51 / 105
Blood Blade Grim Reaper
6-3 橙色 フレイムレイヴ
しおりを挟む「ふ~ お腹いっぱい~」
ポンポンとお腹を叩くフラム。
「美味しかったですね それに大きくて一個で満腹です!」
「なかなかだったね~ 今度センセとハルさんも連れて来ようか」
満足そうな三人。目的の食事も済ませて事務所への帰路、大通りの歩道を歩く。フラム達が事務所へ来たのは16時頃で今はもう日が沈みかけている時間帯。
「みいな、りりな 今日はありがとね、私アキ以外とこうやって遊んだ事なかったから・・・ 楽しかったよ!」
少し先を歩いていたフラム夕日に照らされながら二人に向き直る。
「私も楽しかったですよ! また一緒にお出掛けしましょう」
「今日みたいに大人しくしてるんなら付き合ってやらなくもないわ」
笑いかけるみいなとツンデレな凛々奈。
事務所まで歩いてまだ少しある距離、のんびり喋りながら帰ろうかとしていると。
凛々奈だけが立ち止まって振り返る。夕日に照らされて影になり、その表情は見えない。
「どうかしましたか? 凛々奈さん?」
「なに? 忘れ物?」
フラムとみいなが何事かと近寄ってくる。
「ヤバっ! 私スマホ忘れた!!」
「さっきのお店ですか?」
「もー! なにやってるのよりりな!」
三人でわちゃわちゃとしていると横を1台タクシーが通りかかる。それを右手を挙げて凛々奈は止める。
「タクシーで戻るんですか?」
「ううん! ちょっと取りに戻るからさ、暗くなっちゃうし二人はこれで行けるとこまで行ってさき帰っといて」
二人をタクシーに乗せると運転手に凛々奈は財布に残っていた現金を全て渡してその分で事務所の近く、行ける所まで行くよう伝える。
「凛々奈さん! 遅くなっちゃ駄目ですよ!」
「全くドジだねー りりな」
「あはは、ごめんねー 見つかったらいそいで帰るよ」
ガチャ タクシーのドアが閉まり発進する。
凛々奈は振り返り神経を集中して辺りを探る。
先程振り返った時に感じた殺気の主を。
そしてまた感じる気配、移動せず向こうも凛々奈の様子を伺っているようだ。
「ふぅ、良かった もしあのタクシー追いかけだしたら町中でドンパチになる可能性もあったからね」
スマートフォンを忘れたのは嘘。
「目的は私一人みたいね」
この襲撃者を人目につかない所まで連れて行って。
「始末する」
日が落ちかける逢魔が時を凛々奈はポケットに手を入れて歩き出した。
◆
凛々奈は町外れの地下駐車場までやって来た。広い空間で中央部分だけ吹き抜けになっている。
ここは近くにあった大型商業施設が潰れて無くなり殆ど利用されることのない場所。
今日も車は1台も止まっていなかった。
カツカツカツ
コンクリートを踏む凛々奈の足音だけが地下空間に響く。
そして
ドン
重い音が鳴り凛々奈が入って来た入口に人間が立っている。
筋肉質な上半身にピッタリと張り付く黒いタイツ、下半身はミリタリー柄のカーゴパンツ。おそらく体型から男と思われるが。
その顔はフルフェイスのヘルメット、と呼ぶには機械的な、ロボットめいた一つ目の兜を被っている。
そして両腕は指先から肘まで鉄の鎧、鎧殻。
赤く光る一つ目が凛々奈を見つめる。
「かっこいいじゃんそれ、あんたが噂の死神さん?」
腰に手を当てて余裕そうに語りかける。
「フラム=ブレイブヒートの捕獲任務だったガ、まさか捕獲優先度Sが二人も共にイるとハ」
目の前の男から聞こえる声は鉄の兜を通している為かノイズがかった機械音声に聞こえる。
「あんた、あそこの人間ね」
凛々奈は相手のヘルメットに刻まれたエンブレムを見た。見たことのない花と蔦と種が絡み合ったエンブレム。終人機関の証。
「白銀凛々奈、オ前は生死は問わナいとオーダーだ」
男は両手を構える。
「よーしっ! 久々のガチバトル! ニューウェポンお披露目といこうかな!」
凛々奈はポケットから棒付きキャンディーを取り出す。橙色の新しいフレーバー。
「フレイムレイヴ!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる