37 / 105
転校生ちゃんと不審者さん
4-6 昼食と一触即発
しおりを挟む
華皇学園 食堂
お昼の十二時を少し過ぎた頃、初等部の生徒は全員堂内に集まり、1クラス毎に長机に座って給食を食べている。
中等部以上の生徒は学食として、利用したい場合に自由に使っていい事になっている為、いくつかのグループが初等部から少し離れた位置にある個別のテーブルを囲んで食事をしながら談笑していた。
壁は硝子張りになっており、丁寧に整えられた植栽を見ながら食事を楽しむ事ができる。
「みーなちゃん! どーお? 美味しい?」
「はい! とっても美味しいです! お店みたいです!」
今日のメニューはビーフシチューをメインにしたサラダやスープが付いた献立で、その味のクオリティにみいなは目を輝かせている。
「えへへ~そうだよねぇ! 美味しいよね~!」
みいなの正面に座り食べる姿をみて楽しそうにしている少女。
宇佐美 奈月。肩下まであるストレートヘアーで頭の上にツーサイドアップの髪がちょこんと揺れている。活発な性格の元気な少女。朝礼からみいなと一緒に過ごしてすっかり仲良くなっていた。
「うさちゃん・・・あんまりうるさくしちゃだめだよぉ・・・」
宇佐美の隣の少女が語りかける。
腰まである長い黒髪の少女で前髪も目に掛かる程長い。宇佐美とは対象的に少し暗い雰囲気の少女。
「はーい! でも神楽もおいしそーに食べてるね!」
宇佐美が今度は隣の少女に笑顔を向ける。
夜桜 神楽《よざくら かぐら》。宇佐美の幼馴染で朝礼の後からみいなと宇佐美と行動している。
「むぅ・・好きなんですよ、ビーフシチュー・・」
神楽は照れ臭そうにスプーンでシチューを口に運ぶ。
「私も好きですよ、ビーフシチュー、前にお家で作った時はこんなに美味しく出来なかったので、参考にしてまた作ってみたいです」
みいなはシチューを味わいながら言う。
「へえ・・みいなちゃんお料理できるんだ・・・凄いねぇ・・」
神楽がみいなに向き直る。
「ほんとだね! じょしりょく? だね!!」
奈月はぴょこぴょこ頭を揺らす。
「お二人はお料理しませんか?」
「あはは・・・私達はほら、家庭科の授業以上の事はできないよ」
「目玉焼きなら作れるわよ!」
「うさちゃん・・・あの真っ黒な物体は目玉焼きじゃないよ・・・・」
あははははは、と楽しそうな笑い声が響いた。
そんな幸せな空間が広がっている食堂の硝子の向こうの植栽に、茂みの中に体を隠して中の様子を伺う不審者《りりな》がいた。
「うぅ~お友達が出来て良かったねぇ~みーちゃあん・・でもお姉ちゃんはみーちゃんが遠くへ行ってしまったようでいっぱいいっぱい寂しいよ~」
泣いている。号泣している。
食堂の中は広い空間で身を隠す物が何も無かった為に、またこの不審者スタイルでみいなの様子を伺っていた。
「そこにいるのは! まさか!」
不審者の後ろから声が掛かる。
「ああん!? 今いいとこなんだけど!」
さっきの泣き顔が一瞬でドスのキいた顔になりうしろを睨みつける。
「やっぱりですわ! 白銀凛々奈! また貴方に相見える日を心待ちにしていましたわ!」
そこにいたのは凛々奈と同じ高等部のカラーの制服を着た少女。ケアを欠かしていない事が分かるキラキラツヤツヤの長い金髪。自信満々の表情から気の強さを感じさせる少女。
「今日こそ、あの日の雪辱晴らさせて頂きますわ!」
ビシッと凛々奈に人差し指を突き立てる。
「・・・・・・だれ?」
目を点にして首を傾げる凛々奈だった。
お昼の十二時を少し過ぎた頃、初等部の生徒は全員堂内に集まり、1クラス毎に長机に座って給食を食べている。
中等部以上の生徒は学食として、利用したい場合に自由に使っていい事になっている為、いくつかのグループが初等部から少し離れた位置にある個別のテーブルを囲んで食事をしながら談笑していた。
壁は硝子張りになっており、丁寧に整えられた植栽を見ながら食事を楽しむ事ができる。
「みーなちゃん! どーお? 美味しい?」
「はい! とっても美味しいです! お店みたいです!」
今日のメニューはビーフシチューをメインにしたサラダやスープが付いた献立で、その味のクオリティにみいなは目を輝かせている。
「えへへ~そうだよねぇ! 美味しいよね~!」
みいなの正面に座り食べる姿をみて楽しそうにしている少女。
宇佐美 奈月。肩下まであるストレートヘアーで頭の上にツーサイドアップの髪がちょこんと揺れている。活発な性格の元気な少女。朝礼からみいなと一緒に過ごしてすっかり仲良くなっていた。
「うさちゃん・・・あんまりうるさくしちゃだめだよぉ・・・」
宇佐美の隣の少女が語りかける。
腰まである長い黒髪の少女で前髪も目に掛かる程長い。宇佐美とは対象的に少し暗い雰囲気の少女。
「はーい! でも神楽もおいしそーに食べてるね!」
宇佐美が今度は隣の少女に笑顔を向ける。
夜桜 神楽《よざくら かぐら》。宇佐美の幼馴染で朝礼の後からみいなと宇佐美と行動している。
「むぅ・・好きなんですよ、ビーフシチュー・・」
神楽は照れ臭そうにスプーンでシチューを口に運ぶ。
「私も好きですよ、ビーフシチュー、前にお家で作った時はこんなに美味しく出来なかったので、参考にしてまた作ってみたいです」
みいなはシチューを味わいながら言う。
「へえ・・みいなちゃんお料理できるんだ・・・凄いねぇ・・」
神楽がみいなに向き直る。
「ほんとだね! じょしりょく? だね!!」
奈月はぴょこぴょこ頭を揺らす。
「お二人はお料理しませんか?」
「あはは・・・私達はほら、家庭科の授業以上の事はできないよ」
「目玉焼きなら作れるわよ!」
「うさちゃん・・・あの真っ黒な物体は目玉焼きじゃないよ・・・・」
あははははは、と楽しそうな笑い声が響いた。
そんな幸せな空間が広がっている食堂の硝子の向こうの植栽に、茂みの中に体を隠して中の様子を伺う不審者《りりな》がいた。
「うぅ~お友達が出来て良かったねぇ~みーちゃあん・・でもお姉ちゃんはみーちゃんが遠くへ行ってしまったようでいっぱいいっぱい寂しいよ~」
泣いている。号泣している。
食堂の中は広い空間で身を隠す物が何も無かった為に、またこの不審者スタイルでみいなの様子を伺っていた。
「そこにいるのは! まさか!」
不審者の後ろから声が掛かる。
「ああん!? 今いいとこなんだけど!」
さっきの泣き顔が一瞬でドスのキいた顔になりうしろを睨みつける。
「やっぱりですわ! 白銀凛々奈! また貴方に相見える日を心待ちにしていましたわ!」
そこにいたのは凛々奈と同じ高等部のカラーの制服を着た少女。ケアを欠かしていない事が分かるキラキラツヤツヤの長い金髪。自信満々の表情から気の強さを感じさせる少女。
「今日こそ、あの日の雪辱晴らさせて頂きますわ!」
ビシッと凛々奈に人差し指を突き立てる。
「・・・・・・だれ?」
目を点にして首を傾げる凛々奈だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる