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29、オスカーは親友。
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馬車の近くまで行っても、わたしはそこに馬車があることに気づけなかった。
エドガーが声をかけると今まで土砂崩れが起きたように見えていた場所に忽然と馬車が現れた。ルイ・ティリエの魔法はすごい。この魔法は彼一人しか使えないそうだ。
待っていた馬車は一般のものより大きかったが学生4人とデン、エドガー、ルイ様、騎士団員2人の9人にもなるとさすがに狭く感じた。
騎士団員の2人が馭者席に移り、7人で話しながらアゴンの砦を目指した。
「アゴンの砦まで3時間はかかる。学生達は仮眠を取っておいた方がいい。向こうに着いたら事情聴取が待っている。」
「エドガー、彼女達は被害者だ。すぐに事情聴取は酷いだろう。」
「そうも言ってられない。これは戦争なんだ。」
「事情聴取は仕方がないけど、何か服を用意してもらえないかな?」とわたしは言った。
「そう言えばその服はどうしたんだ。」
「わたしの服がぼろぼろにされちゃったからオスカーに借りたの。」
「服がぼろぼろって。」
ルイ様が痛ましいものを見る様な目でわたしを見た。
「あっ、貞操は無事だったから心配しないで。ただ服がナイフで切り裂かれちゃって下着まで切られたからスースーする。」
「オスカーの服を着ているという事はあいつはそこにいたんだな。」
「うん、手足を縛られて逃げられなかったもの。」
「見たのか?見たんだな。俺の婚約者のハダカを。」
「まだ婚約していないと聞いている。」
「イザベル、君は大丈夫だったのか?」とルイ様が聞いた。
「私はちょっと脱がされかけたくらいだから平気よ。」
「ハイデル王国はこの世から消え去った方がいいな。」
「奇遇だな、俺も丁度同じ事を考えていた。」とエドガーが言った。
ルイ様に通信の魔法で連絡してもらい服を用意してもらった。
「 ユインティーナはオスカーに裸を見られて平気だったの?」
イザベルが心配するように言った。
「緊急事態だし仕方ないよ。それにオスカーは親友だから少しも気にならない。」
「さすがに気にしなさ過ぎではないか?」とエドガーが言った。
「んー、オスカーは女友達と同じくらいに信用できるの。」
「もしかしてコーサイス侯爵家の秘密の魔法を使ったりしなかったか?」
「えっ、お母様から聞いてしまったの?」
「詳細は聞いていない。ただその魔法の事を知ってしまうとコーサイス侯爵家の人間から異性と認識されなくなるそうだ。」
「オスカーは元々親友だし前からこうだよね?」
「いや、もう少し男性として見られていたと思う。」
オスカーが呆然としたように言った。
「でも親友だし何の問題もないよね。エドガーは絶対に魔法のことを知ろうとしたらダメだからね。」
「ああ、死んでも知りたくない。俺は愛されているな。」
エドガーは嬉しそうに言ってわたしの額にキスをした。
エドガーが声をかけると今まで土砂崩れが起きたように見えていた場所に忽然と馬車が現れた。ルイ・ティリエの魔法はすごい。この魔法は彼一人しか使えないそうだ。
待っていた馬車は一般のものより大きかったが学生4人とデン、エドガー、ルイ様、騎士団員2人の9人にもなるとさすがに狭く感じた。
騎士団員の2人が馭者席に移り、7人で話しながらアゴンの砦を目指した。
「アゴンの砦まで3時間はかかる。学生達は仮眠を取っておいた方がいい。向こうに着いたら事情聴取が待っている。」
「エドガー、彼女達は被害者だ。すぐに事情聴取は酷いだろう。」
「そうも言ってられない。これは戦争なんだ。」
「事情聴取は仕方がないけど、何か服を用意してもらえないかな?」とわたしは言った。
「そう言えばその服はどうしたんだ。」
「わたしの服がぼろぼろにされちゃったからオスカーに借りたの。」
「服がぼろぼろって。」
ルイ様が痛ましいものを見る様な目でわたしを見た。
「あっ、貞操は無事だったから心配しないで。ただ服がナイフで切り裂かれちゃって下着まで切られたからスースーする。」
「オスカーの服を着ているという事はあいつはそこにいたんだな。」
「うん、手足を縛られて逃げられなかったもの。」
「見たのか?見たんだな。俺の婚約者のハダカを。」
「まだ婚約していないと聞いている。」
「イザベル、君は大丈夫だったのか?」とルイ様が聞いた。
「私はちょっと脱がされかけたくらいだから平気よ。」
「ハイデル王国はこの世から消え去った方がいいな。」
「奇遇だな、俺も丁度同じ事を考えていた。」とエドガーが言った。
ルイ様に通信の魔法で連絡してもらい服を用意してもらった。
「 ユインティーナはオスカーに裸を見られて平気だったの?」
イザベルが心配するように言った。
「緊急事態だし仕方ないよ。それにオスカーは親友だから少しも気にならない。」
「さすがに気にしなさ過ぎではないか?」とエドガーが言った。
「んー、オスカーは女友達と同じくらいに信用できるの。」
「もしかしてコーサイス侯爵家の秘密の魔法を使ったりしなかったか?」
「えっ、お母様から聞いてしまったの?」
「詳細は聞いていない。ただその魔法の事を知ってしまうとコーサイス侯爵家の人間から異性と認識されなくなるそうだ。」
「オスカーは元々親友だし前からこうだよね?」
「いや、もう少し男性として見られていたと思う。」
オスカーが呆然としたように言った。
「でも親友だし何の問題もないよね。エドガーは絶対に魔法のことを知ろうとしたらダメだからね。」
「ああ、死んでも知りたくない。俺は愛されているな。」
エドガーは嬉しそうに言ってわたしの額にキスをした。
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