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【番外編】緻密な暴露
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しおりを挟む「……その、ここ数日昼食を召し上がっていないと聞きしましたので、お身体にも悪いですし、区切りがよろしいところでご一緒にいかがかと思いまして…」
恐れ慄きながらおずおずと進言すると、笑みを深めた父上が鷹揚に頷く。
「そういえばそうだったかな…。お前と昼食を共にするのも久方ぶりだ。今から用意すると遅くなるだろうし、ここで簡単に食べれる物を、」
「ーーそう仰るかと思いまして、もう部屋の外に従者を待機させております。許可が頂ければすぐにでも」
言質は取れたとばかりに父上の言葉に被せると、一瞬不意をつかれた表情をしてから興味深そうにくすりと笑った。
「そうかそうか…もう親離れしたかと思ったが…この父との昼食がそんなに楽しみだとは」
「っ、誤解されるような発言はおやめください‼︎」
「ははは、照れるな照れるな」
「照れていません‼︎」
わざと揶揄うような言葉に思わず声を荒げてしまう。何もかも分かったような顔で見てくる父上が腹立たしい。
「で、では、陛下…我々は席を外しますので…」
父上と戯れあっていると、この気を逃すものかと側近の方々が退出しようとするので、慌てて止めた。
「あ、あの、準備がある方はよろしいのですが、本日は食堂をまだ開けてあります」
「「「え?」」」
「皆様もまだ召し上がっていないとも聞きましたので、食堂の時間を延長してもらいました。他の者が使用しないよう衛兵は立っていますが、お声がけいただければ中に案内するよう話を通してあります。皆様のお顔を知らない者もいますので、お手数ですが念のため身分証をご提示いただければ…」
「「「………」」」
「?」
窶れて痩けた顔の側近の方々が俺を凝視したまま動かなくなった。何ともいえないその形相に思わず言葉を継げなくなり、首を傾げると、突然崩れ落ちるように跪いた。
ーー全員が。
「⁉︎」
「て、天使…」
「女神だ!」
「神が…神がここにいる…!我々はまだ見捨てられていなかった……!」
とんでもない奇跡を目の当たりにしたかのように拝まれ、思わず後ずさった。
するといつの間に傍まで来ていたのか、父上がそんな俺の肩をぐいと引き寄せ、何故か自慢げな顔で深く頷き。
「テオンが女神や天使の如く慈悲深いのは当然の事実だ」
当たり前だとでもいうように、言い放った。
「はい‼︎ありがとうございます‼︎ありがとうございます‼︎」
「あぁ………これが後光が指している光景というものか…」
「流行病から復調したときよりも神に……いや、テオン殿下に感謝している…」
「救世主…‼︎」
絶句する俺を他所に、父上と跪いたままの側近の方々は何かの宗教のような光景を繰り広げる。
「陛下、」
「ん?どうした」
「……皆さん、昼食の前に診察を受けた方がいいのでは…?」
「私の側近だ、そこまでやわではない。気にするな。私たちも昼食にしよう」
父上はそう言うと跪いたままの側近の方々を執務室から追い出し、俺とゆっくり昼食を取りたいと理由づけをして休憩を取ってくるように伝えていた。
その様子にほっと胸を撫で下ろす。よかった。とりあえず、今日できることはここまでだろう。昼食後にでも、父上を含め休暇を取ってはどうか進言しよう。2、3日ぐらいなら休んでもどうにかなるだろう。
どうしてこんな状況になったのかも、父上からお聞きしなければ。
「テオン」
待機を命じていた従者に、食事を並べ、片付けるときにまた呼ぶ、と執務室から下がるように言って扉が閉まると、父上に手を取られた。
されるがまま、執務室の左側に設置されている応接用の長椅子まで腕を引かれて対面に同じ椅子があるのに、座った父上の膝の上に横向きに乗せられた。
「へ、陛下!」
「もう2人きりだ。いつものように名前で呼んでほしい」
「そ、それは…まだ誰が来るか分かりませんし…」
「私の執務室に許可もなしに勝手に入ることは許されていない。安心しなさい」
「で、ですが……っ、んぅ」
反論を封じるように唇を塞がれた。
抵抗すらもあっさりと制されて口内を蹂躙されれば、もう行為に慣れきってしまった身体は熱に浮かされ始めるしかなくて。
「んぁ……ふ…」
「……ん」
ぼんやりとしてくる意識の中、ようやく解放された唇から思わずぽろりと溢れてしまった。
「…ておどぉる…さまぁ……」
ーーばさり、と紙束のようなものが落ちた音がした。
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