銃と少女と紅い百合

久藤レン

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Blood Blade Grim Reaper

6-4 死神、邂逅

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 キャンディを口にした凛々奈の髪はフラムと同じ煌めく橙に染まる。

(熱っ なんか内側から熱さが溢れてくるッ!)

 初めて使う力に戸惑う凛々奈だが相手はそんな物は関係ない。

 男は拳を握り凛々奈へ向ける。握った拳の甲の部分に銃口らしきものが付いているそこから。

「バスター」

ドォウ 銃撃でも砲撃でもない音が鳴る。

 放たれたのは青白い光。

「うわっと!」

 凛々奈は地面を蹴って横に飛んで躱す。
その青白い光は凛々奈に躱され駐車場のコンクリートへ当たる。すると着弾した地点は赤く発光しドロリとコンクリートが溶け出していた。

「レーザービームって・・・ あんた特撮ロボットじゃないんだから・・・・」

 軽口を叩く凛々奈だが彼女は内心別の事に驚いていた。

 今の跳躍は軽く、数メートル飛んで回避するつもりだった。しかし彼女は10メートルと少し飛び駐車場の壁まで移動していた。

(これ、身体能力の強化がハンパないな・・・でもクロノスタシスみたいに動体視力は強化されないか・・・・)

 男は再び凛々奈に拳を向けた。

「ふん、こっちの番よ!」

 凛々奈は左手で右手首を掴み右手を男に向ける。

「なんだったっけ? あ、フレアドライブ!」

 凛々奈の手がオレンジに光り炎が放たれる。
掌から扇状に放たれた炎は男の周りに広がるが。

 男はすぐにそこから移動し凛々奈へレーザー砲を撃ち返す。

ドォウ

「あれぇ!?」

 なんとかまた強化された脚力で回避に成功し駐車場の柱の影に隠れ射線を切った。

「なんかめっちゃ炎が拡散しちゃうなぁ、こんなんじゃ火力不足で雑魚刈りにしか使えないじゃん」

(あ、だからアイツあの篭手つけてたのか)

 掌を拳でポンと叩いてなるほどっと納得していると頭の上がどんどん熱くなり上を見ると隠れていたコンクリートの柱が真っ赤になり溶けかかって。

ドォン レーザーが柱を撃ち抜いた。

「あっぶな! 柱壊したら危ないでしょうが!!」

「頭と胴体がノこっていればいいとのコとだ」

「全く、長引かせると崩れて生き埋めになっちゃうわ・・・」

「あのままなら火力不足・・・それなら!」

 凛々奈は男へ向かって走り出す。強化された脚力による速度は、早すぎて男が次のレーザを撃つ暇は無かった。

 しかし男は次の発射が間に合わないと分かるとすぐに手首を捻り鎧殻を操作する。

ガシャン 銃口の下から刃渡り50cmはあろうかというブレードが飛び出した。

 凛々奈も接近の刹那に懐からナイフを取り出す。

ガギィン

刃と刃がぶつかり激しい火花が散る。

ガギィン ガギィン キィン

 高速のナイフの攻防は早すぎて彼女らの腕とナイフは見えず、火花だけが二人の間から上がり続けた。

 そして凛々奈は一太刀。ガードされる事を前提に強化された筋力を全て乗せた一撃を放つ。

 刃で受けた男は体制を崩し隙を見せるが。

バギンッ 

 凛々奈のナイフは砕けて折れた。

「残念ダったな」

 機械の一つ目がギラリと光る、

「いっくわよ~!」

ガシィ

「なニッ!?」

 凛々奈は男の首をを掴んで持ち上げる。

「直火焼き♪」

 橙の髪の少女はニコッと笑った。

「燃え尽きなさい!」

ゴオオオオオオオオオオォォォ

 凛々奈の掌から炎が迸り男の全身は勢いよく燃え上がる。駐車場の天井まで届く程の大きな火柱になって掴んだ存在を焼き尽くす。

プスプスプスプス

 真っ黒に焦げた男を地面に下ろす。

「ゴホッゴホッ 焦げ臭! しかも吹き抜けとはいえ地下でバーニングしたから酸素が薄い!! 気持ち悪い~」

「う~ フレイムレイヴ・・・ 今みたいに直接手で掴めれば黒焦げで殺せるけど、それだけだとなんかな~ 筋力の強化は中々イケてるけど・・・ 武器オタになんか補助ウェポン作って貰おうかな~」

 黒焦げの男を背に新しいフレーバーの効果を分析しつつ。

「てかとりあえず死神襲撃事件、これにて解決~」

 一息つこうと気を抜いた瞬間。

「アまいな、はんパもの」

「ツッ!?」

 振り返ると刃を振りかぶった黒焦げの男。

 そしてその首に掛かる大きな真紅の刃。

「もらった」

聞こえた声は知らない声。

ザンッ 

 黒焦げの男の首は切り飛ばされ胴体から血が吹き出す。

 何が起こったのか分からず目を見開く凛々奈。

 血を撒き散らしながら倒れた男の胴体の後ろには少女が一人。凛々奈と同じ位の身長、年齢も近いように見える。返り血に濡れた太腿まである長い髪はクロノスタシスを使用している時の凛々奈の髪の様に真っ白だった。そしてその手には身の丈程の大振りの紅い鎌。

 氷の様に冷たい瞳で凛々奈を見る。

「あなたも 殺さなきゃ」
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