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ガラクタの集まりみたいな心
支配する
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二×××年から十年が経ち、二×△△年となっていた。
某年十月二十一日。
ハッと目を覚ましたマドカ。布団の上で天井を見つめ十分程経った。
マドカはもう二十五歳だ。
『現在、日本は未来維持能力者開発組織、MODSが実権を握っている状態となっております。MODSは異能力者を積極的に回収するため、準備を進めています。私たち放送局もその協力をすることとなったため、こちらからもお伝えします。異能力者が近くにいましたら直ぐに、お知らせください』
つけっぱなしにしていたテレビからキャスターの声が聞こえてきた。
それを聞いたマドカは天井から視点を変えて、ジッとテレビを睨んだ。
「……MODS……」
マドカは考えていた。
MODSは二×△△年に日本を支配し、異能力者を集めている組織の一つだ。
レノの能力、『活力吸収エナジードレイン』を知ったMODSはタイムマシンを使い、レノが能力を発揮する十年前へとタイムリープして、十八歳のレノをさらっていった。
『活力吸収エナジードレイン』の力をレノから奪ったMODSはレノが持っていた力を手に入れて、日本に散らばる能力者の力を次々に奪っていき、日本を支配し始めた。
当時十五歳だったマドカはレノがいない世界に気が付き、同時にMODSが日本を支配し始めていることもわかるようになっていった。
やがて日本は総理大臣、国家天皇よりもMODSという組織が勢力を握るようになっていった。気が付けばマドカは二十五歳になっていた。その時、マドカは日本がMODSに支配されるのを阻止するべく、自分の持つ『一定の願望を現実化する』能力で、レノがさらわれる十年前の六月十五日へ戻りたいと強く願い願望を現実化した。
願望は現実化できたものの、やはり”一定の“というのが癖ありで、MODSという組織はとっくのとうに存在していて、レノの行方を追っていた。
二×××年の六月十五日に戻ったマドカは十八歳のレノに向けて言った。
「兄さん、兄さんがエナジードレインの能力を持っていること、私、知っているの。その力が未来で争いを巻き起こすのよ。力を世間に広めると兄さんは兄さん出なくなってしまうことも知っているの。だから、これからは家の中だけで過ごしてほしいの」
レノは自分の能力を妹が認知していることが不思議でならなかった。
しかし、マドカの真剣な眼差しを見て、自分の身の危険性を自覚したようだ。
「……わかった」
レノは家に籠るようになり、代わりに買い物はマドカがするようになっていた。
しかし、MODSは鋭かった。
四日後の六月十九日、MODSはレノとマドカの住む家を特定した。マドカが学校へ行っている間、MODSはレノが一人でいるのを見計らって家へと侵入した。
「被験者、レノ発見しました。確保します」
小太りなジルが小声で言った。
レノは、寝ていたのもあり、あっさりと確保されてしまった。
学校から帰ってきたマドカはもう遅かった。家は見事に荒らされており、レノの姿は消えていた。
「そんな……」
マドカは荒らされた部屋を見て絶句した。
――レノがいない……まさか、MODSが……そうだ、また、能力を使って前に戻らないと……。
念を込めたがレノがいる世界線へとは戻らず、何も変わりはしなかった。
――なんで前に戻らないのよ。これじゃ、また、MODSが日本を支配してしまうわ……。
マドカは自分の能力の不能さを実感して絶望した。
某年十月二十一日。
ハッと目を覚ましたマドカ。布団の上で天井を見つめ十分程経った。
マドカはもう二十五歳だ。
『現在、日本は未来維持能力者開発組織、MODSが実権を握っている状態となっております。MODSは異能力者を積極的に回収するため、準備を進めています。私たち放送局もその協力をすることとなったため、こちらからもお伝えします。異能力者が近くにいましたら直ぐに、お知らせください』
つけっぱなしにしていたテレビからキャスターの声が聞こえてきた。
それを聞いたマドカは天井から視点を変えて、ジッとテレビを睨んだ。
「……MODS……」
マドカは考えていた。
MODSは二×△△年に日本を支配し、異能力者を集めている組織の一つだ。
レノの能力、『活力吸収エナジードレイン』を知ったMODSはタイムマシンを使い、レノが能力を発揮する十年前へとタイムリープして、十八歳のレノをさらっていった。
『活力吸収エナジードレイン』の力をレノから奪ったMODSはレノが持っていた力を手に入れて、日本に散らばる能力者の力を次々に奪っていき、日本を支配し始めた。
当時十五歳だったマドカはレノがいない世界に気が付き、同時にMODSが日本を支配し始めていることもわかるようになっていった。
やがて日本は総理大臣、国家天皇よりもMODSという組織が勢力を握るようになっていった。気が付けばマドカは二十五歳になっていた。その時、マドカは日本がMODSに支配されるのを阻止するべく、自分の持つ『一定の願望を現実化する』能力で、レノがさらわれる十年前の六月十五日へ戻りたいと強く願い願望を現実化した。
願望は現実化できたものの、やはり”一定の“というのが癖ありで、MODSという組織はとっくのとうに存在していて、レノの行方を追っていた。
二×××年の六月十五日に戻ったマドカは十八歳のレノに向けて言った。
「兄さん、兄さんがエナジードレインの能力を持っていること、私、知っているの。その力が未来で争いを巻き起こすのよ。力を世間に広めると兄さんは兄さん出なくなってしまうことも知っているの。だから、これからは家の中だけで過ごしてほしいの」
レノは自分の能力を妹が認知していることが不思議でならなかった。
しかし、マドカの真剣な眼差しを見て、自分の身の危険性を自覚したようだ。
「……わかった」
レノは家に籠るようになり、代わりに買い物はマドカがするようになっていた。
しかし、MODSは鋭かった。
四日後の六月十九日、MODSはレノとマドカの住む家を特定した。マドカが学校へ行っている間、MODSはレノが一人でいるのを見計らって家へと侵入した。
「被験者、レノ発見しました。確保します」
小太りなジルが小声で言った。
レノは、寝ていたのもあり、あっさりと確保されてしまった。
学校から帰ってきたマドカはもう遅かった。家は見事に荒らされており、レノの姿は消えていた。
「そんな……」
マドカは荒らされた部屋を見て絶句した。
――レノがいない……まさか、MODSが……そうだ、また、能力を使って前に戻らないと……。
念を込めたがレノがいる世界線へとは戻らず、何も変わりはしなかった。
――なんで前に戻らないのよ。これじゃ、また、MODSが日本を支配してしまうわ……。
マドカは自分の能力の不能さを実感して絶望した。
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