75 / 113
おまけ短話
9.5 楽しい週末
しおりを挟む
シリアス展開続きだったので気分転換と作者のモチベーションの為に書いたおまけ小話です。本編には(あんまり)関係ありません!
──────────────────────
週末の昼下がり、事務所の中には朝から仕事で出かけている凛々奈以外の皆が居た。唯牙とハルはデスクで何か難しい話をしている。みいなとサクラは向かい合い中央のソファに腰掛けて紅茶とお菓子を味わっていた。暫くするとサクラは部屋に掛けてある時計に目をやってから立ち上がる。
「ハル・・・ 今日はもうオフでいいんだよね?」
「うん そうね、ただ夕方頃まで私はユイとちょっとやる事があるからここに居るわ 何処か行くの?」
ハルは振り返りサクラに答えた。
「うん・・・ フラム達に呼ばれてて・・・」
「あははっ 人気者ねサクラちゃん! 行ってらっしゃい、遅くなる前に皆帰らないと駄目よ」
「分かってる、行ってきます・・・」
サクラがそのまま出掛ける準備を始めると向かいに座っていたみいながソワソワと落ち着かない様子で横目で見ている事に気づいた。
「・・・みいな、どうしたの?」
「うぇ!? いえ! その、今日は凛々奈さんも居ないし唯牙さんとハルさんも忙しそうだから・・・ あの・・ その」
もじもじと照れ臭そうにしている。
「・・・・みいなも来る?」
察したサクラはみいなに手を伸ばした。
「い、良いんですか!?」
ぱあっとみいなの顔が明るくなった。
「良いよね? 唯牙」
「まあお前が居れば問題ないだろ 何かあったらすぐ連絡しろよ」
頬杖をついたまま唯牙は言った。
「じゃあ・・・ 行こうかみいな」
「えへへ! ハイ!!」
伸ばされた手を握って立ち上がると二人は眩しい日光が照らす気持ちの良さそうな外へと歩いていった。
◆
「遅いぞサクラ!!」
「こんにちは~」
「こんちゃ!」
待ち合わせをしていた公園へ到着すると3人の少女達が出迎えた。入口に来たサクラに駆け寄るとその後ろに小さな影が隠れて居るのに気付く。
「あれ!? みいなだ!!」
「ほんとだ~ 久しぶり~」
「あはは! この前ビルで会ったよね!」
3人はかわいい野良猫でも見つけたようにみいなを囲む。
「あ、あの急にごめんなさい・・・ その・・ 今日は・・・」
急に囲まれたみいながおどおどと縮こまる。
「私が一緒に遊ぼって連れてきたの・・・ 皆良いよね」
「おおー! いいじゃん! サク姉、おもたんの新人勧誘!?」
ライカが元気にサクラの背中を叩いた。
「いや・・・ 勧誘はしてないけど・・・ てかサク姉って何?」
「サクラお姉ちゃんって長いから!」
「・・・別にいいけど」
そんなやり取りをしているとみいながサクラの横に出て来た。
「あの、お邪魔じゃないですか?」
サクラの手を握って不安そうしているみいなにフラムが抱き着く。
「お邪魔じゃないってー! えへへ~ みいな久しぶりだね~」
「わわっ フラムちゃん」
「そうよ! それに近い内に私達から誘う予定だったんだから!」
ライカが胸を張って言った。
「みいなちゃんもおもたんに入隊させようって前に話してたんだ~」
その横でフーカも胸を張った。
「え? おもたん?」
「そういえば僕達みいなちゃんには直接自己紹介してなかったよね~ 僕はフーカ=フードゥルヴェント」
「私はライカ!!」
「あっ 私は花森みいな・・・ です お二人は双子なんですよね」
「そうだよ~ あ、そういえばあのビルの時言ってたね~」
「何だお前ら会った事あんのかよ」
改めて自己紹介したフーカ達にフラムが割って入る。
「うん まあ僕達が一方的に遊んでもらいに行ったんだけどね~」
「ふーん」
バアンッ
急にライカが公園の中にあった木製の机を手で叩いた。
「そんな事よりも! 今からみいなの入隊テストをやるわ!!」
ドヤ顔で親指を立ててサムズアップしている。
「え!? テスト・・・ ですか?」
急に言われたみいながなんの事かと困り顔になる。
「ちょっとライカ! あんまり危ない事しちゃ駄目!」
慌ててサクラが言うがライカは全く気にしない。
「え? 入隊テストなんてあんの?」
「ううん~ ライカ多分今思いついたんだと思うよ~」
フラムとフーカもポカンとする。
「テストの内容はこれだぁ!!!」
他の少女達を完全に置いてきぼりにしたままハイテンションのライカは何かをテーブルに叩きつけた。緑色のボードに黒い線でマス目が描かれているそれは。
「オセロ・・・?」
みいな達はテーブルに近づく。
「最近僕達の家でマイブームなんだ~」
フーカはスキップでライカの横に向かう。
「という訳でみいな! これが入隊テストよ! 私達4人を倒せるかな?」
フーカとライカはオセロの乗ったテーブルを挟んで仁王立ち。
「えっ これ私達もやんの?」
「・・・・多分」
フラムとサクラも察したようで双子の方へ歩いて行った。
「あ、あのまだその入ると決めた訳ではないですけど・・・・ 頑張り、ます!」
みいなはぎゅっと拳を握りテーブルの横の椅子に座った。対面にはライカがどすんと偉そうに座る。
「にゃははは! まずは私が相手をしてやるぞ」
ライカが片手でオセロの駒をジャラジャラと鳴らして言う。
「ねえ、アイツ強いの?」
フラムがライカを指差してフーカへ訪ねた。
「う~ん? 僕と時雨と3人で遊んでる時は一番弱いよ~」
「弱いのかよ!!」
「みいなちゃんになら勝てるかもって思ってるんじゃないかな~」
「自分より弱い奴探してるだけ!? クソ野郎だな!?」
言っている内に二人の対戦が始まろうとしていた。
「さあ! かかって来いみいな!!」
「お、お願いします!!」
◆ 数十分後
「なんでお前らも負けてんだよ!!」
「僕自身あったんだけどな~・・・」
「私あんまりやった事ないもん!!」
テーブルの横では双子とフラムが四つん這いになって地面を叩いている。テーブルではサクラとみいなが向かい合い真剣な眼差しで盤面を見つめていた。
「まさかお姉ちゃん以外僕達全員ボロ負けするなんてね・・・」
「何やってんのよ! フーカあんた私より強い筈でしょ!! フラムには別に期待してなかったけど!」
「なんだとこの野郎!! 私だって頑張ったんだぞ!!」
「何が頑張っただ! 黒一色になったオセロ盤初めて見たわ!!」
「だっ! だって何処に置いてもみいなが取っちゃうんだもん!!」
「あはは~ みいなちゃんオセロ得意だったんだね~」
「で、でもまだ私達にはサクラが居るぞ!!」
フラムが言うと3人は対戦を続けているサクラとみいなを真剣な目で見た。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
どうやらサクラのターンのようで難しい顔で盤面を見つめている。
「我がおもたん最年長のサク姉が負ける筈ないわ・・・」
この勝負、どうなるかとライカがサクラを見つめていると。
「・・・・まいりました」
「負けるんかーーーい!!!」
ズコーッ
ライカが勢いよく倒れた。
「すご~い みいなちゃん強いんだね~」
「みいなにこんな特技があったなんて知らなかったぞ!」
それを無視してフーカとフラムはテーブルに駆け寄った。
「・・・・・・なんか普通に悔しい」
少しだけムスッと口を尖らせたサクラが小声で言うとみいなは気を使った笑顔で答える。
「えへへ、サクラさんも強かったですよ それに楽しかったです!」
それを聞いたフーカとフラムが盤面を覗き込む。
「え、これお姉ちゃん白側だよね?」
「ぷぷっ あはははははは! 白2枚しかないじゃん!!」
ほぼ真っ黒な盤面を見て二人は爆笑する。
「あははははは! あんなにキリッとした顔でやってたのに!」
「僕もてっきりいい勝負してたかと思ったよっ!」
「「わははははははははは」」
二人に爆笑されて赤い顔になったサクラはすこし涙目。
「ふ、二人も負けてるでしょっ!」
「えへへ」
そんなやり取りを見ていたみいなは楽しそうに笑っていた。
「認めるしかないようね、みいな! 貴方をおもたんのインテリジェンス担当として入隊を許可するわ!!」
そこへいつの間にか立ち上がっていたライカがやって来た。
「いん? てりじぇ?」
座ったままみいなは首を傾げる。
「そうよ! 貴方のその頭脳をおもたんの作戦係で今後の活動で活かしてもらうわ!!」
「え!? 作戦!? ただ一緒に遊ぶ集まりじゃないんですか!?」
「ふっふっふ それはね・・・」
ライカがおもたんについて語り始めようとしたその時ドドドドドドッと地面を揺らす音が聞こえて来るのに気付いた。
「・・・・・・・あ、凛々奈だ」
サクラが音の方を見ると鬼の形相で公園に走ってくる凛々奈が見えた。
「うわ! うるさいのが来た!!」
「絡まれる前に逃げろ~」
「アイツなんで怒ってんだよ!! 絶対面倒くさいぞ!!」
わーーーー
双子とフラムはサクラとみいなを置いて両手を上げて走って公園から去って行ってしまった。
「待てコラガキ共!! 私に無断でみーちゃん連れ出したのはお前らか!!」
「・・・・おつかれ、凛々奈早かったね」
「凛々奈さん! お仕事もうお終いですか?」
テーブルに座ったままのサクラとみいなの横まで凛々奈は勢い良く走り込んで来た。
「う~ みーちゃぁああん! 帰ったら姿が見えないから心配したんだよぉ~!!!」
現れたと思ったらすぐにみいなに抱きつく凛々奈。頬杖をついてそれを見るサクラがいつもの光景かとやれやれと小さくため息をついた。凛々奈はみいな抱きついたまま顔だけ動かしてサクラを見る。
「ちょっとサクラ!! なに私抜きでみーちゃんと遊んでんのよ!!」
「・・・別に 凛々奈今日居なかったし、みいなも暇だったもんね?」
「えへへ! はい! サクラさん達と遊べて楽しかったです!!」
満足そうにみいなは言った。
「うう~ みーちゃぁん! でもあんまり変な子と遊んじゃ駄目よ~」
すりすりすりすり
頬ずりをしたまま凛々奈言う。
「え? 変な人? 私の知ってる人で一番変な人は凛々奈さんですよ?」
「はに゛ゃ!?」
思いもよらぬ言葉のナイフを突き刺された凛々奈は仰け反り硬直する。
「・・・そろそろ帰ろうか みいな」
サクラは立ち上がるとみいなの方へ進み手を差し出す。
「はい! 今日はありがとうございます! サクラさん!!」
「うん、また一緒に遊ぼうね」
二人は手を繋いで帰路に就く。公園に残されたショックで固まったままの凛々奈とテーブルの上のオセロ盤にヒューっと冷たい風が吹いていた。
◆
「ちょっとフーカ! 早くオセロ盤取って来てよ!! 失くしたら時雨に怒られる!!」
「やだよ~! ライカが行きなよ! なんであの人変なポーズで固まってるのさ!? 持って帰れないじゃん!!」
「相変わらず変な奴だよなー凛々奈って」
公園の横の茂みに隠れた少女達は暫くオセロ盤の回収に手こずっていたのだった。
──────────────────────
週末の昼下がり、事務所の中には朝から仕事で出かけている凛々奈以外の皆が居た。唯牙とハルはデスクで何か難しい話をしている。みいなとサクラは向かい合い中央のソファに腰掛けて紅茶とお菓子を味わっていた。暫くするとサクラは部屋に掛けてある時計に目をやってから立ち上がる。
「ハル・・・ 今日はもうオフでいいんだよね?」
「うん そうね、ただ夕方頃まで私はユイとちょっとやる事があるからここに居るわ 何処か行くの?」
ハルは振り返りサクラに答えた。
「うん・・・ フラム達に呼ばれてて・・・」
「あははっ 人気者ねサクラちゃん! 行ってらっしゃい、遅くなる前に皆帰らないと駄目よ」
「分かってる、行ってきます・・・」
サクラがそのまま出掛ける準備を始めると向かいに座っていたみいながソワソワと落ち着かない様子で横目で見ている事に気づいた。
「・・・みいな、どうしたの?」
「うぇ!? いえ! その、今日は凛々奈さんも居ないし唯牙さんとハルさんも忙しそうだから・・・ あの・・ その」
もじもじと照れ臭そうにしている。
「・・・・みいなも来る?」
察したサクラはみいなに手を伸ばした。
「い、良いんですか!?」
ぱあっとみいなの顔が明るくなった。
「良いよね? 唯牙」
「まあお前が居れば問題ないだろ 何かあったらすぐ連絡しろよ」
頬杖をついたまま唯牙は言った。
「じゃあ・・・ 行こうかみいな」
「えへへ! ハイ!!」
伸ばされた手を握って立ち上がると二人は眩しい日光が照らす気持ちの良さそうな外へと歩いていった。
◆
「遅いぞサクラ!!」
「こんにちは~」
「こんちゃ!」
待ち合わせをしていた公園へ到着すると3人の少女達が出迎えた。入口に来たサクラに駆け寄るとその後ろに小さな影が隠れて居るのに気付く。
「あれ!? みいなだ!!」
「ほんとだ~ 久しぶり~」
「あはは! この前ビルで会ったよね!」
3人はかわいい野良猫でも見つけたようにみいなを囲む。
「あ、あの急にごめんなさい・・・ その・・ 今日は・・・」
急に囲まれたみいながおどおどと縮こまる。
「私が一緒に遊ぼって連れてきたの・・・ 皆良いよね」
「おおー! いいじゃん! サク姉、おもたんの新人勧誘!?」
ライカが元気にサクラの背中を叩いた。
「いや・・・ 勧誘はしてないけど・・・ てかサク姉って何?」
「サクラお姉ちゃんって長いから!」
「・・・別にいいけど」
そんなやり取りをしているとみいながサクラの横に出て来た。
「あの、お邪魔じゃないですか?」
サクラの手を握って不安そうしているみいなにフラムが抱き着く。
「お邪魔じゃないってー! えへへ~ みいな久しぶりだね~」
「わわっ フラムちゃん」
「そうよ! それに近い内に私達から誘う予定だったんだから!」
ライカが胸を張って言った。
「みいなちゃんもおもたんに入隊させようって前に話してたんだ~」
その横でフーカも胸を張った。
「え? おもたん?」
「そういえば僕達みいなちゃんには直接自己紹介してなかったよね~ 僕はフーカ=フードゥルヴェント」
「私はライカ!!」
「あっ 私は花森みいな・・・ です お二人は双子なんですよね」
「そうだよ~ あ、そういえばあのビルの時言ってたね~」
「何だお前ら会った事あんのかよ」
改めて自己紹介したフーカ達にフラムが割って入る。
「うん まあ僕達が一方的に遊んでもらいに行ったんだけどね~」
「ふーん」
バアンッ
急にライカが公園の中にあった木製の机を手で叩いた。
「そんな事よりも! 今からみいなの入隊テストをやるわ!!」
ドヤ顔で親指を立ててサムズアップしている。
「え!? テスト・・・ ですか?」
急に言われたみいながなんの事かと困り顔になる。
「ちょっとライカ! あんまり危ない事しちゃ駄目!」
慌ててサクラが言うがライカは全く気にしない。
「え? 入隊テストなんてあんの?」
「ううん~ ライカ多分今思いついたんだと思うよ~」
フラムとフーカもポカンとする。
「テストの内容はこれだぁ!!!」
他の少女達を完全に置いてきぼりにしたままハイテンションのライカは何かをテーブルに叩きつけた。緑色のボードに黒い線でマス目が描かれているそれは。
「オセロ・・・?」
みいな達はテーブルに近づく。
「最近僕達の家でマイブームなんだ~」
フーカはスキップでライカの横に向かう。
「という訳でみいな! これが入隊テストよ! 私達4人を倒せるかな?」
フーカとライカはオセロの乗ったテーブルを挟んで仁王立ち。
「えっ これ私達もやんの?」
「・・・・多分」
フラムとサクラも察したようで双子の方へ歩いて行った。
「あ、あのまだその入ると決めた訳ではないですけど・・・・ 頑張り、ます!」
みいなはぎゅっと拳を握りテーブルの横の椅子に座った。対面にはライカがどすんと偉そうに座る。
「にゃははは! まずは私が相手をしてやるぞ」
ライカが片手でオセロの駒をジャラジャラと鳴らして言う。
「ねえ、アイツ強いの?」
フラムがライカを指差してフーカへ訪ねた。
「う~ん? 僕と時雨と3人で遊んでる時は一番弱いよ~」
「弱いのかよ!!」
「みいなちゃんになら勝てるかもって思ってるんじゃないかな~」
「自分より弱い奴探してるだけ!? クソ野郎だな!?」
言っている内に二人の対戦が始まろうとしていた。
「さあ! かかって来いみいな!!」
「お、お願いします!!」
◆ 数十分後
「なんでお前らも負けてんだよ!!」
「僕自身あったんだけどな~・・・」
「私あんまりやった事ないもん!!」
テーブルの横では双子とフラムが四つん這いになって地面を叩いている。テーブルではサクラとみいなが向かい合い真剣な眼差しで盤面を見つめていた。
「まさかお姉ちゃん以外僕達全員ボロ負けするなんてね・・・」
「何やってんのよ! フーカあんた私より強い筈でしょ!! フラムには別に期待してなかったけど!」
「なんだとこの野郎!! 私だって頑張ったんだぞ!!」
「何が頑張っただ! 黒一色になったオセロ盤初めて見たわ!!」
「だっ! だって何処に置いてもみいなが取っちゃうんだもん!!」
「あはは~ みいなちゃんオセロ得意だったんだね~」
「で、でもまだ私達にはサクラが居るぞ!!」
フラムが言うと3人は対戦を続けているサクラとみいなを真剣な目で見た。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
どうやらサクラのターンのようで難しい顔で盤面を見つめている。
「我がおもたん最年長のサク姉が負ける筈ないわ・・・」
この勝負、どうなるかとライカがサクラを見つめていると。
「・・・・まいりました」
「負けるんかーーーい!!!」
ズコーッ
ライカが勢いよく倒れた。
「すご~い みいなちゃん強いんだね~」
「みいなにこんな特技があったなんて知らなかったぞ!」
それを無視してフーカとフラムはテーブルに駆け寄った。
「・・・・・・なんか普通に悔しい」
少しだけムスッと口を尖らせたサクラが小声で言うとみいなは気を使った笑顔で答える。
「えへへ、サクラさんも強かったですよ それに楽しかったです!」
それを聞いたフーカとフラムが盤面を覗き込む。
「え、これお姉ちゃん白側だよね?」
「ぷぷっ あはははははは! 白2枚しかないじゃん!!」
ほぼ真っ黒な盤面を見て二人は爆笑する。
「あははははは! あんなにキリッとした顔でやってたのに!」
「僕もてっきりいい勝負してたかと思ったよっ!」
「「わははははははははは」」
二人に爆笑されて赤い顔になったサクラはすこし涙目。
「ふ、二人も負けてるでしょっ!」
「えへへ」
そんなやり取りを見ていたみいなは楽しそうに笑っていた。
「認めるしかないようね、みいな! 貴方をおもたんのインテリジェンス担当として入隊を許可するわ!!」
そこへいつの間にか立ち上がっていたライカがやって来た。
「いん? てりじぇ?」
座ったままみいなは首を傾げる。
「そうよ! 貴方のその頭脳をおもたんの作戦係で今後の活動で活かしてもらうわ!!」
「え!? 作戦!? ただ一緒に遊ぶ集まりじゃないんですか!?」
「ふっふっふ それはね・・・」
ライカがおもたんについて語り始めようとしたその時ドドドドドドッと地面を揺らす音が聞こえて来るのに気付いた。
「・・・・・・・あ、凛々奈だ」
サクラが音の方を見ると鬼の形相で公園に走ってくる凛々奈が見えた。
「うわ! うるさいのが来た!!」
「絡まれる前に逃げろ~」
「アイツなんで怒ってんだよ!! 絶対面倒くさいぞ!!」
わーーーー
双子とフラムはサクラとみいなを置いて両手を上げて走って公園から去って行ってしまった。
「待てコラガキ共!! 私に無断でみーちゃん連れ出したのはお前らか!!」
「・・・・おつかれ、凛々奈早かったね」
「凛々奈さん! お仕事もうお終いですか?」
テーブルに座ったままのサクラとみいなの横まで凛々奈は勢い良く走り込んで来た。
「う~ みーちゃぁああん! 帰ったら姿が見えないから心配したんだよぉ~!!!」
現れたと思ったらすぐにみいなに抱きつく凛々奈。頬杖をついてそれを見るサクラがいつもの光景かとやれやれと小さくため息をついた。凛々奈はみいな抱きついたまま顔だけ動かしてサクラを見る。
「ちょっとサクラ!! なに私抜きでみーちゃんと遊んでんのよ!!」
「・・・別に 凛々奈今日居なかったし、みいなも暇だったもんね?」
「えへへ! はい! サクラさん達と遊べて楽しかったです!!」
満足そうにみいなは言った。
「うう~ みーちゃぁん! でもあんまり変な子と遊んじゃ駄目よ~」
すりすりすりすり
頬ずりをしたまま凛々奈言う。
「え? 変な人? 私の知ってる人で一番変な人は凛々奈さんですよ?」
「はに゛ゃ!?」
思いもよらぬ言葉のナイフを突き刺された凛々奈は仰け反り硬直する。
「・・・そろそろ帰ろうか みいな」
サクラは立ち上がるとみいなの方へ進み手を差し出す。
「はい! 今日はありがとうございます! サクラさん!!」
「うん、また一緒に遊ぼうね」
二人は手を繋いで帰路に就く。公園に残されたショックで固まったままの凛々奈とテーブルの上のオセロ盤にヒューっと冷たい風が吹いていた。
◆
「ちょっとフーカ! 早くオセロ盤取って来てよ!! 失くしたら時雨に怒られる!!」
「やだよ~! ライカが行きなよ! なんであの人変なポーズで固まってるのさ!? 持って帰れないじゃん!!」
「相変わらず変な奴だよなー凛々奈って」
公園の横の茂みに隠れた少女達は暫くオセロ盤の回収に手こずっていたのだった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる