銃と少女と紅い百合

久藤レン

文字の大きさ
上 下
25 / 113
紅蓮の炎と青い海

3-2 お風呂と夕飯

しおりを挟む
 3人で夕方まで遊んで、私達は今夜泊まるセンセが借りた別荘に帰ってきた。いかにも金持ちの別荘って感じでキレイな建物だった。

「楽しかったねーみーちゃん」

「はい! それにちょっとだけ泳げる様になって嬉しいです!」

 みーちゃんは満足そうに笑っていた。

「まずはお風呂に入りましょうか」

ハルさんが羽織っていたタオルを取りながら言った。部屋の中にはソファで寝ているセンセがいる。

「寒ッ!!」

 部屋の中は冷房がフルで稼働していて夏とは思えないほど冷えていた。

「ちょっとセンセ! 限度があるでしょ!! 私達寒暖差でぶっ壊れるわよ!!」

 ピピピ とリモコンを操作して常識的な範囲の温度に設定し直す。

「ん、おかえり」

 センセは目が覚めた様でむくりと起き上がる。ふわあーと大きく欠伸をしてソファに座り直した。

「ユイ、夕食はみんなでシャワー浴びてから用意するけどいい?」

 ん、とだけ返事をして机の上にあったタバコを手にして玄関へ歩いていく。
外に吸いに行くのだろう。

「みいなちゃん、楽しかった?」

 途中ですれ違う時に声を掛ける。

「はい! 連れてきてくれてありがとうございます!」

「そうか、よかった」

 そのまま外に出ようとする背中にみーちゃんが声を掛ける。

「あ、あの! 明日は、その、」

「ん?」

「ちょっとだけでいいので! 一緒に海行きませんか!」

 センセは少しびっくりした顔をした。

「センセー、みーちゃんが一緒に遊びたいんだってさー! 可愛い子のおねだり無下にしちゃ駄目だよー」

 便乗して誘ってみた。センセは仕方ないなと言うような顔で

「まあせっかくだしな、ちょっとだけ行こうかな」

 言いながらセンセはタバコを吸いに外へ出ていった。

「よかったねーみーちゃん」

「はい! 明日はみんなで行きましょう!」

「ユイはみいなちゃんに甘いわよね~」

 見ていたハルさんが言う。

「ほんとほんと、私にはすっごい塩対応なのに!!」

 プンスカッと頬を膨らませる。

「凛々奈ちゃんにも甘いわよ、ユイは」

 ハルさんはふふっと笑った。

「そーかなー?」

「そういうのは自分では分かりにくいものなのよ、さ、お風呂入っちゃいましょうか」

「はーい」「はーい」

二人で元気よく返事をして浴室へ向かった。




「ご馳走様ー! やっぱりハルさんの料理は最高だね!」

 お風呂で汗と海水を流してタバコから戻って来たセンセとハルさんが作ってくれた料理を堪能した。

「いっつも出前か外食だけどハルさんの
料理が一番だよ~」

 お腹をさすりながら凛々奈は幸せそうな顔をしていた。

「うふふ、そう言って貰えると嬉しいわ、それに凛々奈ちゃん美味しそうに食べるから作り甲斐があるわ」

 ハルさんは食器を片付けている。

「ハルさん! ご馳走様でした! とってもおいしかったです!」

 みーちゃんは満足そうに言って立ち上がり食器を持ってキッチンへ向かう。

「お手伝いします!」

「あらあら、偉いわね~みいなちゃん」

「私はお腹いっぱいで動けな~い」

 ポンポンと膨れたお腹を叩きながら言い訳しておいた。

「ハル、ご馳走様、いつもありがとな」

 自分の分の食器を持っていってセンセはなんかイケメンな事を言っている。

「うふふ、ユイはいい旦那さんになりそうよね~」

 少し顔を赤くしたハルさんが嬉しそうに言った。

「旦那なのか」

 センセはよく意味が分かってないような感じだった。天然女誑し、罪な女よ。

 「家族旅行ってこんな感じなのかな?」

 凛々奈はみんなに聞こえない様に呟いて、微笑みながら楽しそうな姿を見ていた
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...