銃と少女と紅い百合

久藤レン

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過保護な姉とお友達

9-1 お休みの日に

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 昼下がり、広がる青の中に小さな白い雲が点々と浮かぶ空の下。冬の金色の太陽の光が街を照らしているが、冷たい風が吹き抜けて肌寒さに街を歩く人は皆体を縮こませながら早足に進んでいる。

 そんな土曜日。駅前にある大きなショッピングモールの駐車場に唯牙の車が止まる。助手席の扉が開くと中からコートを着たみいなが降りてくる。 長い髪をツインテールに纏めて服装もいつもより少し気合が入っているようだ。

「それじゃあみいなちゃん、気をつけて」

 運転席から唯牙が声を掛ける。

「はい! ありがとうございます!」

「帰る少し前に連絡をしてくれ、迎えに来るよ、あんまり遅くなっちゃいけないよ」

「分かりました! 行ってきます!!」

 小さな両手でみいなは車のドアを閉めると小走りで店の入口へと向かう。

「さて、映画も見るって言ってたしな・・ 夕方まで遊んでるだろうから一度帰るか」

 その後ろ姿を見送ってから唯牙は車を走らせて去っていった。

 みいなは待ち合わせしていたショッピングモールの一番東側の入口に着く。周りを不安そうにキョロキョロと見回していると元気な声が背後から聞こえ振り返る。

「みーなちゃん!!」

 頭頂に2つ結んだ髪を小動物の耳の様に揺らし、大きく手を振りながら宇佐美 奈月《うさみ なつき》 が走って来るのが見えた。

「ちょ、ちょっとうさちゃんいきなり走らないで・・・」

 その後ろからたどたどしい走り方でゆっくりと夜桜 神楽《よざくら かぐら》 が着いてくる。
二人はみいなのクラスメイト。転校したあの日からずっと仲良く過ごしていた。

「うさちゃん! 神楽ちゃん!」

 二人を見つけるとみいなもパアッと表情が明るくなり二人に駆け寄る。

「ごめんなさい! お待たせしましたか?」

「ううん! 私達もいま着いた所!」

「みいなちゃん・・ お出掛け大丈夫になって良かったねぇ」

「はい! 良かったです!」

三人で集まるとみいなは二人の姿を見て言う。

「二人ともお洋服可愛いですね・・・ 制服姿しか見た事なかったので、なんだか不思議な感じです!」

 宇佐美は花柄のワンピースの上に厚手のカーディガンを羽織ってどことなくお嬢様、といった雰囲気を漂わせている。神楽はゴスロリ調の黒と白のドレスを纏い、此方も別のタイプのお嬢様感を纏っていた。

「みいなちゃんも可愛いよぉ~ 確かに制服じゃないみいなちゃん新鮮だねぇ~」

「ほんとだ!みーなちゃんツインテールだ!可愛いね!」

「えへへ、あ、ありがとう御座います」

 みいなが照れて顔を逸らすと思い出した様に宇佐美が言う。

「あっそうだ! 映画まで少し時間があるけど二人はお腹空いてる?」

「あ、私朝は食べたんですけど、お昼がまだでした・・・」

「僕は来る前にちょっと食べただけだから小腹は空いてるかも~」

「それじゃあ皆で何か食べながら映画の時間を待ちましょ!」

「はい!!」 「そ~だね~」

 そのまま宇佐美が先頭に立って店内のフードコートを目指し三人は歩いていった。
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