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第三章 誰が為の未来
第二十幕 未来
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アルフレッドはそのまま退出の許可を願うと足早にリナと謁見の間を後にする。
控えの客間の様な所入るとアルフレッドはリナを力強く抱きしめた。
リナは驚いて何も行動が取れなかった。
「馬鹿!みんなの前でこんな…リナだけが頑張る必要なかったのに!」
アルフレッドは苦しそうに言葉を吐いた。
リナは優しくアルフレッドを抱きしめ返す。
「そんなに悲しむ必要なんかない。私達は常に身体を見られているし、あそこで恥ずかしがっていたら変になる。私は一切恥ずかしいとか思わなかったし寧ろ見ろっと思ってドレスを切ったよ。」
首の傷を見てアルフレッドが再び顔を歪めた。
テーブルに置いてある水差しに自身のマントを濡らしてリナの傷口に押し当てる。
「リナは止めて欲しくないだろうから必死に我慢したが、本当は凄く止めたかったんだからな。」
アルフレッドは少し怒る様にリナに言い聞かせた。
扉を背にしていたが侍女を連れたラライが扉を静かにノックした。
「アルフレッド様、新しい着替えと治療の為の医者をお連れしました。」
アルフレッドは不機嫌な顔で扉の取っ手に手を掛けると静かに扉を開いた。
ラライの後にルイとユーリも続いていた。
ルイは泣きそうな顔をしているしユーリは苦笑いしている。
リナが観察すると二人とも複雑な気持ちの様だった。
思わず苦笑いを浮かべてリナは謝った。
「2人とも心配かけてごめんね。」
「本当…何個心臓があっても足りないですよ!」
ルイの発する声は震えていた。
ユーリは苦笑いをしながら言葉を吐き出す。
「リナがあのまま死んだりしたら私は一生後悔してただろうな。その前に暴れちゃってたかも。」
「先生!物騒な事言わないでください!そんな事言って大丈夫って思ってたから1人で行かせてくれたんでしょ?」
医者に促されてリナはソファに腰掛けた。
アルフレッドが向かいの席に座り心配そうにリナを見守る。
診察が終わると安静にする様に一言言って医者は部屋を後にした。
マントに包まれたままのリナを侍女達に奥の部屋へと連れて行かれる。
「予想以上に凄い方ですね…。」
ラライは硬い顔でユーリに話しかける。
「でもこれで良い方に進んだんじゃないですか?」
「確かに、ここに居る誰にも出来ない事を成し得たな…。」
アルフレッドは預けられていた和平への条約書を手にしてソファに身体を沈めた。
一瞬目を瞑ると、先程の光景が瞼の裏に焼き付いている。
裸体を晒しても一切の躊躇いがなく、誰も彼も目が離せず、あの父上すら言葉を失っていた。
絵画の様でその場が現実ではない様な気さえした。
着替えたリナが出てくるとアルフレッドの反対のソファに座る。
「ドレスは動きにくいので、騎士服を用意してくださって助かりました。」
リナはラライにそのままお礼を言った。
ラライは軽く腰を折って返した。
「さて、これからリナは自国に戻るだろうが…今度は私が一緒に行こうかな。そして、そのまま婚姻の準備をして一緒に戻ってこよう。」
「ぇえ?普通王族の婚姻って何か色々準備があってそんなにすぐ準備とか出来るんですか?」
ルイは思わずといった様にアルフレッドに質問する。
「普通はそうだが、この婚姻は長引けは長引くだけ面倒な事が起きる気がする。なので早める。リナもそれでいいか?」
「そうだね。早い方が良いと私も思う。じゃぁ一緒に行って挨拶して戻ってこよう。」
ラライは言葉を聞いて頭を抱えた。
そこからは誰もが信じられない早さで物事が進む事になった。
リナとアルフレッドが一緒になると周りはついていくのがやっとだという事がその時分かった。
控えの客間の様な所入るとアルフレッドはリナを力強く抱きしめた。
リナは驚いて何も行動が取れなかった。
「馬鹿!みんなの前でこんな…リナだけが頑張る必要なかったのに!」
アルフレッドは苦しそうに言葉を吐いた。
リナは優しくアルフレッドを抱きしめ返す。
「そんなに悲しむ必要なんかない。私達は常に身体を見られているし、あそこで恥ずかしがっていたら変になる。私は一切恥ずかしいとか思わなかったし寧ろ見ろっと思ってドレスを切ったよ。」
首の傷を見てアルフレッドが再び顔を歪めた。
テーブルに置いてある水差しに自身のマントを濡らしてリナの傷口に押し当てる。
「リナは止めて欲しくないだろうから必死に我慢したが、本当は凄く止めたかったんだからな。」
アルフレッドは少し怒る様にリナに言い聞かせた。
扉を背にしていたが侍女を連れたラライが扉を静かにノックした。
「アルフレッド様、新しい着替えと治療の為の医者をお連れしました。」
アルフレッドは不機嫌な顔で扉の取っ手に手を掛けると静かに扉を開いた。
ラライの後にルイとユーリも続いていた。
ルイは泣きそうな顔をしているしユーリは苦笑いしている。
リナが観察すると二人とも複雑な気持ちの様だった。
思わず苦笑いを浮かべてリナは謝った。
「2人とも心配かけてごめんね。」
「本当…何個心臓があっても足りないですよ!」
ルイの発する声は震えていた。
ユーリは苦笑いをしながら言葉を吐き出す。
「リナがあのまま死んだりしたら私は一生後悔してただろうな。その前に暴れちゃってたかも。」
「先生!物騒な事言わないでください!そんな事言って大丈夫って思ってたから1人で行かせてくれたんでしょ?」
医者に促されてリナはソファに腰掛けた。
アルフレッドが向かいの席に座り心配そうにリナを見守る。
診察が終わると安静にする様に一言言って医者は部屋を後にした。
マントに包まれたままのリナを侍女達に奥の部屋へと連れて行かれる。
「予想以上に凄い方ですね…。」
ラライは硬い顔でユーリに話しかける。
「でもこれで良い方に進んだんじゃないですか?」
「確かに、ここに居る誰にも出来ない事を成し得たな…。」
アルフレッドは預けられていた和平への条約書を手にしてソファに身体を沈めた。
一瞬目を瞑ると、先程の光景が瞼の裏に焼き付いている。
裸体を晒しても一切の躊躇いがなく、誰も彼も目が離せず、あの父上すら言葉を失っていた。
絵画の様でその場が現実ではない様な気さえした。
着替えたリナが出てくるとアルフレッドの反対のソファに座る。
「ドレスは動きにくいので、騎士服を用意してくださって助かりました。」
リナはラライにそのままお礼を言った。
ラライは軽く腰を折って返した。
「さて、これからリナは自国に戻るだろうが…今度は私が一緒に行こうかな。そして、そのまま婚姻の準備をして一緒に戻ってこよう。」
「ぇえ?普通王族の婚姻って何か色々準備があってそんなにすぐ準備とか出来るんですか?」
ルイは思わずといった様にアルフレッドに質問する。
「普通はそうだが、この婚姻は長引けは長引くだけ面倒な事が起きる気がする。なので早める。リナもそれでいいか?」
「そうだね。早い方が良いと私も思う。じゃぁ一緒に行って挨拶して戻ってこよう。」
ラライは言葉を聞いて頭を抱えた。
そこからは誰もが信じられない早さで物事が進む事になった。
リナとアルフレッドが一緒になると周りはついていくのがやっとだという事がその時分かった。
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読ませていただきました
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感想ありがとうございます😊
とっっても嬉しいです!!
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