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紅蓮の炎と青い海
3 プロローグ
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路地裏を一人の男が走っている。男の手には血のついたナイフ。男は借金をしていた相手と口論になり、激情して刺してしまった。
「はあっ はあっ あいつ、ざまぁみろ! 俺を怒らせるからこんな事になるんだ」
人を刺した事で男はもう冷静ではなくなっている。もう目線も定まっていない、なりふり構わず行く先もなく、ただ走っていた。そこで。
「きゃあ!!」
ドンッと人に衝突してしまった。
「いった~い」
ぶつかった相手は尻餅をついている。女の様だ。
長い癖毛で眼鏡を掛け、あからさまに陰気な人間だと分かる風貌だった。白衣を着ているのは奇妙だったが。
しかし男は倒れた時にはだけたシャツの胸元に目が釘付けになっている。
(一人殺っちまったんだ、今の内にやりたい事やっといた方がいいよなぁ!)
邪な考えが頭を支配する。そして息を荒くしながら地面に座り込んでいる女に近づきナイフを突き付けた。
「動くな、声も出すな、こっち来い」
「え? なんでですか?」
ナイフを突き付けられているとは思えないほど冷静に女は答えた。そんな様子に男は怒り少し痛めつけてやろうとナイフを振りかぶった。
「ねーこの国、治安それなりにいいって聞いたんだけど」
別の女の声がした。 そして。
ゴオォォォォという轟音と共に男は声の方向から現れた炎に飲まれた。そしてその炎は男だけを燃やし続けた。
声を出す事も出来ないまま黒焦げになった男は地面に倒れる。
「なんか最近は結構荒れてるみたいですよ~」
尻餅をついていた女は男の存在など無かった様にパンパンと塵を払いながら自然に話す。話しかける相手は子供だった。橙色の髪をサイドテールに結び、服装はボロボロのマントの様な物を羽織っている。その中はスポーツブラの様な布とショートパンツで露出の多い格好だった。そして両手にはゴツゴツとした大きな籠手を付けている。
「ふーん、どうでもいいけど、早く行くわよ」
右手の籠手は熱されて赤く光っている。先ほどの炎はこの手から発射されていた。
「愛しい私の"ツガイ"が待ってるの」
頬を赤らめ恍惚の表情で少女は呟いた。
「はあっ はあっ あいつ、ざまぁみろ! 俺を怒らせるからこんな事になるんだ」
人を刺した事で男はもう冷静ではなくなっている。もう目線も定まっていない、なりふり構わず行く先もなく、ただ走っていた。そこで。
「きゃあ!!」
ドンッと人に衝突してしまった。
「いった~い」
ぶつかった相手は尻餅をついている。女の様だ。
長い癖毛で眼鏡を掛け、あからさまに陰気な人間だと分かる風貌だった。白衣を着ているのは奇妙だったが。
しかし男は倒れた時にはだけたシャツの胸元に目が釘付けになっている。
(一人殺っちまったんだ、今の内にやりたい事やっといた方がいいよなぁ!)
邪な考えが頭を支配する。そして息を荒くしながら地面に座り込んでいる女に近づきナイフを突き付けた。
「動くな、声も出すな、こっち来い」
「え? なんでですか?」
ナイフを突き付けられているとは思えないほど冷静に女は答えた。そんな様子に男は怒り少し痛めつけてやろうとナイフを振りかぶった。
「ねーこの国、治安それなりにいいって聞いたんだけど」
別の女の声がした。 そして。
ゴオォォォォという轟音と共に男は声の方向から現れた炎に飲まれた。そしてその炎は男だけを燃やし続けた。
声を出す事も出来ないまま黒焦げになった男は地面に倒れる。
「なんか最近は結構荒れてるみたいですよ~」
尻餅をついていた女は男の存在など無かった様にパンパンと塵を払いながら自然に話す。話しかける相手は子供だった。橙色の髪をサイドテールに結び、服装はボロボロのマントの様な物を羽織っている。その中はスポーツブラの様な布とショートパンツで露出の多い格好だった。そして両手にはゴツゴツとした大きな籠手を付けている。
「ふーん、どうでもいいけど、早く行くわよ」
右手の籠手は熱されて赤く光っている。先ほどの炎はこの手から発射されていた。
「愛しい私の"ツガイ"が待ってるの」
頬を赤らめ恍惚の表情で少女は呟いた。
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