銃と少女と紅い百合

久藤レン

文字の大きさ
上 下
35 / 113
転校生ちゃんと不審者さん

4-4 不審者さんへ事情聴取

しおりを挟む
 華皇学園 応接室

 凛々奈はソファに体を小さくして申し訳なさそうに座っている。

「全く、この学園に忍び込む事が出来るなんて相当に危険な輩だと思ったら・・・・ウチの生徒がジャージで木登りしているなんて、前代未聞ですよ」

 テーブルを挟んで凛々奈の向かいに座る女性。

 華皇学園 学園長 桜花楓《おうか かえで》は溜息をつきながら紅茶の入ったカップを口に運ぶ。
 
 歳は50前後だろうか、白髪を後ろでシニヨンに纏め、学園長として相応しい凛とした佇まいで、このお上品な建物に完璧に馴染んでいる。

「あはは、サーセン・・・・」

 凛々奈の前にも湯気の立つ紅茶の入ったカップが置かれている。こちらはお城の様な内装の中、地味なジャージの異物感が凄まじい。

「一体どうやって入り込んだのかと思えば、学生証を持っている貴方なら問題なく入る事ができますか・・・」

「はい、普通に入りました・・・」

 本来敷地内に入るにはカードキー代わりの学生証が必要なのだが、この不審者は自分の学生証で鼻歌混じりにゲートを解錠し、何食わぬ顔で入って来ていた。

「でもその格好では警備員に見つかったら怪しまれるでしょう?」


 凛々奈の格好を見ながら言う


「そこは~、まあ、私の類稀なる身体能力でステルスアクション~みたいな? ダンボール被ったり」

 にへへ~と愛想笑いで誤魔化す。学園長は頭に手を抱えて溜息。

「はぁ、目的については大体察しはついていますけどね、今日からこの学園に通う・・・みいなさん、だったかしら?」

「ありゃ、知ってました?」

「当然です、私が神代さんに相談を受けて是非我が校へどうぞとお誘いしたんですから」


「そういや学園長さんセンセとハルさんが此処でJKやってる時からいるんだもんね」

「当時は学園長ではありませんけどね、神代さん達
には当時いろいろとお世話になりました・・・・」


「うぷぷ、センセとかめちゃめちゃ問題児扱いされてそう」

 馬鹿にしたような顔で笑いをこらえる凛々奈。

「どの口で言うんですか・・・・それより今日はみいなさんの付き添いに来たんでしょう? 何故ジャージで木に登っていたんですか?」

「えっ? だってみーちゃんの学生生活見たいし、変な輩がみーちゃんに絡んだりしない様に見守ってあげようと・・・・」


「貴方も普通に制服を着て登校すればよかったのでは? 事情を話してくれれば初等部に様子見に入らせてあげるくらいできましたのに」


「・・・・・・・・・・あ」

 目を点にする凛々奈。

「・・・・神代さんの苦労が目に浮かびますよ」

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...