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暗闇と攻防と
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無事(?)お茶を飲み終えたアリスティアが寝台のアレクセイの元へと近づく。
アリスティアに構って欲しいアレクセイとしては、放置プレイはお気に召さなかったらしい。衣擦れの音が近づいてきているのが、敏感になった聴力で確認できてもなお、不安げに呟いた。
「アリスティア…返事をしてくれ…」
「ここにいますわ」
そう耳元でふいに囁かれ、耳や肌をくすぐる吐息にアレクセイは腰が砕けそうになった。
そんな彼の人工物の様な、そして氷のような冷たさを宿す美貌をアリスティアは改めて眺める。目元を隠されてもなお整った鼻梁、唇、輪郭が圧倒的な造形の美しさを際立たせている。
「アリスティア…」
溢れるように囁かれた吐息混じりの声に、返事をする代わりにアリスティアは、人差し指ではだけた上半身をなぞると、アレクセイはビクリと身体を微かに跳ねさせた。
「何ですか?旦那様」
「…ちゃんと触って欲しい」
「せっかちですね」
アレクセイの細面の輪郭を指でなぞり、首筋まで滑らせていくと、次第に彼の呼吸は乱れていった。
視界が閉ざされた事により、それ以外の五感が研ぎ澄まされ敏感になっているようで、嫌がるどころかもどかしい快感に酔いしれているように見受ける。
そして次の瞬間。暗闇の何も見えない中、アレクセイの首筋に柔らかで、ほんのり温かい物が押し当てられた。更にその間から熱いヌルリとした物が首筋を伝う。
「アリスティアっ、何をしいてる……もしかして…、クソッ目が見えないから確認できないっ」
首や胸など、無作為で身体の至る箇所にちゅ、ちゅ、と可愛らしく細やかな音が立てられる。アリスティアに口付けられている可能性が高いと判断したアレクセイは、想像しながら快楽に浸りそうになる。だが身体に口付けられているのを、目で確認して認識したいという思いと、もどかしさに邪魔をされていた。
そんなアレクセイの頭の中など知る由も無いアリスティアは、口付けながら彼の身体に指を這わして、身体の敏感な部分を探ったりしながら悪戯っぽく微笑む。
「ふふ、なんでしょうね?」
次第に嬉しさとくすぐったい快感を受け入れつつあったその時、胸の突起を爪で軽く引っ掻かかれたアレクセイは、身体を反るようにして反応して声を上げた。
「いッ…、あぁ、アリスティア、もう焦らさないでくれ…下着から取り出して手でも足でもいいから触って欲しいっ…」
要求されると、アリスティアは寛げたトラウザーズの奥の下着に視線を注ぐ。
「わたくしが取り出すのですか?」
「…この状態の私では手が使えないのだから当然だろう、お願いします」
アリスティアは華奢な手を恐る恐る伸ばし、既に昂ぶった熱杭を取り出すと軽く握った。ゆるゆるとゆっくり上下に動かしていくにつれ、呼吸が荒くなっていく様子を見て、次第に握り込む力も速度も強めていく。
しばらくの間、ひたすら懸命に奉仕を続けていると、アレクセイが熱のこもった吐息と共に身悶えながら零した。
「アリスティア…あぁ…もう…」
「あら、もう限界ですか…?」
そう問われた途端、アレクセイは唐突に執事のモーリスから言われた、ある言葉を思い出した。
『閨事が行われるにしては、旦那様が寝室を訪れてから出ていかれるまでが早過ぎる、との報告もされています』
その言葉のせいではなく三十路の執事、モーリスの顔が浮かんだ事により、射精手前だった屹立は少し萎えてしまった。
アレクセイは確かに今迄の人生で女性を避けていたが、決して男色ではない。
愛する妻との幸せな戯れの時間にモーリスの顔が浮かぶなど、萎えて当然だった。
(モーリスのお陰で時間を稼げたとは……しかし……)
アリスティアとの時間をより長く楽しむためとはいえ、その度にモーリスの顔を思い浮かべるなど気分が良い訳がない。早急に別の方法を考え出さなくてはいけない。
せっかくのアリスティアとの甘い幸せな時間なのだから。
しかしそんな事態にアリスティアの方も戸惑っていた。
「あ、あら…?」
男性への奉仕はアレクセイが初めてのアリスティアは、想定外の事態に困惑した。
そんな手が止まってしまった妻に向けてアレクセイは懇願する。
「はぁ…っ…はぁっ…続けてくれ…」
「……」
「…どうした?」
「分かりましたわ」
一拍間があったが、了承したアリスティアは目の前の、自分が紐で縛り上げた夫の耳元に唇を寄せ囁いた。
「アレクセイ様…」
そう小さく呟かれた瞬間、握った屹立の先端から勢いよく白濁の体液が発射される事となった。
突如始まった二人の攻めと耐久の謎の戦いは、アリスティアの勝利に終わった。
アリスティアに構って欲しいアレクセイとしては、放置プレイはお気に召さなかったらしい。衣擦れの音が近づいてきているのが、敏感になった聴力で確認できてもなお、不安げに呟いた。
「アリスティア…返事をしてくれ…」
「ここにいますわ」
そう耳元でふいに囁かれ、耳や肌をくすぐる吐息にアレクセイは腰が砕けそうになった。
そんな彼の人工物の様な、そして氷のような冷たさを宿す美貌をアリスティアは改めて眺める。目元を隠されてもなお整った鼻梁、唇、輪郭が圧倒的な造形の美しさを際立たせている。
「アリスティア…」
溢れるように囁かれた吐息混じりの声に、返事をする代わりにアリスティアは、人差し指ではだけた上半身をなぞると、アレクセイはビクリと身体を微かに跳ねさせた。
「何ですか?旦那様」
「…ちゃんと触って欲しい」
「せっかちですね」
アレクセイの細面の輪郭を指でなぞり、首筋まで滑らせていくと、次第に彼の呼吸は乱れていった。
視界が閉ざされた事により、それ以外の五感が研ぎ澄まされ敏感になっているようで、嫌がるどころかもどかしい快感に酔いしれているように見受ける。
そして次の瞬間。暗闇の何も見えない中、アレクセイの首筋に柔らかで、ほんのり温かい物が押し当てられた。更にその間から熱いヌルリとした物が首筋を伝う。
「アリスティアっ、何をしいてる……もしかして…、クソッ目が見えないから確認できないっ」
首や胸など、無作為で身体の至る箇所にちゅ、ちゅ、と可愛らしく細やかな音が立てられる。アリスティアに口付けられている可能性が高いと判断したアレクセイは、想像しながら快楽に浸りそうになる。だが身体に口付けられているのを、目で確認して認識したいという思いと、もどかしさに邪魔をされていた。
そんなアレクセイの頭の中など知る由も無いアリスティアは、口付けながら彼の身体に指を這わして、身体の敏感な部分を探ったりしながら悪戯っぽく微笑む。
「ふふ、なんでしょうね?」
次第に嬉しさとくすぐったい快感を受け入れつつあったその時、胸の突起を爪で軽く引っ掻かかれたアレクセイは、身体を反るようにして反応して声を上げた。
「いッ…、あぁ、アリスティア、もう焦らさないでくれ…下着から取り出して手でも足でもいいから触って欲しいっ…」
要求されると、アリスティアは寛げたトラウザーズの奥の下着に視線を注ぐ。
「わたくしが取り出すのですか?」
「…この状態の私では手が使えないのだから当然だろう、お願いします」
アリスティアは華奢な手を恐る恐る伸ばし、既に昂ぶった熱杭を取り出すと軽く握った。ゆるゆるとゆっくり上下に動かしていくにつれ、呼吸が荒くなっていく様子を見て、次第に握り込む力も速度も強めていく。
しばらくの間、ひたすら懸命に奉仕を続けていると、アレクセイが熱のこもった吐息と共に身悶えながら零した。
「アリスティア…あぁ…もう…」
「あら、もう限界ですか…?」
そう問われた途端、アレクセイは唐突に執事のモーリスから言われた、ある言葉を思い出した。
『閨事が行われるにしては、旦那様が寝室を訪れてから出ていかれるまでが早過ぎる、との報告もされています』
その言葉のせいではなく三十路の執事、モーリスの顔が浮かんだ事により、射精手前だった屹立は少し萎えてしまった。
アレクセイは確かに今迄の人生で女性を避けていたが、決して男色ではない。
愛する妻との幸せな戯れの時間にモーリスの顔が浮かぶなど、萎えて当然だった。
(モーリスのお陰で時間を稼げたとは……しかし……)
アリスティアとの時間をより長く楽しむためとはいえ、その度にモーリスの顔を思い浮かべるなど気分が良い訳がない。早急に別の方法を考え出さなくてはいけない。
せっかくのアリスティアとの甘い幸せな時間なのだから。
しかしそんな事態にアリスティアの方も戸惑っていた。
「あ、あら…?」
男性への奉仕はアレクセイが初めてのアリスティアは、想定外の事態に困惑した。
そんな手が止まってしまった妻に向けてアレクセイは懇願する。
「はぁ…っ…はぁっ…続けてくれ…」
「……」
「…どうした?」
「分かりましたわ」
一拍間があったが、了承したアリスティアは目の前の、自分が紐で縛り上げた夫の耳元に唇を寄せ囁いた。
「アレクセイ様…」
そう小さく呟かれた瞬間、握った屹立の先端から勢いよく白濁の体液が発射される事となった。
突如始まった二人の攻めと耐久の謎の戦いは、アリスティアの勝利に終わった。
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