさんなんですけど。
「困ったわね。サンセプト王国に行く前に問題解決しないと貴方いつか殺されるんじゃないの?」
「こわ、冗談きついですメイヤーさん…」
この案件はシャル王子に伝えた方が良いと思うけれど、サンセプト王国に行く日時も伝えられていないこの状況でどう動けばいいのだろうか。
「シャル王子が王子なんて立場じゃなければ今から部屋に突撃してなんとかしろって言えたのに、あのクソ王子」
「誰がクソ王子だって?」
声のする方を振り返るとドアに寄りかかった隣国の第二王子、シャル・アーリーがいた。
しかめっ面をしながらこちらに寄ってくるとノアの頬を力一杯に摘む。
「いひゃいでふ(痛いです)」
「妙にムカつく顔だな、せっかく助けに来たと言うのに………やはりやめにするか」
「……チッ…すみませんでした、ところでシャル王子。用件はなんでしょう?」
調剤室に入ってきたことも気づかないぐらいに考え込んでいたらしい。
ノアはシャル王子を椅子に勧めながら用件を聞いた。
メイヤーは気を利かせて隣の部屋へと行く。
「さっき侍女から手紙が来ただろう?」
「はい、もしかしてシャル王子が書いてこちらによこした手紙でしたか?」
「俺ではない、風の噂で少し耳にしてな。解毒剤を持ってきてくれた、ましてや毒なんて盛っていない奴が人殺しと罪を問われるのは少し気が引ける」
噂話に時間を割くほど暇なら国へ帰れと言いたいところだがすんでのところで飲み込む。
どうやらただのわがままな王子ではないようだから少し協力してもらおう。
「それにこれはシャイン姫の侍女が書いた手紙だな」
机に置いてある手紙を手に取り、見ながら言う。
「なぜそう思うのですか?」
「俺は今、近衛兵2人と侍女2人としか来ていない。シャイン姫との面会もまだしていないが面会が終われば国へ帰るつもりだ。この4人の中で人殺しと書くような奴はいない。まぁ、信頼ってやつだな」
信頼とかいうのを信じて裏切られるパターンじゃないのかそれ。頭の中お花畑か。
それに第二王子にしては護衛の人数が少なすぎる。それだけ信頼している人なんだろう。
「わかりました。護衛の方々がどういう人格かはわかりませんが、その信頼に免じてシャル王子の侍女ではないのは一応信じます…ですがどうか自分の身は大事にしてください、毒の件といい下手すれば致命傷ですので」
「……ご心配どうもありがとう。だが俺の立場はそういうのがつきものだから慣れた」
慣れが一番怖いんだよなぁ……。
それはさておき、シャイン姫の侍女というのは分かった。次は当の手紙を渡した本人は誰かというのと、ノアが毒を盛ったという噂が嘘であることの証明だ。
証明自体は簡単である。
シャル王子に処方した薬やかかってしまった病の名前、症状など過去の様子が記録された診療録がある。それとシャル王子に解毒剤を飲ませた際に立ち会っていた侍女とシャル王子の証言さえあれば確実だ。
相手に私が毒を盛ったなんていう証拠はないはず。よくもまぁ手紙を渡せたものだ。
「とりあえず、私の薬剤師としての信頼は置いといて、この手紙をよこした犯人ですよ。誰なんですか、今すぐぶん殴りたいです」
「まてまて……手紙を渡せと指示したやつがいるかもしれない。そもそもこの手紙をここまで届けに来た侍女はどうなんだ?共犯者かもしれないぞ」
「なら今すぐ先程の侍女を探して確かめますか?」
椅子から立ち上がって確認しに行こうとすると、隣の部屋へと続く扉が勢いよく開いた。
「そうだと思ってさっきの侍女を捕まえてきたわよ~!」
メイヤーが満面の笑みで靴音を鳴らしながらこちらへとやってくる。
隣の部屋を覗くと先程の侍女が申し訳なさそうに椅子に座っていた。
メイヤーの察知能力の良さに感嘆する。
「ノアちゃん達がダラダラとお話ししてるからむず痒くてっ」
体をくねくねしながら話すこの人は男である。
ノアには見慣れた光景だがシャル王子は見たことのない生き物を見るかのような目をしている。
「男……だよな?」
「あらやだ。それ聞いちゃう?それとも2人っきりで確認する?王子様とだったら大歓迎よ、あとノアちゃんも」
全力で遠慮する。
シャル王子も「男というのは十分わかった…」といい、椅子から立ち上がった。
「侍女をつれて来てくれたことに感謝する……とりあえず話し合おう」
隣の部屋に行くと侍女がパッと顔をあげ、立ち上がる。
白と黒のメイド服の侍女がお辞儀をし、挨拶をした。
「ノーチェ・ウォールナットと申します」
ノーチェはお辞儀から顔を上げると凛とした表情でこちらを見た。
「事情はメイヤー様からお伺いしています。端的にいいますと、手紙を貰い受けた侍女の名前はアーリオ・パピルスという者です。受け取る際、薬剤師のノア・カリフローレという子に渡して頂戴と言われお届けしに参りました」
アーリオ・パピルスというと、クレア・パピルス卿の娘だ。男爵位というのもあり、有力領主達の上をいく、豪族だ。
今一番騒ぎなど起こしたらダメなお貴族様なのではないか?
「クレア卿の娘か。下手な真似をするなとクレア卿には言われていると思うが……」
「アーリオ令嬢に話を聞かないとわからないのではないですか?」
「いや………もしかすると………」
何かを呟いたあとシャル王子は思い至ったように顔を上げた。
「すまない。思い当たる節がある………」
顔を上げたかと思うと露骨に目線を逸らしてきた。
嫌な予感がした。まさかこいつが元凶で変な噂が広がったとかないよな…?
「とりあえず冷静に聞いてくれ」
「はい。聞きますよ」
至って冷静かつ笑顔を崩さずに。
「今朝方面会日時が書かれた手紙をアーリオ令嬢から預かったんだが、返事をすぐ書くと言って部屋で待たせていたんだ」
なんだって?なぜ最初にそれを言わないのだろうかこのクソ王子は。
「返事を書くのならお前のサンセプト王国への招待状も書いてしまおうと思い、俺の侍女に便箋を2つ用意するよう言ったんだ」
「はい、それで?」
「侍女から便箋を受け取るときに、『婚約者がいるのにも関わらず他の女性に目移りなど決してあってはならないことですからね』と小言を言われてな」
シャル王子は焦っているのを誤魔化すかのように至って真面目な表情で言う。
ノアはというと、殴りたいのを必死にこらえ、冷静に聞いている。
「それを小耳に挟んだシャイン姫に忠実なアーリオ令嬢がお前に文を渡したと言う可能性がある」
真面目な顔つきで言い切った。
「なーーるほどーー???」
会話の一連を聞いていたメイヤーはこんな状況で肩を震わせて窓の外の方を見ている。
ノーチェはというと、無表情で座っている。
「シャル王子」
「はい」
王子ともあろう人が敬語である。
ノアは精一杯の敬意を払いこう言った。
「今日はお引き取りくださいシャル王子」
薬剤師がこんなことに時間を割くのが馬鹿馬鹿しくなった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
転生してテイマーになった僕の異世界冒険譚
ノデミチ
ファンタジー
田中六朗、18歳。
原因不明の発熱が続き、ほぼ寝たきりの生活。結果死亡。
気が付けば異世界。10歳の少年に!
女神が現れ話を聞くと、六朗は本来、この異世界ルーセリアに生まれるはずが、間違えて地球に生まれてしまったとの事。莫大な魔力を持ったが為に、地球では使う事が出来ず魔力過多で燃え尽きてしまったらしい。
お詫びの転生ということで、病気にならないチートな身体と莫大な魔力を授かり、「この世界では思う存分人生を楽しんでください」と。
寝たきりだった六朗は、ライトノベルやゲームが大好き。今、自分がその世界にいる!
勇者? 王様? 何になる? ライトノベルで好きだった「魔物使い=モンスターテイマー」をやってみよう!
六朗=ロックと名乗り、チートな身体と莫大な魔力で異世界を自由に生きる!
カクヨムでも公開しました。


【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

食うために軍人になりました。
KBT
ファンタジー
ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。
しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。
このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。
そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。
父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。
それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。
両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。
軍と言っても、のどかな田舎の軍。
リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。
おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。
その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。
生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。
剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる