108 / 111
私がいたいのは
10-18 氷と炎
しおりを挟む
勢い良く拳を振り抜いた凛々奈はやっとの思いでネージュに届いた自らの攻撃に満足そうに顔を緩ませる。その姿勢のまま殴り飛ばしたたネージュを見る。フレイムレイヴの豪炎と強化された膂力から繰り出された拳を顔面に受けたネージュは回転しながら中を舞った。しかしその無造作な回転は途中から華麗に宙を舞う様な動きに変わっていく。そしてネージュは片足から音もなく着地する。純白のワンピースがふわりと揺れ乱れた髪が顔にかかる、その白い髪から覗く瞳は今迄と変わらない余裕に満ちた凛々奈を見下す瞳。
「アハッ ちょっとムカついちゃった」
ネージュは片手で顔にかかった髪をはらうと。右手に持っていた砕けた剣から手を離したそれは地面にあたり更に細かく砕けて光の粒になって消える。
「言ってなさいよクソガキ、そのニヤケ面 二度と出来ねぇようにしてやるから」
ダメージを受けているようにみえないネージュにほんの少しだけ凛々奈は動揺したが、すぐに両手の拳を握り直して構える。その拳からは紅蓮の炎が揺らめく。
(いける・・・ この炎なら・・・・!)
ネージュの氷を溶かし貫けるフレイムレイヴの力に凛々奈は勝機を見る。そしてこれからネージュがどうこの炎に対応してくるか、それをどう打ち砕き止めをさすかに全てをかける覚悟をする。
「あれれ~? 何その顔? もしかしてこれなら勝てるー! なんて思っちゃてる感じ~?」
ネージュは片手を口に当てクスクスと小馬鹿にするように笑いだす。
「あん?」
いい加減コイツの顔にも苛ついて来たと凛々奈はネージュをギロリと睨む。
「そうね~ 別にそんな雑魚い火なんてどうだって殺りようはあるんだけど・・・」
口に当てていた手を人差し指だけ立て何か考えるポーズをとったネージュは目を大きく見開いた。
「アハッ! いいわ!! こうしましょう!!」
無邪気に楽しそうに笑うネージュは右手を上へと持ち上げる。大きく開いた掌に白い靄の冷気が集まっていく。そしてそれは透き通る結晶の刃を創り出した。
「フフフ・・・・ さっきと同じ、なんならもう形は変えないわ アンタなんかに別の手を出すまでもない、これだけで殺してあげる」
ブンッと空を切る音と共に頭上から右手に持つ刃を勢い良く振り下ろす。
「馬鹿にしてんのか?」
明らかに自分を舐めているその行動に若干キレている凛々奈が顔に血管を浮かべ言う。
「アハハハハハハ! 馬鹿にしてんだよ出来損ない!」
ネージュは心底楽しそうに、高らかに笑った。
「ならさっきと同じようにそのオモチャごとぶん殴ってやるよ、次はその顔面ぐちゃぐちゃになるまでなァ!!!」
二人は同時に駆け出した。
凛々奈は笑うネージュを睨みつけ駆ける、橙に煌めく髪と両手を振りながら。ネージュはそれを瞳だけを動かしてみた。
二人の距離が縮まっていく、最初に動いたのはネージュの右手、透き通る氷の刃が射程に入った凛々奈に凄まじい速さで切りかった。
「オラァ!!」
凛々奈は声を荒げながら襲いかかる刃の腹を炎の拳で殴りつけた。炎の熱と凛々奈の力によりピシリ、と音を立てて刃にヒビが入る。凛々奈は歯を食いしばると更に拳に力を込めた。そして氷の刃は勢い良く砕け散る。
(よしッ!!)
再びネージュの刃を砕く事に安心し成功しこのまま攻撃に移ろうとした凛々奈の耳に声が掛かる。
「ざーんねん♪」
そんな軽い声が聞こえると同時に凛々奈は胸元の違和感に気付く。目だけを動かして下を見ると、自分の胸元を貫く青白い細い腕が見えた。
「あぐぁッ」
遅れてやってきた痛みに凛々奈は咄嗟に体を引き距離をとる。突き刺されていたネージュの腕が抜け血が吹き出した。
「クソッタレ・・・!」
咄嗟に右手で傷を押さえる、同時に手に宿る炎で傷を焼き出血を防ぐ。
「~~~ツッ!!!!!」
激痛に顔が歪み汗が吹き出す。
「あのね~ アンタが私の氷を砕くのに0.25秒は掛かってるわよ? 私の目の前でその時間隙を見せるなんて殺してくださいって言ってるようなものよ??」
ネージュは凛々奈を貫いた左手の血を楽しそうに見て言う。
(クソッ!)
フレイムレイヴによって見えた勝機に油断していたのもあり、まともに攻撃を喰らってしまった凛々奈。積み重なっていくダメージに体も限界を迎えようとしていた。
「アハハハッ! さっきまでの威勢はどうしたのかしら?」
ネージュは左手を顔の前に持ってくるとべっとりと付いていた凛々奈の血は彼女の操る冷気で固まっていく、そしてその手を振り払うと紅い結晶となって砕け散った。
「さて、そろそろ終わりにしましょうか」
楽しそうに大きく口を歪ませたネージュがゆっくりと凛々奈に向けて歩きだす。息も絶え絶えの凛々奈は1度距離をとろうと足に力をこめた。しかし足首から先が動かない。驚いて足を見る、凛々奈の足は靴の上から分厚い氷に覆われ地面ごと凍りついている。
「っ!? いつの間に!!」
驚く凛々奈の前まで迫ったネージュは右手を凛々奈に向けて開いた。
「それじゃ、おやすみなさい出来損ない 氷漬けのアンタの死体をあの子の見てる前でぶち砕いてあげるわ」
ネージュの右手から青白い光が放たれる、それは冷気になり凛々奈の体を包み込んだ。凛々奈の足元の氷が少しずつ大きくなり彼女の体を覆い尽くすように肥大していった。
「アハッ ちょっとムカついちゃった」
ネージュは片手で顔にかかった髪をはらうと。右手に持っていた砕けた剣から手を離したそれは地面にあたり更に細かく砕けて光の粒になって消える。
「言ってなさいよクソガキ、そのニヤケ面 二度と出来ねぇようにしてやるから」
ダメージを受けているようにみえないネージュにほんの少しだけ凛々奈は動揺したが、すぐに両手の拳を握り直して構える。その拳からは紅蓮の炎が揺らめく。
(いける・・・ この炎なら・・・・!)
ネージュの氷を溶かし貫けるフレイムレイヴの力に凛々奈は勝機を見る。そしてこれからネージュがどうこの炎に対応してくるか、それをどう打ち砕き止めをさすかに全てをかける覚悟をする。
「あれれ~? 何その顔? もしかしてこれなら勝てるー! なんて思っちゃてる感じ~?」
ネージュは片手を口に当てクスクスと小馬鹿にするように笑いだす。
「あん?」
いい加減コイツの顔にも苛ついて来たと凛々奈はネージュをギロリと睨む。
「そうね~ 別にそんな雑魚い火なんてどうだって殺りようはあるんだけど・・・」
口に当てていた手を人差し指だけ立て何か考えるポーズをとったネージュは目を大きく見開いた。
「アハッ! いいわ!! こうしましょう!!」
無邪気に楽しそうに笑うネージュは右手を上へと持ち上げる。大きく開いた掌に白い靄の冷気が集まっていく。そしてそれは透き通る結晶の刃を創り出した。
「フフフ・・・・ さっきと同じ、なんならもう形は変えないわ アンタなんかに別の手を出すまでもない、これだけで殺してあげる」
ブンッと空を切る音と共に頭上から右手に持つ刃を勢い良く振り下ろす。
「馬鹿にしてんのか?」
明らかに自分を舐めているその行動に若干キレている凛々奈が顔に血管を浮かべ言う。
「アハハハハハハ! 馬鹿にしてんだよ出来損ない!」
ネージュは心底楽しそうに、高らかに笑った。
「ならさっきと同じようにそのオモチャごとぶん殴ってやるよ、次はその顔面ぐちゃぐちゃになるまでなァ!!!」
二人は同時に駆け出した。
凛々奈は笑うネージュを睨みつけ駆ける、橙に煌めく髪と両手を振りながら。ネージュはそれを瞳だけを動かしてみた。
二人の距離が縮まっていく、最初に動いたのはネージュの右手、透き通る氷の刃が射程に入った凛々奈に凄まじい速さで切りかった。
「オラァ!!」
凛々奈は声を荒げながら襲いかかる刃の腹を炎の拳で殴りつけた。炎の熱と凛々奈の力によりピシリ、と音を立てて刃にヒビが入る。凛々奈は歯を食いしばると更に拳に力を込めた。そして氷の刃は勢い良く砕け散る。
(よしッ!!)
再びネージュの刃を砕く事に安心し成功しこのまま攻撃に移ろうとした凛々奈の耳に声が掛かる。
「ざーんねん♪」
そんな軽い声が聞こえると同時に凛々奈は胸元の違和感に気付く。目だけを動かして下を見ると、自分の胸元を貫く青白い細い腕が見えた。
「あぐぁッ」
遅れてやってきた痛みに凛々奈は咄嗟に体を引き距離をとる。突き刺されていたネージュの腕が抜け血が吹き出した。
「クソッタレ・・・!」
咄嗟に右手で傷を押さえる、同時に手に宿る炎で傷を焼き出血を防ぐ。
「~~~ツッ!!!!!」
激痛に顔が歪み汗が吹き出す。
「あのね~ アンタが私の氷を砕くのに0.25秒は掛かってるわよ? 私の目の前でその時間隙を見せるなんて殺してくださいって言ってるようなものよ??」
ネージュは凛々奈を貫いた左手の血を楽しそうに見て言う。
(クソッ!)
フレイムレイヴによって見えた勝機に油断していたのもあり、まともに攻撃を喰らってしまった凛々奈。積み重なっていくダメージに体も限界を迎えようとしていた。
「アハハハッ! さっきまでの威勢はどうしたのかしら?」
ネージュは左手を顔の前に持ってくるとべっとりと付いていた凛々奈の血は彼女の操る冷気で固まっていく、そしてその手を振り払うと紅い結晶となって砕け散った。
「さて、そろそろ終わりにしましょうか」
楽しそうに大きく口を歪ませたネージュがゆっくりと凛々奈に向けて歩きだす。息も絶え絶えの凛々奈は1度距離をとろうと足に力をこめた。しかし足首から先が動かない。驚いて足を見る、凛々奈の足は靴の上から分厚い氷に覆われ地面ごと凍りついている。
「っ!? いつの間に!!」
驚く凛々奈の前まで迫ったネージュは右手を凛々奈に向けて開いた。
「それじゃ、おやすみなさい出来損ない 氷漬けのアンタの死体をあの子の見てる前でぶち砕いてあげるわ」
ネージュの右手から青白い光が放たれる、それは冷気になり凛々奈の体を包み込んだ。凛々奈の足元の氷が少しずつ大きくなり彼女の体を覆い尽くすように肥大していった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル
ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。
しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。
甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。
2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。
とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる